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基幹システム刷新を起点に目指す、経営・業務・システムの三位一体体制

本インタビューでは基幹刷新に向けて、グランドデザインの策定を終えた明治産業株式会社様にお話を伺いました。

明治産業株式会社は、自動車部品を中心に国内外に事業所と関連会社を持ち、グローバルな事業展開を進めています。2033年の100周年に向け、売上高1千億円(23年9月期は403億円)を目指し先進技術にも意欲的です。

ブレインズコンサルティングは、全社システム再構築グランドデザインとして業務/IT改革に関する憲章、基本構想、システム化構想の策定を支援させていただきました。
今回は、同社の斉藤様(担当取締役)、矢吹様(情シス担当執行役員)、中村様(当時の経営企画部長)にプロジェクトの担当役員である松井がお話を伺います。

ご支援のきっかけ

斎藤様:一番始めにお願いしていたのが、基幹ではなくローコードを活用した海外部の業務の効率化でした。
海外部のプロジェクトが進む中、計画していた基幹刷新の雲行きが怪しくなり、予定していたパッケージの導入が難しそうだという事がわかりました。仕切りなおして根本的に計画を見直さなければならなくなり、平瀬さんに支援可能かご相談をしたのが、このプロジェクトの始まりです。

そしてまずは入口のところで基本的なところを再確認しようという事で、グランドデザインを描くところから始めようという話になったんですね。

ご支援の開始

矢吹様:弊社は国内販売及び輸出入がありますので、物流も営業もそれぞれ国内海外とあります。またSeikenという自社ブランドも持っておりますので生産に関するシステムも動いています。そういった幅広い業務を、複数のパッケージでカバーしているというのが弊社のシステムの現状です。
それゆえ、複雑なパッケージ間連携が存在する部分に関しては、既に明確になっている課題でした。また、過去に別のコンサルタントが入ったこともあり、ある程度現状業務の課題に関してはピックアップされていましたが、これから明治産業100周年を迎えるうえで中長期計画上、システム関連部分において何が必要になってくるかという点について、まだ具体的な検討がされていない部分がある状態でした。

松井:実際は我々のインプットを兼ねて、ステークホルダーの方々に課題をお聞きするところから始めさせていただきました。課題を全てお聞きした後に、17の変革テーマとして明文化を行いました。そしてそれぞれのテーマについて、具体的な解決の方向性を検討するために分科会という形式でディスカッションを行い、弊社メンバーでそのファシリテーションをさせていただきました。

分科会を通して部門間の議論が生まれはじめた

矢吹様:それぞれやっぱり問題意識を持ってましたね。今より良くしよう、納期を短縮しよう、欠品をなくそう等、担当ごとにやっぱり課題感がありました。
それを業務改革やシステムでどう実現していくかというのが、分科会の議論を通じてインプットされていったような気がします。新しいシステムでどのように対応していくのか、導入に至るまでまた大変な作業にはなるとは思いますが、今回の議論がベースにあることで入っていきやすくなったかなと思っています。

松井:部門を跨いだ意思疎通や合意形成は難しいというのが世の常ではあるのですが、今回特にSCMに関しては、多くの部門の方にご参加いただき複数回にわたって分科会で議論を行いました。
当時経営企画部長として、全社を俯瞰する立場としてこういったテーマ別の分科会形式での進め方についてどのようにお感じになりましたか?

中村様:今回、分科会をやった事で、主張や思いをぶつけてみて、「いや、でもこちらとしても」と反論するような会話ができる状態を作っていただけた。完璧ではないですが、分科会を通じて、お互いに話し合おう、みたいな動きができるようになったと感じています。

もう一つの成果としては、組織の役割という立場から逃げずに議論できるようになった点でしょうか。
分科会ではブレインズさんが作った体制図を元に議論を行う。そうなると”仕入”、”生産”などきちんと振られている役割で発言しなければいけない。部門間の喧々諤々を起こすことができたのかなと思います。きっかけとして刺激を与えてくれたと思います。

斎藤様:いい意味での外圧を加えて、風を吹かせてくれたっていうのがありますね。

弊社が記載した合意形成モデル

経営・IT・業務の三位一体実現への一歩へ

斎藤様:部門を横断して話しをするといった場面はなかなかありませんでした。システム関連の話をするとなるとシステム部が担当部門に個々に聞き取りをする。全部システム部経由になってしまう事が多かった。それが今回の分科会を通じて、「横の連携をしなければいけない」という事を関係者が本当の意味で理解できたと感じています。

『何でもかんでもシステム部じゃない』っていうのは、以前から矢吹さんもずっと言い続けてた。システム部にあとはよろしく、ではなく部門でまとめて持ってきてもらって、という習慣が少しはついたのかなと思います。

矢吹様:以前から経営、システム、業務の三位一体を実現したいという思いがありました。賛同はしてくれるものの、以前のコンサルタントからは具体的な進め方や提案がなかなかでてこず、「それは御社で実行する部分です」で終わってしまいました。それが今回グランドデザインのプロジェクトで少し実現されてきたように思います。経営があって、システムがあって業務があるっていうのを実現するためには、ガバナンスをきちんと利かせなきゃいけない。

