世俗的なしがらみを手放す・射手座の新月
今日は「射手座の新月」です。新月は地球と太陽のあいだに月が挟まるタイミングです。この日、誕生した人は太陽星座も月星座も射手座になります。太陽星座というのは「私は射手座です」と言う時の射手座のことを言います。ホロスコープを詳しく調べなくてもわかるので便利です。それに対し太陽星座以外の星座は、詳しく調べないとわかりません。
「新月は願い事をするといい」と聞いたことがある人も多いでしょう。では、なぜ新月は願い事をするといいのでしょう?GoogleのAI(会話型人口知能)、Bardに聞いてみました。
やや情緒的な解説が意外でしたので、占星術の視点で補足します。
三次元の世界には時間軸があります。そのため、物事には必ず「始まり」や「終わり」があります。天空では、この時間の経過を「惑星Aと惑星Bの配置関係」で見ることができます。例えば「太陽と月が同じ配置になる(=新月になる)」と、一つの時間が始まり、「太陽と月が対になる(=満月になる)」と、その時間が成熟し形となります。
この惑星Aと惑星Bの組合せは50通りありますが、惑星によって意味が異なります。例えば、太陽と月であれば「日常生活」や「個人の意思」の始まりです。しかし、木星と土星であれば「社会のあり様」を表します。2000年12月に話題になった「グレート・コンジャンクション」は、この木星と土星の関係でした。ちなみに、「新月の願い事」を世に広めたのは、2003年に発刊されたジャンスピラー氏の「新月のソウルメイキング」という本がきっかけと言われています。
さて、射手座のお話しです。
射手座は、自己のシンプルな欲求に従って生きる生き物です。自分自身を縛るもの、抑圧するものを解放して、未来に向かって生きていきます。一般的には、人生に「安定」を求める人が多いと思いますが、射手座は「安定は衰退」と考えます。「冒険」、「挑戦」、「未知の旅」が射手座の基本ワードであり、「danger・この先、危険!入るべからず!」という看板を見たら、入りたくなるのが、射手座の行動原理です。
射手座の一つ前の蠍座は、一つのことに「集中」するサインでした。蠍座は、一つの人物や集団に深く関わることで、自分の居場所を確保したり、持ち味を発揮していきます。ただ、自分以外の存在と深くかかわるためには、その存在からの要望に応えていく必要もあります。それは、束縛や制限が伴う行為です。
12星座は、前のサインの資質を否定していくことで、進化、成長していきます。そのため、射手座は、そうした蠍座の領域を離れ、個人の自由を追い求めます。その結果、それまで提供されていた居場所や安定、あるいは報酬や愛情を全て手放すのです。
ただし、射手座は柔軟宮なので、「何かを求める時」より「何かを手放す時」が、よりクライマックスといえるでしょう。中でも、「世俗的なしがらみを手放す時」が、そのピークです。それはグループラインから抜ける時に始まり、実家から自立する時、故郷を離れる時、あるいは、会社を辞める時など、人生のステージによって多岐に渡ります。
そんな射手座を太陽に持つ人は、自分自身が思い描く良き未来に向けて飛び立つように生きる人が多いでしょう。「やらなくちゃいけないこと=義務」が多いと心が死んでしまうのです。金星を射手座に持つ人は、新幹線の入線や空港で搭乗前のファイナルコールに心が躍る人が多く、火星を射手座に持つ人は、それまで築いたことをゼロに戻しリセットすることでエネルギーが満ちてきます。水星を射手座に持つ人は、表哲学的な表現や観念的な表現が似合います。また長い文章は似合わず、的を得た端的な言葉が得意です。例えツッコミのセンスがある人も多いでしょう。
これは、小説家・脚本家の向田邦子さんのエッセイの一節です。向田さんの暮らしに対する眼差しは、義務が中心になりやすい私たちには、とても刺さる言葉です。そんな向田さんは、太陽、水星、火星を射手座に持ちます。現代よりずっと女性が活躍しづらい時代に、軽やかに自立する姿を示し、女性のロールモデルとなってきました。
また「道に迷った時は、視線を高いところに向ける。そうすると、進む方向が見えてくる」とも語っていました。エッセイだったか記事だったか忘れてしまいましたが、射手座らしい一文が印象的でした。航空機の事故で亡くなった向田さんですが、生前から飛行機は嫌いだったようです。飛行機は射手座の好物だと思っていたので、そこはちょっと意外です。
東海 豊
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