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「儲かる農業」を実現させて遠野を元気に #009金井要樹

BrewingTono 醸造する町 |岩手県遠野市

金井要樹
Kanai Motoki
遠野市地域おこし協力隊

プロフィール
千葉県流山市出身。筑波大学・東京大学大学院で植物生理学を専攻。2012年、千葉県庁に普及指導員として入庁。地域の農家の技術や経営の指導を行うほか、中山間地域の農業を通じた地域振興関連事業に携わる。2018年、遠野市に移住。BEER EXPERIENCE株式会社にて、主にパドロン栽培に従事。遠野市在住歴2年。

今後の遠野を考えたらぜひともほしい人材

ビールの里プロジェクトに関わる人たちは、金井要樹の経歴を見てこう思っていました。その一方で、「こんなにすごいキャリアの方は来てくれないだろうな」とも

金井は筑波大学と東京大学大学院で、植物生理学を専攻。環境応答という、植物が環境に適応する際の遺伝子変化を研究していました。研究者志望だったと言いますが、「毎日同じ研究室に通って、同じメンバーと顔を合わせるというのは、自分には合わない」と思い、千葉県庁に入庁。普及指導員として、地域の農家に対して技術指導を行っていました。

そんな金井が遠野へ来た理由のひとつは、BEER EXPERIENCE株式会社(BE社)がドイツ式のホップ栽培を進めていくことにおもしろいと感じたから。

儲かる農業がテーマなんですよ

BE社が同じ考えを持っていて、そんな遠野を一緒に作りあげていこうという雰囲気に魅力を感じたのです。

農家と同じ目線で仕事をする

金井はもともと砂漠の緑地化や社会貢献に興味を持っており、そこから大学・大学院で植物の環境応答について研究するようになります。そして、この知識を生かせる仕事を、と考えて選んだのが千葉県庁での普及指導員。

担当地域の畑をまわって野菜の状態を確認し、アドバイスをする。金井に農業経験はありませんでしたが、最初のうちは経験豊富な農家からいろいろと教わり、その知識をまだ経験の少ない農家に伝えるといった仕事をしていました。

農家と同じ目線で物事を見れるのが楽しかったですね

という金井は、地域振興を推進する事業にも関わっていました。例えば、農業用のため池や小規模なダムなどを利活用するといったことについて、予算をつけたりバックアップをするような立場。農業用のため池は意外と重要なもので、雨水を一時的にためて洪水が起こらないように調整したり、土砂が流出しないようにしたりする役割があります。

しかし、その地域の農家が多い状況であれば、みんなで協力して保全できていたものの、農家が減ってくると、管理されずに災害時の被害が拡大してしまうかもしれません。そういった管理をしつつ、公園にして人が集まれるような場を造る。そんな仕事もしていました。

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その一方で、金井は不満もありました。仕事上の制約が多く、本当に必要だと思うところにお金も労力も注げないことに、葛藤を抱えるようになっていました。

かけたお金と労力の割に、社会への貢献度は低いのではないか。これは、人生の無駄遣いをしているのではないだろうか、と思うようになっていきました。

自分が頑張れば地域振興につながる

金井は28歳のとき、交通事故に遭ってしまいます。生死の境をさまよい、3週間意識が戻らない状態に。今では幸い回復して問題なく生活できていますが、そのときの傷はまだ残っています。

そういう経験をして、人間はいつ死んでもおかしくないんだなと意識してしまったんです。もう無駄なことはやっていられない。自分のやっていることが地域や社会のためになっているのだろうかと疑問に思ってしまって」

そう考えた金井は、自分のやりたいことをやろうと思うようになります。税金の使い方にも疑問を持っており、自分自身もサービス残業を当たり前にやっていた。しかし、もともとやりたかったことは農業と地域の振興。そして、県庁を辞めて自ら農業をやろうということに考え至ります。

「まずは仕事を辞めないと」

激務の仕事を辞めないことには何も動けないと思った金井は、2018年3月で県庁を退職し、どこで農業をやろうかと考え始めます。就農イベントにも足を運び、自治体や農業関連企業のブースで一通り話を聞いていたところ、そこに遠野のブースもあったのです。当時の遠野は、農家やプロデューサー、ビアツーリズムガイドの採用を予定していました。

農業人口が減っているのは、儲からないから。儲かっている農家には後継者がいますし、農業を次世代につなげていくためには、儲けないといけないと強く思っています

そんな考えで、各ブースをまわっていた金井。就農イベントに参加する前に気になっていた地域は、儲かる農業がイメージできませんでした。しかし、遠野では金井の考える「儲かる農業」を作り上げていけるかもしれない。単純におもしろそうでもある。そう思った金井は、遠野の採用に応募し、最終面接で初めて遠野を訪れることに。

そのときの遠野は、ドイツ式のホップ栽培を進めていこうとしていましたが、まだ完成しておらず、パドロンハウスもできていない状態。金井自身も、他の地域にも応募していて、まだ遠野にするか他の地域にするか決めきれていなかった状態だったと言います。

「農業を通じて地域振興をやりたいと思っても、自分にそのノウハウはない。新たな土地に行ったら農業だけで精一杯で、地域振興までは手が出せないですよ。でも、遠野だったら市も農家もキリンも連携してやっていて、自分が頑張ることが地域振興につながるんだろうなと

最終面接でそれがわかった、という金井は、最終的に遠野を選んだのです。

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今は主にパドロン栽培に従事。金井は普及指導員で培われた経験や知識を生かして、植物のある症状に対してどう対処したらいいかを診断することができます。ただ栽培するだけでなく、改善を繰り返していく。金井が遠野の農家として加わったことで、遠野の農業改善スピードは格段に速くなっていくかもしれません。

ホップをしっかり稼げる作物として育てる

金井は、まずパドロンで稼げる状態を作り上げることを目標にしています。そしてホップもどうにかしたいという思いも。

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ホップ農家は後継者がいない。子どもが継いでいないんですね。そのホップをしっかり稼げる作物に育てていかないといけない。そして、遠野がホップの産地として、市民が誇りに思うようになってもらいたい

そして、それを魅力に感じて移住者が増えれば、とも考えています。千葉県庁在職時にも、国勢調査のデータを使って自分で人口予測を立てるなど、人口減少に興味を持っていた金井。地方に比べて東京は栄えているものの、その東京は地方からヒトもモノも供給されることで成り立っている。地域が衰退してしまったら日本も衰退してしまうという危機感を持っています。

農業を元気にすることは、地方を元気にすることにつながるんです

「儲かる農業」で遠野が元気になる日は、そう遠くはないかもしれません。



ホップの里からビールの里へ VISION BOOK


富江弘幸
https://twitter.com/hiroyukitomie

企画
株式会社BrewGood
https://www.facebook.com/BrewGoodTONO/
info@brewgood.jp

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ビールの味の決め手といわれる、ホップ。半世紀にわたり日本随一のホップ生産量を誇る岩手県遠野市は、ホップとビールによるまちづくりに挑戦しています。取り組んでいるメンバーの想い、挑戦の過程をご紹介します。