トレーディングの観点から見た「マスクのトレードと損益」
コロナでマスクの需要が急に増加した後、供給が増えて今は徐々に余りつつある、というのが、ここ数ヶ月の「マスクの需要と供給」であったと思います。
では、この需給の波で儲けたのは誰でしょうか。商事会社で働いているので、自分の勉強のために推定してみました。
1番 コロナ以前からマスクの在庫を持っていた人
コロナ前からマスクの"ロングポジション"を持っていた人が最強です。通常は在庫を持つと倉庫料がコストとなりますが、マスクはかさばらないので費用である倉庫料は高くないと考えられ、儲けは大きかったでしょう。
2番 需要増加局面で発注した人
納入されれば保管せずに即座に高く売れるからです。ただし、そのためには「速やかに納入できるロジスティックス」を持っていないと、売り時を逃してしまいます。
3番 価格のピーク時に受注した人
価格がピークに達した時、ネットで受注(ショート)して、マスクの供給が増えて価格が下がったら買う(カバー)という取引をした人も、儲かったと思います。こんなうまいトレードができた人がどれだけいたかは分かりませんが。。。
4番 安くなってから買った人(=私)
ギリギリまで我慢して、価格が下がってから買った人。高値で掴まなかっただけマシかな。
では、国民のためにマスクを発注してくれた「国」はどうだったでしょうか。
トレーディング的には落第でした。
まず、需要が増える時期に発注しているので、価格を上げています。次に、納入に時間がかかり過ぎたので、供給過多の局面で供給を増やしています。つまり「高い時に買い、安い時に売った」国は"価格変動を増幅させる役割"を果たしました。
逆に、1番から4番までの人は「高い時に売り安い時に買う」ので、マーケットを平準化する役割を果たしています。まさに神の見えざる手。
マーケットという"神"に逆らうと、国のように下手を打ってしまう、という教科書のような事例でした。