財産
私は一般受験で大学に行きました。その中で考えたことをつづります。完全に自己満です。
大学受験は人生の中で大きな岐路である。最終学歴はそこで決まるし、何を学ぶかはどこの大学のどの学部に行くかで大きく異なる。
高校までのように、ある程度国で統一されたカリキュラムにそって学ぶわけではない。
だからこそ全国の大学進学を目指す者は死に物狂いで勉強する。倍率は時に10倍を超える。努力が実らないことなんてざらではない。一時の妥協が結果を左右する世界。
毎日10時間以上問題を解き、できない自分と立ち向かい、何度も心をへし折られ、すべてを投げ出したくなるような日々の中で小さな自分の進歩を認め、なんとか自分を奮い立たせる。
休憩時間に立ち寄ったコンビニでかぼちゃプリンを見つけたこと、会計がたまたまぞろ目だったこと、そんな些細なことがその一日の一番の幸せとなることもある。
一年以上たった今思い返しても心が苦しくなる。
赤本の英語を解いてる時間が一番楽しかった。少しだけ未来のことを考えられるから。
参考書を解いているときが一番つらかった。なかなか成長しない自分が見えてしまうから。
何度も夢を見た。高校の部活のみんなとふざけて笑っている夢。クラスの子とお弁当を食べている夢。目が覚めると泣いていた。楽しかった時間を思い出すのが辛かった。
「お前にはその大学はむりだよ」と言われる度に悔しかった。
「MARCHなんてそう簡単に行けないよね」とプレッシャーを押し付けてきた友達が指定校をとった時は祝福の中にどこか裏切られた感覚がした。
指定校の子達がドラマの話をしてくるのが嫌だった。彼らを責めるつもりはない。ただ、いつか彼らを嫌いになる気がして自分の中で距離を置いた。
第一志望を記念受験と呼ぶ人達が嫌だった。そんな奴らに負けたくなかった。
親にお金の話をするたびに心が苦しかった。何度も何度も謝った。罪悪感で突然泣き出した私に「このくらい平気だよ」と応援してくれていた親の「あなたならできる」が何よりの呪いだった。
いろんな人に言われる「がんばれ」はもちろん嬉しかったけど、それ以上にプレッシャーに押しつぶされそうだった。
誰よりも頑張った、そう自分に言い聞かせて向かった受験会場。「いける」。そう思った。でも本当はすぐにでも泣き出しそうなくらい怖かった。逃げ出したかった。
第一志望の受験日前日、仮に他の大学しか受からなかったら浪人しようと決めた。お金も全部塾の先生が後払いにしてくれると言ってくれた。先生が私に期待してくれてるのがわかって、自信に繋がった。
最後の試験日。最後の一科目を解き終わった瞬間、試験時間はまだのこっていたのに気づいたら涙があふれていた。「終わってしまった。」その時の感情は解放感でも達成感でもなく虚無感だった。
人生でこんなにも1年後を想像することが怖い時があるだろうか。今を過ごすのに精一杯で明日のことまで考えられないことがあるだろうか。受験終わった後の遊びの誘いに耳を塞ぎたくなるくらい不安を煽られることがあるだろうか。
2週間後、第1志望の合格発表があった。滑り止めは全て落とし、親になんて言おうかをずっと悩んでいた。そんな最中だった。
自分の受験番号を打つ。緊張はしていた。でも期待はしていなかった。
開かれた次のページには「合格」という文字が載っていた。信じられなくて何度も受験番号を打ち直して確認した。喜びと安堵で涙がこぼれた。言葉も何も出なかった。一人携帯を握りしめ泣き続けた。よかった、よかった、と。
塾に報告に行き「おめでとう」と満面の笑みで言われた時、やっと実感が湧いた。
親にはLINEで連絡し、帰ってきてもう一度報告した。あの時の親の顔と「おめでとう」の声、その日食べたケーキの味は一生忘れないだろう。
辛いことばかりだった。何度も逃げ出したくなった。
だが、逃げるわけにはいかなかった。自分には合格するために努力する以外の道がなかった。
怖いなら今までよりも多く問題を解く。不安なら今までよりも長く机に向かう。
こうして逃げ出さず愚かな自分に向き合い、少しずつ成長する自分を自分自身で認め、小さな目標を確実に達成しながら最初に掲げた合格のために切磋琢磨する。
この経験は私にとって、人生最大の財産となった。
こんなにも努力できたこと、あきらめなかったこと、それは自分の自信となり、今現在も自分自身の誇りである。
努力を実らせた女の美談にすぎないかもしれない。
公開するのをずっと迷っていた。
だが、私は合格したことを自慢したいのではない。
一年が経ち、大学にも通えば周りはみんな合格した人たちなのだからそのような気持ちは起きなくなる。
だが、学歴以上に手に入れた財産がここにはある。それをどこかに書き留めたかった。
最後に。
大学受験をさせてくれた両親、鋭い観察力で指導してくれた塾の先生、共に励ましあい支えあった友達、無理だよとバカにしながら本当は合格すると信じてくれていた部活の仲間。本当に感謝しています。ありがとう。
以上です。
最後までだらだらとした分をお読みいただきありがとうございました。
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