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ゼネラリストはいない。いるのは事業プロセスの専門家

エリヤフ・ゴールドラット「ザ・ゴール」という本があります。売上不振の工場の製造上のボトルネックを見つけ出し、工場を立て直す話なのですが、この考え方は製造業だけではなく、モノを介さない仕事の事業プロセスにも通用すると思います。


「事業プロセス」というと、ゼネラリストという存在があります。専門家ではないけれど、課題を上手くさばいていく人というイメージ。でも、私はずっとこのゼネラリストというコンセプトに疑問を感じてきました。ゼネラリストとは、実は次のような特徴を持つ人ではないでしょうか。

・新しい分野についても深入りせず、"その局面をうまくさばくこと"が仕事

・過去にうまくさばいてきた自分の経験だけがよりどころ

・パワーバランス、雰囲気、社内力学を上手に使う


なぜ疑問を感じるかというと、そこには広く通用するロジックや手法の裏付けがなく、再現性に乏しいから。本来そうした理論をきちんと学んで、事業プロセスの「スペシャリスト」になるべきではないか、というのが私の意見です。ゼネラリストは、野球の素質だけでプロ野球の選手として通用しているようなイメージなのです。


では何が裏付けとなりうる理論なのでしょうか。私は、以下の6つだと思ってます。

①交渉→②ロジカル(クリティカル)シンキング→③会計→④マネジメント→⑤プロジェクトマネジメント→⑥リーダーシップ


①交渉

仕事は社内でも社外でも交渉の連続。だから交渉についてきちんと学ぶのは必須。交渉に関する良い本がたくさん出ていますが、瀧本哲史「武器としての交渉思考」など。資材のバイヤーだった時に、しっかり勉強しておいて良かった。


②ロジカル(クリティカル)シンキング

全ての仕事の基礎。年齢が上になってからでも遅くないので、学ぶべき。


③会計

自分のやっていることが、会社の収益にどう影響するのかを意識せず、仕事を回すことはできません。だから会計大事です。


④マネジメント

自分一人ではレバレッジが効かないので、今度は「他人を使ってどうタスクを達成するのか」が課題になります。他人を使って成果を出すのがマネジメントです。読むべきはアンドリュー・S・グローブ”High Output Mangenment”など。


⑤プロジェクトマネジメント

プロジェクトの進め方は、マネジメントとはまた一段違った難易度になり、別の学びが必要となります。今、一生懸命勉強中。伊藤大輔「『プロジェクトマネジメント』実践講座」。


⑥リーダーシップ

組織を動かして行くには、ビジョンを示すこと、ゴールとそこに至る道筋を示すこと、信頼を蓄積することなどが求められます。マネジャーからリーダーになるにはこれまた高いハードルになりますが、避けて通れない道です。


このように、ゼネラリストは"事業プロセスのスペシャリスト"であるべきなので、両者は相反する概念ではなく「何のスペシャリストなのかの違い」だけなのだと思います。

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