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鬱から始まる異世界ブラック企業狂想曲④

今回は、私が異世界に飛ばされてブラック企業で働き始めたことを話そうと思う。

「お前が俺の階級を越す時は、俺は定年迎えてるな。」
といわれた次の日の朝、目覚めたら私は異世界にいた。

異世界と言っても、部屋の中や窓から見える景色は何も変わらなかった。
年号は平成のままであり、道路には普通に車が走り、近くにはコンビニがあり、文明も変わりがなかった。
職場に行く経路も、職場の建物も同僚達も何も変わらない。

変わったのは上司だけだった。
しかし、そこはまさに異世界だった。

私の当時の部署は主に会社として各部署に対する業務計画や業務命令を作成し、それらの業務を統制するところだった。

私の会社では通常、職務ごとに何の仕事をするかを示す組織図を作るのだが、Oは自分と私の仕事の切り分けをわざとしなかった。

そうするとどうなるか?
会社のNo2のOに対し他の人は仕事を振ることができないので、事の軽重関係なく業務経験半年(研修のため1年3ヶ月のブランクあり)の私のところに全ての業務が来る。
当然2人分なので膨大な業務量。
帰りが23時で早い方で、
2時、3時帰宅が当たり前になった。
それでも上司は何一つ手伝おうとしなかった。

土日も出勤し、日曜の午後に帰って1週間分の準備をした。

どうやって日曜の午後だけで生活できていたか?
それは1週間分の米を炊き、1週間分の肉を焼いて冷凍するのだ。
深夜に帰ってきてこの二つをレンジで解凍して丼にしてかきこみ、泥のように眠った。

この会社はこれらの恒常業務だけではなく、春夏秋には月一回、1週間泊まり込みの業務があった。その業務のために更に1週間泊まり込みで計画を立てるのだった。

仕事の時間は
月2週間泊まり込み
それ以外はほぼ午前様
土日なし。
残業時間は月300時間を超えた。
時給換算110円だ。

更にその他の業務で警察に要請されて要請先に行くことがある。
最低2人の部下を連れていくので
彼らに飲み物を奢ると、2時間分以上(当時ペットボトルが120円だった。)の給料が消える。

また話がそれてしまった。
仕事の話に戻るが、
残業時間300時間はいうほど辛くはなかった。
辛かったことのひとつは、Oが業務上の決心をなかなかしてくれなかったことだ。
O自体に能力がないので内容を理解できず決められないのだ。
社長に「使えないやつ」と言われるのが嫌なので腹を括ることもできない。
あーでもないこーでもないと要領を得ない指導を繰り返し、結局ほぼ私が最初に出した案に戻る。
あーでもない→仕事が他にもあるので深夜までかかって直す。
こーでもない→深夜2日目、3日目、4日目...
何度も繰り返す。
合議の印鑑を押してくれないので先に進めない。
時間切れギリギリになって印鑑を押すので社長からは「これはこのまま決裁しろということか?強姦と同じだな。」と言われる。
Oが決めてくれないせいですとは言えない。

これよりも何よりも一番辛かったのが、
Oの合議を受け、社長から決裁を受けた計画をその計画通り進めており、問題が発生しているわけでもないのに、
Oが何か気に入らないことがあると私を部下の前で罵倒し、勝手に指示を変更し別の指示をし始める。
そうするとどうなるか?
「計画があってもどうせ上司が変えてしまうのだろう。」と部下が私のことを見てくれなくなる。
本当に本当に、これが何よりも一番キツかった。

一生懸命作った計画や命令をOの気分で勝手に変えられるので
自分の仕事の意味も達成感も何もなかった。

思い返すとOから何かを教えられたことも、何かを得たことも一度もなかった。
人の潰し方は身をもって知ったかな?笑
絶対にやらんけど。

今思えばOは、自分に自信がないから私を蹴落として周囲の歓心を得ようとしていたのだと思う。
Oと私の部下のHは元々上司と部下の関係だったので、結託して連日の深夜までの残業でゾンビのようになっていた私の些細なミスをあげつらって嘲笑し、責め立てた。
それでも一年半耐えた。

もはやその頃には嘲笑されても何も感じなくなっていた。
心身ともに本当にボロボロだった。



今思うと完全なイジメだよね。
社会人になってもこんな風に組織的なイジメがあります。
でも令和の今、今まで語ったどれでもパワハラで訴えてお金取れる案件ですよ。
訴え出ることができた五ノ井さんがとても羨ましいよ。
当時は本当に追い詰められていて、訴える場所も時間と気持ちの余裕もなかった。



耐えきれずに社長に直接訴えても取り合ってもらえなかった。
せめてOから離してくれと配置換えをお願いしてもダメだった。
何の注意もしてくれなかった。
社長はOの高校の先輩だったから、彼の味方だった。

その頃には私の仕事への情熱や会社への忠誠心はなくなっていた。
もうどうでもいい。死んだほうがマシだ。
心が折れる一歩手前まで来ていたのだと思う。

私の心が折れるのに決定的だったのが、2007年の新潟中越沖地震の時だった。
それは次回に語ろうと思う。

今回は上司が変わって突然異世界に来た話でした。異世界に来たんだから私にもチートな能力が欲しかったな。

最後まで読んでくれてありがとう。

※この話はフィクションです。
実在の人物や団体などとは関係ありません。
ということにしておいてください。

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