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このときには必ず弁護士に相談を:後悔しないための3つのタイミング

こんにちは、弁護士の髙野です。
刑事弁護人としての経験から、相談者に「もう少し早く相談に来てくれていれば」と感じることが多々あります。今回は、重要なタイミングをいくつかピックアップして、なぜすぐに(別の)弁護士に相談し依頼すべきかについてお話ししたいと思います。

逮捕直後は時間との勝負

まず、最も重要なタイミングは逮捕直後です。逮捕されてしまうと、本人が自由に弁護士を探して依頼することはできません。この時、鍵を握るのは逮捕された人の家族です。
ご家族の中には、逮捕された人に対して複雑な感情を抱く方もいるでしょう。例えば、性犯罪の疑いで逮捕された夫の奥様や、何度も弁償を肩代わりしてきたのにまた万引きで捕まった子供のご両親などです。 しかし、弁護士としてお願いしたいのは、まずはそういった感情を一旦脇に置いていただくことです。逮捕された人が本当に罪を犯したかどうかは、この時点ではわかりません。実際、罪を犯していないにもかかわらず逮捕されるケースは、一般に思われているより多いのです。また、反省を促すために手を差し伸べないという選択も避けていただいたほうが良いと思います。逮捕・勾留は反省を促すための制度ではありません。仕組みとしても反省を促すようなプログラムは用意されていません。
では、なぜ逮捕直後の被疑者に手を差し伸べることが重要なのでしょうか。それは、逮捕日とその翌日に動いた場合と、それ以降では、弁護士ができることに大きな差が出るからです。適切な弁護活動により、より長期の身体拘束である勾留を回避できる可能性があります。これにより、逮捕翌日や翌々日に釈放されるケースもあります。しかし、これらの活動には明確な期限があり、それを過ぎてしまうと使えない手段が出てきてしまいます。より詳しくはこちらのnoteを御覧ください。

したがって、感情を抑えて一刻も早く弁護士に相談していただきたいのです。弁護士選びは難しく、費用も安くありませんが、悩んでいる間に重要な活動のタイミングを逃してしまうのは非常にもったいないことです。

裁判の1回目が開かれると取り返しがつかないことがある

次に重要なタイミングは、起訴された後、第一回公判期日前の段階です。特に、現在の弁護士の活動に不安を感じている被告人やその家族には、この時期に相談に来ていただきたいと思います。「弁護士が主張をきちんと検討してくれない」「高圧的で質問すると怒られる」といった不安を感じている方は少なくありません。驚くと思いますが、私自身このような相談は何度も受けています。
この時期に別の弁護士への相談が重要な理由は、第一回公判で行われる手続きが進んでしまうと、取り返しがつかない面があるからです。一般的に、第一回公判では「起訴されている罪を認めるか」「検察官が請求する証拠に同意するか」という重要な判断を求められます。これらは一度決まってしまうと後戻りができません。例えば、被害者の供述調書の取り調べに同意してしまい、裁判官がそれを読んでしまえば、後から「やっぱり読まないでほしかった」と思っても手遅れです。法律上、同意意見の撤回は許されませんし、裁判官の頭から調書の内容を消し去ることはできません。
したがって、弁護士とうまくコミュニケーションが取れていない、あるいは弁護士の能力に疑問を感じている場合は、その弁護士の提案に従って重要な判断をしてはいけません。そして、これらの判断は一度決めてしまったら後戻りできないので、第一回公判の前に別の弁護士に相談に行くことをお勧めします。

控訴審で証拠開示をしてもらおうという考えは誤り

最後のタイミングとして、第一審(地方裁判所か簡易裁判所)の判決前が挙げられます。
ここで重要なのは証拠開示です。被告人側が自動的に入手できる証拠は、検察官が裁判で使用したい証拠だけです。これは言い換えれば、被告人にとって最も不利な証拠ということになります。起訴状に書かれた事実を争うのであれば、検察官から捜査段階で集められた証拠を徹底的に開示させることが必要です。詳しくはこちらのnoteを御覧ください。

第一審であれば、第一回公判が始まった後でも「期日間整理手続」という手続きを取ることができ、そこで証拠開示を求めることができます。
もし捜査機関が持っているはずの有利な証拠を弁護士が入手できていないという状況があれば、必ず第一審の判決前に別の弁護士に相談してください。控訴審では証拠開示を受けることがさらに困難になるため、この機会を逃さないことが重要です。

まとめ

結論として、刑事事件に直面した場合、できるだけ早い段階で適切な弁護士に相談することが極めて重要です。特に逮捕直後、第一回公判前、そして判決前のタイミングは、被告人の権利を守り、最善の結果を得るための重要な機会となります。迷っている時間があれば、まずは相談することをお勧めします。適切な法的支援を受けることで、事態が大きく改善する可能性があるのです。

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