空想スケッチ(雨のハロウィン)
インスタのリールで偶然見た、
外国のおばあさんのファッションがとても素敵で、
その姿を描きたいなぁと思い、
あわせて最近ハロウィンのグッズが出始めたので、
あーちゃんに買ったカボチャのカチューシャにからめて物語を書きました。
「おや?アザラシちゃん、どうして泣いているの?」
今日はハロウィン。
あーちゃんははりきって、
かぼちゃのカチューシャと、
こうもりのマントを羽織っておめかししています。
リトルカイトとらーちゃんと、
来たことのないとなり街にやってきて、
ワクワクどきどきして、
あちこちお菓子をいただくことに夢中になっていたら、
いつのまにか一人、はぐれてしまいました。
冷たい雨も降ってきて、
心細さで泣いていたら、
背中の曲がったおばあさんが声をかけてくれたのです。
「きっとお友達、すぐに探しに来てくれるよ。
それまで一緒に雨宿りをして待ちましょう」
ツタのからまる、古めかしいバスの待合で、
おばあさんとあーちゃんは雨宿りと、
ここで、リトルカイトとらーちゃんを待つことにしました。
が、
しばらくたってもしくしく泣き続けるあーちゃんに、
おばあさんは少し困って、
「アザラシちゃん、きっとお友達見つけてくれるから、
泣きやんでちょうだい」
「・・・アザラシちゃんじゃないです。あーちゃんです」
「あーちゃん、ちょっと想像してみてほしいの」
あーちゃんは、不思議そうに、
おばあさんの顔を見ます。
「わたしはもう体がうまく動かないから、実際はダンスできないけれど。
ねえ、あーちゃん、一緒に雨の中を二人でダンスしている想像をしてみない?」
最初、あーちゃんは怪訝な気持ちで、
少しのあいだおばあさんをぼうっと眺めていたけれど、
すぐにおばあさんの提案にのることにしました。
あーちゃんはダンスが、バレエが大好きなのです。
雨の中、おばあさんは背筋をピンとのばして、
すました顔でピルエットを完璧にこなし、
あーちゃんもグランジュテで、
水たまりの中をマントをひるがえし飛び越えます。
とても愉快で、いつのまにかあーちゃんは泣くことをやめていました。
「良かった。笑ってくれて」
おばあさんが微笑みました。
泣き止んだあーちゃんは、
赤い包みのチョコレートを、
おばあさんにプレゼントしました。
それからしばらくして、
おばあさんの言うとおり、
リトルカイトとらーちゃんが、
あーちゃんを探しにやってきました。
リトルカイトもらーちゃんもとても喜び、
あーちゃんを強く抱きしめます。
「あーちゃん、とっても心配したんだよ!さぁ、おうちに帰ろう」
三人で喜びの抱擁をしているとき、
おばあさんはそうっと立ち上がり、
うっすらあーちゃんに微笑んで、
何も言わず待合室から出ていきました。
リトルカイトとらーちゃんともと来た道を歩きながら、
ふと後ろを振り返ったら、
霧雨の中、傘をささずにゆっくりと歩く、
おばあさんの後ろ姿が見えました。
あーちゃんは、泣き出しそうになるのをこらえながら、
おばあさんの後ろ姿をしばらく眺めていました。
きっと、リトルカイトもらーちゃんも、
あーちゃんの泣き出しそうな気持ちを、気づくことはないでしょう。
雨の中、二人で踊った愉快なダンスを、
気づくことはないでしょう。
おしまい🍀🍀🍀
<番外編です>
ラスト、ぜんぜん定まってない土曜日の昼下がり、
の出来事
最後は「シブイ」あーちゃんの顔で。
最後までご覧いただきありがとうございました☺
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