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飲食と人生 ( 取り留めのない放言とレシピ)    その19

 私の基本的食事スタイルを シリーズ 16、17,18で、ご理解していただきました。
 ありがとうございます。
 本来のnote、食にまつわる放言とレシピに戻りたいと思います。  
 少し、時間が空きましたが、我が家に、新しく猫が来たため(写真の子) 彼に忙殺されていました。

 鰻、うなぎ、蒲焼

 学生時代、仕送りなしだったので、
アルバイトと奨学金で、学費、その他一切を賄っていたため、月一度の支給日に、老舗の鰻屋さんで、学生割引の鰻丼をご飯大盛りにして、2杯食べる事が楽しみでした。
 卒業後、残って起業した為に、以来、45年間、御世話になっています。160年以上続く名店です。
 私の原点になっている鰻は、小、中学時代の夏休みに、釣ったり、突いたりした鰻を、焼いてもらったものですね。身がシッカリ、歯ごたえが有り、時に泥臭かったり、アレっと思う程、淡白だったり、様々な記憶が蘇ります。

 焼き物全般にいえる事では有りますが、やはり、炭焼きでなければ美味くありません。というよりガスで焼くとガス臭くなります。
 味が濃い醤油ダレなので、判りにくいかも知れませんが、比べるとハッキリと身に アノ玉ねぎの腐ったようなニオイが鰻に染み込んでいるのがわかりますよ。

 近年、自宅で炭を起こして、、、は現実的では無いので、焼き物全般には、サラマンダーという上火式のガスコンロを使います。焼き鳥、焼き魚、焼き肉等も思ったように目で確認しながら焼け、ガス臭が無く、火加減、調節も簡単で、さらには来客も自分で焼きたがるので、手間無しで楽しそうです。
 鰻の焼き方は、
1 蒸しを入れる関東、
2 白焼きからそのままタレ焼きに仕上    げる関西、
3 焼くときに 驚くほど大胆に身を折りたたんで、脂を落とす高知
と大別出来るようです。
 勿論、名店と言われるとこは、ほぼ全て、炭焼きですね。
 炭焼きはサラマンダーと違い、落ちた醤油ダレや鰻の脂も上手に風味に変えています。

 焼き一生と言われる職人魂の成せる技ですな。
 季節は、常識のように、土用の丑の日、初夏とされて居ますが、養鰻、鰻職人に聞くと、鰻そのものの旬、美味いのは冬ではないか。と教えてくれます。
食べるカレンダーとしては、暑い夏を乗り切る為の行事として、定着した訳ですが、
産前、産後、風邪、病気明け、疲労回復や 私のように月一度の愉しみでも良いわけです。
 私の通う店は、2月頃から3月中旬まで、蒸籠蒸しが お品書きに上がり、冬の楽しみになっています。
 ある年の大雪の日に、蒸籠蒸しを食べ終わる頃には大汗かきながら、外の降りしきる雪を観た事を思い出します。

  養殖か天然か?  

 意見が分かれるトピックですね。
 確かに、専門の川漁師にカゴで獲ってもらい、綺麗な山水で数日飼って、
( タレも事前に鰻の頭、骨をよく下処理してから白焼きにして、そば返しと純米酒で煮て、数日寝かしたものを別に作って置くのが大事で、慌てて醤油、味醂、純米酒、砂糖、等で作っても 味に一体感が無く、ツマラナイ焼き上がりになる) 

関東式で蒸しを入れ、堅炭(備長炭)、もしくはサラマンダーで焼いています。
 膨大な手間と神経、費用、時間、人間関係の末に、アタマからやはり天然は美味い!! とは言い難い時も多々、有りました。 
 確かに、こりゃ凄い!!! タレに負けぬ良い香り、身そのもの の美味しさ、皮のモチモチ、一口食べる度に称賛せねば、と思わせる事の方が、

むしろ少ないです。   
 要は、天然モノは一期一会で、品質の差がとても大きく、一生にそのような素晴らしい出会いモノは、、、、さらには焼き、蒸しの塩梅が、、、
カナリ難しいでしょうね。

 と言うわけで、個人的には養殖推進派です。
 素晴らしい天然物の自然環境と同じ環境、水質、餌などを揃えて飼えば、安易に天然物でないと、、、とは言えない身肉の旨さ、脂の質、香りの良さを持った鰻を飼っている零細養鰻家が居ますし、彼いわく、今後は更に効率生産よりも品質重視の育生が、プロの間で拡がりつつ有るそうです。楽しみですね。

 今後、さらに鰻の完全養殖が本格化して、シラスウナギ、黒子の値段は下がるようです。
 岡山県のシャコ鰻、四万十川の川海老をたっぷり食べたモノは、絶品でしたが養殖だと出荷前にそれらの餌で仕上げられますよね。今後に期待です。

  先日、浜名湖の蒲焼を、玄米で頂きました。幼少期からの大好物ゆえに、
つい、それでは今日は、特別に白米を
炊いて、、、、と考えていたのですが、
蒲焼やタレが、旨味や甘味の濃い玄米と実に良くマッチして、私の中では、寿司以外、精白米は必要無いかも、と感じました。
 

 



 

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