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商事会社で働きながら、会計やファイナンスを習得する意味とは

 荒川防火水槽研究会と申します。社内で最近、 #会計#ファイナンス#事業戦略 に関する勉強会を主催しています。駐在中に #USCPA の試験に合格したことや、以前の出向先で様々な買収案件に関わったことから、シェアする知識は比較的持っている、と考えたためです。

 今働いているのは、大手商社ではありませんが、 #貿易 など #トレーディング を手掛ける職場です。なぜ #商事会社 で働く人に会計やファイナンスの知識が必要なのでしょうか。


 以前、大手商社の方からこんな話を聞きました。 #商社 では実働部隊のほとんどをグループ会社に切り出しているため、本体に残っている"現業"は食料部門のトレーディング位なのだそうです。このため、新入社員の結構な人数が、教育訓練的な意味も含め最初に食料部門に配属されるとのこと。でも最近の商社を志望する人は「M&Aがやりたい」といった志望動機も多いらしく、考えていた仕事と違う・・・と退職者もそれなりに多いようです。むしろ商社志望とコンサルタント志望は重なりが大きいそう。

 ただ、商社さんのキャリアとして、トレーディングをやってからグループ会社管理や買収案件を手掛けるのは、比較的オーソドックスなルートではないかと思います。トレードやっていれば、その市場のことは良く理解しているはずですから。


 今の私の働く職場もよく似ており、トレーダーをひとしきり経験してから、海外投資子会社の管理などの業務に携わるケースが多いです。しかし問題は、昨日までトレードしかやってなかった人が、明日から急に #投資 管理と言われても、準備ができていないという点。そこで慌てて勉強し始めるのは効率が悪い。

 かと言って、会社がそうした学習機会を与えてくれるまでは親切でないため、朝に自主的な勉強会として実施している、というのが経過です。中身は、米国会計と税務、米国法の基礎(→グループ会社がアメリカにあるため)、ファイナンスや事業戦略などを、 #ケーススタディ を交えながら進めています。Teslaなど実際の会社の #決算書 を見て分析してみたり、投資のケースでは #企業価値 の計算などをやってみます。参加者に聞くと、市販のテキストはニーズにぴったり来るものは少なく、勉強会はそれなりに役に立っているようで、何よりです。


自分自身がこうした勉強を始めるきっかけも、やはり会社の先輩からのアドバイスでした。慣れないトレードの仕事で疲弊していたら、大先輩が声を掛けてくれたのは、次のような言葉でした。

「専門知識がないからコキ使われるんだよ。会計でも勉強して、サラリーマンのチキンレースから脱出するのが"戦略"だ」

 彼は単に、なぐさめてくれただけだったのかも知れません。でも私は、大先輩の教えを忠実に守りました。その言葉に救われたので。

 その後出向した私のアメリカのグループ企業では、どんどん上がって来る投資案件を判断してもらうため、投資の内容や案件の是非を短期間で学習して日本の親会社に提案する、という業務経験をしました。また実際に担当した以外にも、過去の投資案件に関する資料が大量にオフィスに残っており、片端から全部読むことができました。この経験はなかなか得がたく、自分だけで抱えておくのはもったいない、との思いも、勉強会主催のモチベーションになっています。


 日本企業は商社でもメーカーでも、自らトレードや製造で稼ぐより、"海外への投資によって外貨を稼ぐ"構造が強まっていることは、各種統計から明らかです。だとすると「専門外だから・・・」と割り切るより、将来そうした部署に行くことも想定し、今から会計やファイナンスを学ぶことは、とても有益だと思います。


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