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小さな習慣を多く重ねる。パーソルキャリア岩田和花が行う、事前準備とその心構え

「私の未達時代」では営業の第一線で活躍するトップセールスを訪ね、彼らの考える営業の極意を語っていただいている。今回はパーソルキャリア株式会社に所属し、歴代で最もdodaを売った営業「歴代No.1セールス」の肩書きを持つ、岩田和花さんに迫った。

後半では、彼女が営業フェーズにおいて注力していることや、大事にしている習慣など、読者が明日から役立てられる営業Tipsを紹介してくれた。若手営業パーソンとして活躍する岩田さんの戦術から、売れ続ける営業になるための秘訣を、ぜひ盗んでいってほしい。

商談の「台本」作りは、1つの商談に対して5時間

——各営業フェーズのなかで、普段最も力を入れているのはどこでしょうか?

そうですね、私は「商談準備」に力を入れています。結局、一番重要なのは「ヒアリング」の時間。ヒアリングでお客様の何をどれほど聞き出せるのかによって、受注できるのか否かが分かれます。ニーズをちゃんと理解できれば、あとはそれに沿って提案できればいいだけなので、ヒアリングの時間を完璧にこなすために、事前の念入りな準備は欠かせません。

——具体的にどのようなことをしているのですか?

事前に企業のIR情報を読むのは前提に、実際にその情報を商談のどこで話すのか、話したらお客様からどういう言葉が返ってくるかまでもイメージするようにしています。

具体的に言うと、全ての商談において「台本」を作っています。商談での一つひとつのセリフから、「眉間に皺を寄せながら」といった動作についても、全て文字に落としてシミュレーション。商談では一人の役者のように、営業を演じています。

※参考に見せていただいた台本の1ページ目。お客様の返答パターンが細分化され、それに応じた対応も細かく記載してあります。

——しびれました。ここまで細かく台本を作っている人は初めて見ました。

初めて作った時は、一つの商談に5時間かかりましたね。今は、以前使ったものを応用させているので、1時間半ほどでできるようになりました。お客様に合わせて、使う言葉も硬いものや砕けたものに変えながら台本作成をすることも意識しています。

——なるほど、お客様の雰囲気に合わせて、自分のテンションも変えていくんですね。こんなに緻密な台本を作ろうと思ったきっかけは、何かあったのでしょうか?

二つあります。まずは受注確度を落とさないため。商談の際にお客様から質問され、その質問を想定していなかった際に、「確認します」と言って一回持ち帰らなければならない場合もある。そうすると、どんどん提案のタイミングが押してしまうので、受注しにくくなってしまうんです。もう一つは、自分の性格上の理由。私はとてもビビりなので、そんな私でも堂々と商談ができるように、考えられるものは全て想定し、どんなパターンで来られても対応できるような準備をするようにしてます。

図々しくも愛嬌を持つ。後輩力を武器に上司を使い倒す

——例えば商談のなかで、企業それぞれの経営的な話や事業課題について、話題が飛ぶ可能性もあります。そういった部分を想像するのは難しいのかなと思うのですが。

もちろん難しいです。なのでIR資料を頭に入れておくことは大事ですし、それを見た上で仮説を立て商談に挑みます。

あとは事前にお客様に電話をして、「ご提案プランとして〇〇と△△を組み合わせたものを想定しているのですが、ご検討可能ですか」「金額としては〇〇円くらいのプランをお持ちしたいと思っていますが、ご検討可能ですか」等と、状況についてヒアリングするようにしています。当日の商談にお越しになる上層部の方ではなくても、どれほどの価格やプランであれば検討できそうなのか、事前に把握しておく。その上で商談に挑むので、全くのゼロベースで商談を進めることはありません。

——IR情報の確認など、どうやってできるようになっていったのですか?

