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34話 夢の解体

8の巣のブース内で閉じ込められた宇宙を目の前に、墓守の兄弟・ドミノとドムは大声で笑う夢の壊し屋・火影を見つめていた。

火影は、ようやく呼吸を整えると1つ息を吐いた。

「いやいや、墓守は勘がいいな。その通りだ。花火か……。俺らの仕事をそう例えたのはお前さんが初めてだ」

どうやら、火影はドムが「花火」と言った事がいたく気に入ったようだった。

「俺達は夢の解体って言ってもやってる事は乱暴だ。ガタイもでかけりゃ、態度もでかい。危険な奴らだって周りから思われる事も多くってな。まぁ、間違っちゃいねぇが、もっと褒めてもらいてぇってのが本音って訳だ」

火影は目尻をぐっと下げて墓守の兄弟達を見た。
そして、ブースの淵に手を置き、窓に映るススだらけの自分の姿を見つめた。

「壊し屋は、どうやって夢を解体してるか考えた事はあるかい?」

火影の声はどこか優しかった。

ドミノとドムは顔を見合わせ、火影の見つめる窓の向こう側を見つめた。

そこにある宇宙には光が瞬く。

「いえ……」

ドミノは言葉を選んでいた。
おそらく、これまでのカル達は壊し屋の仕事に興味を示さなかったのだろう。
互いが互いを構っている余裕がなかったのかもしれない。
昔の王達と比べて関係が気薄になっているのは確かだった。

「ファミリーは、夢の中に入れるんだよね?」

ドムが興味を示し明るい声で火影に尋ねた。

「あぁ。お前さん達も入れるぞ?」
「え?」「え?」

ドミノとドムの声が重なった。
ドミノは目を丸くして火影を見た。

「誰でも入れる。でもな、その方法を忘れちまった者が多いんだ。この世界は人に興味を持たない奴が増えちまった。だから、余計に夢の数が減ってんる」
「でも、壊すんだよね?」
「夢にゃ、夢主がいるんだ。墓守の弟。お前さんの夢は兄の物か? 違うだろ? 一緒には見れねぇ。それと同じだ。だから、夢主がいなくなった夢は壊すしかねぇ。ただの空箱はゴミだ。そうだろ?」

ドミノは窓の向こうの宇宙を見ながら、

「面達がその場所で増えない様に、ですね」
「そう言う事だ」

ドミノは火影の言葉を理解した。
ドムは腕を組んで頭を捻りだした。

「どうしましたか?」

ドミノはドムの様子に声をかけた。

「夢の空箱って風船みたいなものなのかな? 穴を開けたらしぼんじゃうみたいな?」
「墓守の弟、お前面白いな」

火影が再び笑う。

「じゃあ、どこに穴を開けるでしょうか? 今、まさに目の前がヒントだ。よーく見てみろ」

火影は宇宙を指差し笑顔で言った。

ドミノとドムは比較的近くで、赤く輝きだした星を見つめた。

火花が飛び散る瞬間、ドムは気がついた。

「光に扉が……」

火影は笑顔になった。

「正解だ。俺達は夢の入り口である扉を壊すんだ」

今まさにドミノとドムの前で1つの夢の扉が赤く燃え、火花を散らしながら姿を消した。

つづく

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