彼女の彼



縁とか運とか偶然とか

遠い昔、私の友人は恋をしました。
若かりし頃の危険な恋・・・ではなく、
彼女も彼もパートナーがいたから
自分たちの気持ちがあんなに近づいていくとは
想像もしていなかったと話しています。


でもやっぱり『恋』とはそういうものじゃない?

当時、恋愛に散々疲れ切ったタイミングで
出会ったパートナーは
彼女にとってはある意味ラクな存在で

『めんどうだな』と思いつつも
それが“安定した恋愛”
それが“普通の恋愛”
それが“普通の幸せ”
愛するより愛される方が幸せ
妥協は必要・・・

そんな世界で過ごしていたんだと

私たちの青春時代は
まだ携帯電話が普及しておらず
連絡は自宅の固定電話や公衆電話
駅の伝言板、メモ書きを車のワイパーに挟むとか
手の届かないところは“運”任せのような感覚

そんな中で、偶然が重なると『運命』を感じて
一気に気持ちが燃え上がったりしていたものでした

30年以上も昔のある日、
彼女はバイト先で知り合った年下の人に
毎年恒例の地元のお祭りにさそわれ
『じゃあまた電話するね』とお互いに約束して
別れました。

お祭りの前日、
それまでにも電話で連絡を取り合ったはずだった。なのに前日になってすれ違いが起こった。

年下のカレが彼女の自宅に電話をすると
まだ帰宅していなかった。

帰宅した彼女がすぐにかけ直すと
今度は年下のカレが遊びに出かけて不在。

今なら真夜中であっても、
LINEすれば待ち合わせ場所や時間は
確実に確認できる。

でも当時はそれが不可能
自宅の固定電話ですから
非常識な時間にはかけれない

お祭り当日、朝からお互い電話するたびに
繋がる事が出来ず、結局会うことが出来なかった。
連絡が取れたのはお祭りの翌日。
2人はそのまま縁も心も離れてしまったとか。

『いつも私ってついてない・・』
そうつぶやく彼女は
昔からうまくいかない恋ばかりだったそう

学生時代からずっと仲良しだった男友達とも
うまくいかないといつも話していたらしく
不器用な事もお互いわかっていたつもりだった



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