最初は見方も分からないので、「ここってこういうことですか」「こういうことをやっていくんですかね」と1on1で上司に壁打ちしながら、見てもらっていました。
その際に上司から「僕だったらこういう対応をするね」と教えてもらったり、逆に質問してもらったりして。繰り返すうちに徐々に、どんな情報があればどんな仮説が考えられるのか理解してきて、ようやく一人で想定ができるようになりました。

——うまく上司を利用する。以前Twitterでも「後輩力が高い=トップ営業の素質あり」と書かれていましたね。

Twitter見られていると思うと、恥ずかしいですね(笑)。でもそうなんです。図々しくも愛嬌がある人。やってみますかと上司に言われた際に、「はい!私やります」と素直に言える子が、やっぱり可愛がられますし、機会を与えてもらいやすいです。後輩力を磨くことは、社内であってもお客様先であっても重要なポイントだと思います。

あとは、2秒考えて分からないことは人に聞く。それを徹底しています。自分が解を持っていないのに考え続けるのは時間がもったいないですし、困った際にはすぐにヘルプを出せる環境を作っておくのは大事です。

中長期の視点で行動計画し、今向き合うべき課題を明確に

——日本一の営業を決める「S1グランプリ」で準優勝した際、岩田さんが向き合ってきた「顧客深耕」について語られていました。改めてどんなことをしているのか教えてください。

簡単に言うと、顧客の成長を見据えた行動計画を策定しています。お客様の事業計画や経営計画を見た上で、逆算して、いつまでに何をするのか計画していますね。
例えば、商談のなかでお客様には中長期の視点で提案するんです。「この目標であれば、2年後、1年後のタイミングでこうなってなければいけません。であれば今もうすでに取り組み始めていなくてはいけないんです」と。

目的を果たすために、私たちが今から何がご支援できるのかを伝え、パーソルキャリアの商材だけではなくて、グループ会社含めてできるものは全てご提案しています。

——グループ会社を含めた提案、と言いますと?

パーソルキャリアはグループ会社がめちゃくちゃあるんです。それこそ、派遣や顧問紹介、人材紹介から幅広い領域のコンサルティングまでカバーできるので、グループ会社も含めると、解決できないことはほとんどないと思っています。

つまり課題がみつかりさえすれば、ソリューションはいくらでも提案できる。深耕営業を通して、お客様が今向き合うべき課題を明確化してあげることが私の仕事だと思っています。

——行動計画を策定するなかでポイントはありますか?

中長期の目標については、お客様のなかでも上層部の人たちとすり合わせをします。「3年後のありたい姿はこれですね、では1年後はこれですよね」という感じで。

それを月レベルの目標にどんどん落としていくと、1ヶ月先にはやってないと、3年後に達成できなくなるという指標が生まれるじゃないですか。そこで、お客様には半年〜1年における行動計画を改めて持っていって、「今、これをやるべきなんです」と論理的に伝えているんです。

小さくても持続可能性の高い習慣がトップセールスを作る


——では、岩田さんが売れ続けるために、習慣にしていることがあれば教えてください。

ここまで話をしたことと重なる部分は多いですが、大きく分けると以下4つの点について、特に意識していますね。

2の「タスクにまで落とし込む」のポイントは細分化。タスクは15分刻みで入れるようにしているんです。15分刻みでタスクを進めると、どんどん時間が進んでいる感覚が持てて、無駄な時間を過ごさないようにするという意識も持てるようになりますね。

——ここまで細かく……すごいですね。

はい、ここまで細分化して落としておくと、あとは今日の予定を見たときに割り振られているタスクを頭に置いて、淡々と作業すればいいだけ。2年後、3年後のことを考えて、思い悩まなくていいし、心を使わなくていいんですよね。

——他に毎日の行動で心がけていることはありますか?

そうですね。

例えば、お客様との納期の設定について。「この資料をいただけないですか」と言われた際に、つい「今日依頼してもらったから、今日もしくはできるだけ早く対応します」と返事をする方がいます。しかし、本来は無理に急がずとも、お客様の言ったタイミングまでに揃えれば問題ない。私は必ず、いつまでに手元にあれば良いのか、と聞いて納期をおさえるようにしています。

他にはお客様の電話に対しては、必ずワンコール目で出るとか(笑)。いつでも出てくれるという安心感を持ってもらえ、結果信頼につながるんですよ。

——細かいことですが大事なことですね。持続可能性の高いからこそ、続けられているのだと思います。すぐに返す、その日中に返す、をやりすぎると持続性ないじゃないですか。

私もそう思います。あとはお客様の言ったことだけを信じること。事実と主観を切り分けることはすごく意識していることかなと。

このように、日々やっていること一つひとつは大したことないかもしれませんが、習慣として続けて、それを当たり前にすることが大事だなと思いますね。

ライター:フジカワハルカ


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