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『デジタル・ミニマリスト スマホに依存しない生き方』読んだ

スマホやSNSの危険性は今や多くの人が指摘するところとなっている。私もそのことはよくわかっているつもりだ。しかししょっちゅう忘れてしまう。

そんな怠惰な自分の脳みそには定期的に喝を入れていかないといけない。そんなわけでこの本をお買い上げしたんである。

本書はスマホの危険性と、それから離れることの有益性をえんえんと説いている。

人間の脳みそはただでさえバックグラウンドで余計な思考を吐き出し続けている。これをブロックするために瞑想までしなくてはならないというのに、現代人はスマホでSNSを見続けることで、自分の余計な思考の上に、他人の思考をインプットしまくっているのである。

それらが危険なのはスロットマシーンだからだ。偶然性が中毒性を生み出している。自分の投稿にいいねがついていないか、Youtubeに面白そうな動画が上がっていないか、ひたすら気になってしまう。

SNSは有用であるが、その有用性を上回るほどが危険なのは、リアルなコミュニケーションを損なうからだ。SNS上のコミュニケーションは、リアルのそれに大きく劣る。本書ではじゃんけん大会が例に挙げられる。信じ難いことだが、じゃんけんは一見は運ゲーだが、じゃんけん大会のチャンピオンに素人は絶対に勝てないらしい。それは、人間は対面では様々な手段で意思疎通を行っており、それを上手く利用できるじゃんけんのエキスパートに素人はかなわないからである。

じゃんけんの専門家にならなくとも、コロナ禍でオンラインでのコミュニケーションには限界があると多くの人が知ったことであろう。じゃんけんにおいて大きな差を生み出すほど、リアルなコミュニケーションは情報豊かなのである。

それにスクリーン上で全てすまそうとするのは不健全だ。こんなデジタルな世の中でもDIYが流行るのはそういうことだろう。私も手を動かすことが捨て難く、今は生活に手書きを多く取り入れている。

というわけで本書デジタル・ミニマリストは、デジタル・デトックスよりもラディカルなデジタル片付けを推奨している。30日間必須ではないアプリを全て削除し、30日後に十分吟味した上で再導入するのである。

バランスよくSNSを使うという中道のやり方を勧めないで、このように過激なやり方を推奨するのには理由がある。フェイスブックなどのTech Giantsは巨万の富を用いて、全力であなたの時間を奪いに来ているからだ。中途半端に抵抗しても、それはDavid and Goliathであって勝ち目はないのである。

まあそうりゃそうかもしれない。とはいえ、SNSから得るものは大きいし、悩ましいなあと思いながら読み終えたのであった。

なお著者はSNSをほぼ利用しない人であり、そういう人間になにがわかるのかという批判もあるらしい。そりゃそうなのかもしれないけど、ほとんど使わない立場からの意見もあっていいと思う。なぜなら今まで時間をたっぷりとられてきた人が書いたものはたくさんあるからだ。例えばこれとか。

あるいは、みんなの時間を奪ってきた人が書いた本もあるよ。


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