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ちょっくらシルクロード横断してきます〜中東・アジア旅行記ep30〜

第四章 シリア パルミラ編
三十路センチメンタルジャーニー
ep30、人生最大のリクルート 2006

 映像は爆破から今度はスーサイドボム、つまり自爆攻撃の映像に変わっていった。望遠カメラに映し出されるのは、顔こそ見えないが一般人を装ったムジャヒディーン。

 彼らは徒歩でアメリカ兵に近づいていく。アメリカ兵が彼を静止する素振りを見せた瞬間に彼もろともアメリカ兵が吹っ飛んでいく。また、一台の車がアメリカ軍の車列に突っ込んでいき、そこで爆発。そのような映像が次々と流され、映像はスナイパーの映像に変わる。

 今までは爆破映像だったのでアメリカ兵士がどのような状態だったかに関しては良くは見えなかったのだが(なんか映画の映像みたいだった)、このスナイパーの狙撃映像は違っていた。映像ではアメリカ兵の頭が次々と撃ちぬかれていく。勿論ノーモザイク。

 撃たれた瞬間アメリカ兵は膝から崩れ落ちていく。僕は額から変な汗がでてきて、吐き気すらしてきた。そんな映像にみんなが釘付けになっているうち、一人がウサマ・ビン・ラディンの写真をどこからともなく取り出し、頭の上に掲げたあと、彼はサイコーだと大声で叫び踊り始めた。ここまでくるともう僕はかなり怖くなってきていた。

 そして、そんな彼らから今度は人生で二度とはないであろうリクルートを受けることに。「俺らと一緒にイラクに来い。向こうには食い物もある、寝るところもある、そして武器もある。どうだ?来るか?」おいおい、行くわけがないと激しく思いながらも、この彼らのボルテージの中、普通に否定できるほどKYではない。

 これはやばい。どうにかしなければとヤキモキしていると、ホテルのゆるいオーナーがそれを感じ取ったのか、助け舟を出してくれた。「まあまあ、こいつはただの旅行者だから、そのへんにしてやってくれ」的なことを言ってくれているようだった。もちろん現地語なので自分のただの妄想脳内変換なのだがこのオーナー、若いしゆるいがかなりできる人間と見た。

 それからしばらく彼らのボルテージがクールダウンするのを始めるのを待ち、すきを見てすかさず部屋に戻った。もちろんしっかり部屋のドアを施錠して、バックパックを盗まれないようにするために持ってきた自転車のチェーンを取り出し、ドアが開かないように固定する。やっと一息ついたところで、彼らが拉致しに来ないことを祈りつつ眠りについた。

 シリアは皆親切で、若干の物足りなさを感じていた自分が恥ずかしく思えた。たがが数日滞在しただけの旅行者が滞在先の国の深さを理解した気になっていた浅さが恥ずかしい。ちなみにダマスカスには戦火を逃れてきたイラク人があふれているようだ。そう、彼らは難民。しかも、仕事と家を追われたイラク人女性による売春が社会問題になっているそうだ。

 みんな食べていかなかきゃならない。数年前に訪れた革命後のルーマニアでも同じように街には売春婦が溢れていた。人は食べれなければ生きていけない。これが現実だ。


紛争地における誘拐・売春

難民売春・臓器販売

読んでくれた人へ
 今後、定期的にシルクロード横断日記や行きたいけど行けないという悶々とした気持ちで書いた、脳内妄想旅行の計画などをアップする予定です。お暇なときにでも、そちらも読んでやってください。ありがとうございました。スキをしてくれると僕のテンションが上がります。ファローしてくれたらうれション状態です。よろしくお願いします。人生の無駄遣い万歳^_^

HPやってます。いろいろな旅行関連記事を書いているのでよかったら寄ってみてください(^^)


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