メンヘラホイホイ-11 楽器

中学時代に付き合っていた麻里子はビジュアル系の音楽を好んでいた。当時はスピッツやMr. Childrenが好きだった俺には刺激が強かったが、影響されて黒夢を聴く様になった。そして洋楽を聴いてマリリンマンソンにドハマりした。

翔と智之もビジュアル系の音楽は好きだったが、別に音楽の話しが合う訳じゃない。

優子や百合香の話を聞いてもらったもんだ。

翔は高校中退後にホストをやっていた。
智之は高校を卒業して専門学校へ通う日々。

彼らとは毎日酒を飲んでいた。


そんなある日、翔が「俺の家に遊びに来いよ」と言うので智之と行ってみた。行ってみると、翔は友人の義一を招いていた。



翔は家族で住んでいる。なんて汚いんだ。
床には小さなチャバネゴキブリがウヨウヨいる。
俺は当時、その虫が何かは分からなかったが、とにかく気持ち良いもんじゃない。

あいつは「みんなでAV鑑賞しようぜ」と、オススメのAVを再生した。

初めて見るAVだった。

内容は食事中の人は見ない方がいい。



片想いしていた女性宅に行くと、男性側の気持ちを知っていた女性は男性にキスをする。もっと舌を奥まで入れてとせがみ、それに応えると女性はゲロを吐いた。
「私の事が好きなんでしょ?飲めるよね?」
男性は女性のゲロを口で受け止める。

「お腹が減ったでしょ?サラダを作ってあげるね。」

男性は「〇〇ちゃんの手料理が食べられるなんて嬉しいよ!」なんて言うが、ゲロを飲ませる女だ。何するかわからねーのに頭おかしいのか?
と思って見ていると
「シーザードレッシングをかけてあげるね!」と、女は自分の喉に指を突っ込み、サラダにゲロをブチ撒けた。

「私の事が好きなら食べられるよね?美味しい?」

男はマジで気持ち悪くなっているのが分かるほど、オエオエ言いながらサラダを食べた。

そして2人はまたキスをするが、女は再びゲロを吐き、ベッドで騎乗位を始める。
案の定、上に乗った女は下にいる男にゲロをブチ撒けまくっている。


俺は気分が悪くなった。
翔の自宅にはエレキベースが一本とミニアンプがあったから、そいつを持った。翔は酒でグデングデンになっているが、ゴキブリだらけの家に上げられ、オマケにゲロまみれの意味わかんねービデオを見せられたので殴って帰った。智之はどうしてたか忘れた。


俺は帰宅途中で靴下を脱ぎ捨てた。
帰宅してからベースを拭きまくった。中にゴキブリいたら嫌だし。

そして弦を鳴らしてみた。チューニングはチューナーが付いていたから合わせ方を義一から教わっていた。

これは楽しいな。


楽譜の読み方は今も分からない。

とりあえず、お気に入りのマリリンマンソンの曲を聴きながら同じ音を探して弾いた。

翌日には3曲弾ける様になった。間違えはあったと思うけど。

そこから毎日ベースを弾きまくる様になった。

爆音で弾く俺にじいちゃんはブチキレていた。そして俺達一家は引っ越しをした。

引っ越しを機に俺は古着屋で働き始めた。
髪を伸ばしてブリーチした。襟足の長さは30センチ。色は白く見えるくらいまでブリーチをした。

遅刻ばかりでクビになった俺は、義一が働く清掃の仕事を一緒に始めた。

そこから俺は義一と一緒に行動するようになる。

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