キュウリが虹になり、風はつくればいいというはなし
子供の発想は、無限大だ。
よく言われるけど本当にそう思う。
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ある夏の日、娘は輪切りにしたキュウリを夕食に食べていた。
イギリスのスーパーで売られているキュウリは、日本の3倍くらい縦も横も大きい。優に30センチ定規は超える。
私の通わせている保育園ではおやつ持参だが、給食を出す現地の保育園では、生のにんじんやセロリなどがおやつとして出てくるらしい。
そしてみんな普通に食べる。意外と健康的なのだ。
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「見て。おつきさまみたいでしょ」
輪切りを小さな口で一口食べると、あら、ほんとに三日月のようなかたちになった。
「これね、こうするとレインボーなの」
そう言って食べかけのキュウリを横向きに変えテーブルにつけて、見事レインボーに見立たせた。
(すご...!)
さらに続ける。
「あとね、ニコニコの目!」
(えーー!!)
なんだこの発想の柔らかさは。
せいぜい三日月とバナナくらいしか思い浮かばない私はなんて頭が堅いんだ。
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さらにこんなこともあった。
ある日、最近お熱の凧を持って公園に出かけた。
その日は風がなく、凧揚げするには決して良い状況とは言えなかった。走っても走っても、凧は空に上がらない。
途中なにか考えたように立ち止まり、おもむろに凧を持ってブランコへ向かった。
(まさか、、)
そう、娘は風がないならつくればいいと思ったらしい。
ブランコを利用して、凧に風を与えようとしたのだ。
驚いた。
「もっと、もっとおっきく!」
と押し手の私に圧をかける。
凧が風に舞うと、娘はとても嬉しそうにキャッキャと笑った。
ちなみに家でも凧を扇風機に当てながら走り回っている。
それは階下に迷惑だからやめとくれ...。
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言葉と行動が結びつき始める3歳から4歳は、とても面白い。
常に新しい発見が毎日何回もある。
生まれる発想を潰さないよう、伸ばし、広げてあげたい。
ときには余裕がなく、大人げなく叱りつけてしまうこともあるけれど、生まれる発想を逃さないよう、褒めて認められる広い心を持てるよう、しっかりとこの目で娘の成長を見届けていきたいと、改めて思ったのだった。