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名刺の運命 ✖ オンライン = アップデート?

いろんな業界の名刺がふえると、交際範囲が広がったような気になった。

会社勤めのころの嵐山さんは、そう思ったそうだ。

自分にも、似たような思い、ではなく、錯覚はあった。
入社後間もない頃、上司の後ろを金魚のフンのようになってくっ付いて、初めて取引先と名刺交換。
先に渡すのか、同時に渡し合うのか、片手で受け取りOK?、なんて入社時研修で習った作法を、脳内でリプレイしながら名刺交換。

無事終了。

ではなかった。
挨拶した目線の先は、取引先相手ではなく、相手の名刺。だから、前に並ぶ取引先の顔と名刺が一致せず。打ち合わせは「顔と名刺の神経衰弱」で終わった。

帰社後、もらった名刺をファイルケースに並べ入れると、一端の社会人になった気がした。
相手に肩書持ちのお偉いさんがいたときは、その場の流れでもらっただけなのに、人脈ができた、なんて気になった。
隣にいる同僚は「名刺見て何ニヤやついてるんだ?」なんて怪しがっていただろう。

先週ようやく緊急事態宣言が解除された。
だが、解除の途端に1日の感染者数が連日10名越え。まだまだ気を緩められない状況だ。
宣言中は対面での社外打ち合わせは禁止となり、原則オンラインビデオ会議となったが、解除後もまだ暫くは継続だろう。

さて先日、初顔合わせの取引先とオンラインビデオ会議をした。しかし、対面ならあるはずの名刺交換は無く、早々に本題へと移った。
他を知らないので、一般論は語れないが、オンライン化の流れになっている今、日本の文化?である名刺交換は減っていくのではないか。
すると名刺の出番も減っていくのではないか。

名刺と並び、オンライン化で窮地に立たされてる日本の文化?のお仲間にはんこがいる。
が、あちらは「はんこ議連」という強力な援軍がいるので、もう少し粘るかもしれない。図太い体を世の流れの川底に打ち立て、もう少し抵抗するだろう。
片や名刺はどうか?名刺議連はないようだ。木の葉のように薄っぺらいからだでは、世の流れに抗えず、流れからすくってくれる援軍もなく、無くなっていくのかもしれない。
(和紙議連という「和紙を通じて日本の魅力を世界に発信する」議連があるらしい。数年前に和紙の名刺を首相に渡してアピールしていたが、彼らは和紙の存続が目的なので名刺をすくってはくれないだろう。)

「名刺の運命」はどうなるか?

嵐山さんは「3年で蒸発してしまう名刺があればいいのに」と思っている。
しかし、オンライン化でそもそも名刺交換が無くなると、紙の名刺も不要。そのものがなくなれば、蒸発しようもない。

名刺が無くなるまでには至っていないが、オンラインビデオ会議に対応した名刺交換サービスは既にある。


データの元ネタはまだ紙名刺のようだが、これが完全電子化すれば「e名刺」になり、すべてオンラインで”名刺データ”交換ができる。
データがクラウドで管理されれば、名刺のぬしの肩書が変わる度に、昔もらったe名刺データ内の肩書もアップデート。こんなことが普通に実現するだろう。

名刺は、蒸発するのではなく、アップデートされる。

必要性はさておき、十分あり得る話だ。

さて数年後には、入社時研修は様変わりしているかも。
名刺交換練習そのものが無いか、e名刺交換の練習になっているか。
初めての名刺交換で感じる焦りや緊張は、これからの新入社員にあるのかなぁ。

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