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弱くていいのさ、梅雨

台風が過ぎ去った朝、いつもより早く目が覚めた僕の心は理由のよく分からない喪失感で少しだけブルーで、でも、なんか既視感あるやつやなあ、と少しだけ笑ってもいた。

一昨日、行った鍼灸院で、先生がいつもの調子で、くたびれた僕の体を触りながら、

「あなたみたいな人がこんな風に痛めつけられているのが私はたまらなく腹が立つんです。他の人たちは、たいして頑張りもせず、そのおかげで健康でいられるから余計に、ね」

彼は、ただ僕の身体を触れているだけなのに、たぶん僕以上に僕の頑張りを理解してくれていて、そして、そんな人が一人でもいてくれるという事実がまた僕に頑張る勇気を与えてくれる。

でも、いつもの彼の頑張らない人たちへの悪態については、

僕の味方をしてくれてすごくありがたいと思う反面、

以前ほど、そうだ、そうだ、とはならず、少し苦笑いしている自分がいた。

うん、僕はただ自分が楽しくて仕方がないから頑張っているだけで、決して自分のこの生き方を誰かに薦めているわけじゃないんだよね。

まあ確かに、以前は、違ったけど。

どうしてこの一度きりしかない人生をみんなもっと全力で命懸けで生きないのだろう

なんて老婆心を抱いて勝手にガッカリしたり憤ったりしていたことも確かにあった。

でも、今は、頑張れない人たちにもそれぞれそれなりに事情があるんだって、というか、実は、みんなもしかしたらその人なりに精一杯頑張っているかもしれない、なんて自然に思えるようになり始めてたんだよね。

もしかしたら気づくのが遅かったのかもしれないけれど。


だって、それを一番、伝えたかった人はもう僕の目の前から去ってしまったからさ。

そして、その自分の筋金入りの間の悪さに、また笑ってしまいそうになっている。

まあ、人生なんてそーゆーもんだ

だから、今日も、吹けない口笛吹きながら、お気に入りのスニーカーを履いて、水たまりを飛び跳ねに街に出かけることにしよう。

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