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【世界の終わりに気づいてしまった】救世主になれないあたし


【イラストに物語つけてみた! 第二弾】の最後を飾る8作目。

世界の終わりを知ってしまった少女の話。
作は【OHAGI】が担当しています。

動画の方もぜひぜひお楽しみください。


救世主になれないあたし


ごく普通の女の子だった。
少なくとも15歳だったきのうまでは。

だけど・・・

16歳の今日はもうちがう。
あたしは・・・
世界の終わりを知ってしまった。

神様のお告げなんかじゃない。
でも、なぜか〝わかる〟

いつ、どこで、どうやって終わるのかはわからない。
でも、終わるということだけはわかる。

それと・・・

世界を終わらせるのは〝あの人〟だ

よりによって、あの人・・・
あたしの愛しいあの人・・・

もし、あの人でなければ、全力で阻止したのに・・・
世界を破滅から守る救世主にだってなれたかもしれない。

でも、あの人が終らせたいのなら、あたしは何もしない。

こんなに想ってるのに、
あの人は、なんであたしを見てくれないんだろう。

ねえ、もし「秘密を知っている」と伝えたら、
少しはあたしを見てくれる?

命を狙われている。
ほかでもない、あの人から・・・

ほら、今もナイフを隠し持ってあたしを狙ってる。

バカなことしたって後悔してるかって?
とんでもない。

今、あの人はどうやってあたしを殺そうか、
あたしのことばかり考えてる。


あたしに夢中なんだから!

あたしは逃げる。
逃げて、逃げて、逃げまくる。

死にたくないからじゃない。
この幸せな時間が、1分1秒でも続いてほしいから。

そして最後は・・・
あの人の手で殺される・・・!

どうしよう、ドキドキが止まらない!

世界は滅びた・・・

あの人は・・・
あたしを殺すのをやめて、決行した。

なかなかつかまらないあたしに、
しびれを切らしたんだと思った。


でも、ちがう。
あたしに世界を救う気なんかないって、見抜いたんだ。

世界はあたしとあの人だけになった。
2人だけの世界。

これからあの人と新しい世界を創るんだと、心が躍った。

でも、あの人は・・・
やっぱりあたしを見ていなかった。

すべてをやり遂げたかのように、逝ってしまった。

あたしという生命体を放置するなんて、
世界滅亡は未完成じゃない!

どんなに憤ってなじっても、あの人はもういない。
あたしは一人ぼっち。

これから先、誰とも交わることもなく、たった一人。
この命が絶えるまで、ずっと・・・

ああ、そっか。
その瞬間が、本当の世界の終わりなんだ。

こんなことなら、世界を救えばよかった。

おわり


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