斎藤様:実はお願いするか削るか迷ったのですが、結果的にITマネジメントの整備の部分をお手伝いしてもらったのが良かったと思っています。

松井:業務部門が責任を持ってIT投資を申請する、その他のルールとガイドラインの整備をお手伝いいたしました。また、その際にシステム部は何をやってくれるの? という疑問や懸念を打ち消すために、システム部の目標や役割も併せて整理させていただきました。

斎藤様:ITマネジメントを整備したことで、あるべきオーナーシップを少しづつ持ち始めているように感じます。今出してる稟議では、経営企画課から「他社比較したのか」「投資効果は」と、コメントが入って戻ってくるようになっています。ITマネジメントを強化したことで、いままでのようにシステム部に丸投げはできない。業務側からしたらやり辛くなったかもしれませんが、業務部門、システム部門、経営企画という役割と関係がうまくでき始めているように感じています。

会社の中計も常に三位一体で語る

斎藤様:会社の中計の話をするとどうしても事業の数字の話に偏りがちです。そこを事業の数字とシステムと、人の話は全部繋がっているという事を執行役員、幹部に対して事あるごとに伝えるようにしていました。この三位一体の図を中計の資料に加えました。次期基幹システム刷新という10年に1度の機会を捉えて、変革していく時と考えています。

矢吹様:ブレインズさんには社長報告という形で、一緒に報告会を行っていただきました。その報告会を通じて、社長の理解が深まっていったのも三位一体が実現しつつある大きな要素かなと思います。最終的には社長が旗を振ってくれないと三位一体の実現はできません。きちんと理解していただいて進めることで、ブレも後戻りも少なくできるのかなと思っています。

斎藤様:実は個人的にはまだ、いくつかやりたかったことをやれていない部分もあります。その持っていき方は何かもう少しやりようがあったかなという思いもあります。何かを変えようとすると、なかなか全員が賛同するということはないですね。その変えたくない人たちを繋いで、どう持っていくかというのは正解がない。

そのあたりも、よくブレインズさんに相談していましたね。上手くいった部分、いかなかった部分それぞれあります。少なくともそういう石を投げ、投げられた石でいい意味でちょっと傷がついてる、そこに意味があるのかなと思っています。

コンサルタントを「懐刀」として上手く使いながらも、プロジェクトの主体は明治産業

松井:SCMについては、ロジスティック周りの経験のある平瀬がご支援させていただいたところもあって、ファシリテーションだけではなくて、知見を提供させていただけたと面もあったかと思うのですがそのありたりはいかがでしたでしょうか。

斎藤様:そうですね、通常のやりとりであればクライアント側が「こういった仕事のやり方やっていて、こういうことをやりたいんです」と説明します、それを聞いたシステムコンサルタントが、では「それを実現するためには...」というような進め方をします。しかし今回は平瀬さんからは「こうやりたいと言っているが、実際はこういうことの方がいいんじゃないか」というような話がいくつかあったのは、我々にとっても勉強になり、良かったんじゃないのかなと思っています。

矢吹様:あとブレインズさんはお客様の懐刀っておっしゃってますけど、結構刀振り回してますよ(笑)
ハード含めいくつものベンダーさんとやりとりをしますが、どうしても付き合いが長くなってくると我々からは、言い難いところも出てくる。そこを第三者として指摘してくださっています。結構ベンダーさんにとっては恐ろしいんじゃないですかね。
そういったベンダーさんとのやり取りも含め、いままで当たり前にしてたことが、「あれ、当たり前じゃなかったのか」という気づきがありました。

斎藤様:これは実は裏腹で、今後気を付けていかなければいけない部分でもあります。我々が自分たちで主体的にベンダーさんと話をするっていうのを、今回ブレインズさんにパートナーとして一緒にやってもらっている。そこがいつの間にか、「ブレインズさん、あとはベンダーさんとよろしくやっておいて」などと任せきりの状態になりかねない。
主体性を無くさないように我々もやらなきゃいけない。一方ブレインズさんもただ一生懸命やってくれるだけでなく、我々にやらせるというところを意識していただければと思っています。

過去2回これまで在籍した会社で経験していますが、どうしても目の前のプロジェクトを回そうとする。それはそれで大切なことですが、やっぱりその先を見据えて、「誰が何のためにやってるのか」という軸をみんなで確認しながら進めて行く必要があるなと感じています。

松井:我々としてもこういったことを意識はしつつ、この先人財作りという観点でも支援できたらと考えて、プロジェクトのミッションステートメントにもいれさせていただいております。
業務の変革と基幹システムの刷新というのは、ずっと在籍していても、そうそう経験するイベントではありません。この機会に次世代を支える人材が光り輝くように、我々もご支援していきたいと思います。

斎藤様、矢吹様、中村様お忙しいなかお時間ありがとうございました!