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ねえ、知ってる?

子どもたちが、よく言う。

「ねえ、知ってる?」

何か聞いて欲しいことがあるんだろう。


先日の夜、私はベッドで横になりタイマーをセットしていた。もう寝ようと思っていたところだ。娘が隣の部屋から出てきて、猫のようにするりと私の横にくっついてきた。

「ねえ、知ってる?」

娘の話が始まる。

「最近わたしさ、お風呂の後、お父さんと会わなくていいようにそのまま2階にあがるんだー。」

そんなことか。薄々気づいてはいた。お風呂上がりに、リビングには寄らず、すぐに2階に上がってしまうこと。

娘は私に何を期待しているのだろう。
聞いて欲しいだけか。


娘と父親は折り合いが悪い。年頃の女の子はこんなものなのか。外から見ていると、どちらにも非はあると思うのだけれど、歩み寄れない。若干、父親に非が多く見える。令和にアップデートできていない。昭和のまま止まっている。困るけれど、どうにもならない。全く話をしないわけでもないし、まあ仕方ないか、と思いそっとしている。


「ねえ、知ってる?」


「娘に避けられてるよ。」


 …口が裂けても言えないな。

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