短編小説 君が残した鍵
ハラスメントから始まり最悪の形で会社を辞めた。
それでも私を見捨てずに好きでいてくれる君が
「大丈夫」と言って隣にいてくれたから
新たな道を模索することができた。
だけどある日、
君は交通事故に遭ってしまった。
君を失った喪失感はとても拭いきれない。
職を失った喪失感を埋めてくれた君がいなくなって
この喪失感を埋める人はどこにいるのだろう。
私は暗いトンネルの中をとぼとぼと歩いていた。
それでも君の
「新たな道で頑張れよ。応援してる」
このセリフが私を奮い立たせた。
そして一年かけて新たな職につけた。
前の会社とは仕事内容は全く違うけど、
君を失った喪失感を埋めてくれたのは
今の会社の従業員たちだった。
嫌なことや心配することは数え切れないけど
君が見守ってくれてる。
そう思って今日も仕事を頑張っている。
君が残してくれた鍵で
あの哀れみの部屋の向こう側の扉を開いて
ひだまりの部屋に入れた。
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