見出し画像

古草紙昭和百怪5 令和2年卯花月「江戸時代から円盤は飛んでいた」(「週刊読売」昭和39年) / 皐月「宇宙人が地球を看視する」(「サンデー毎日」昭和34年)

「江戸時代から円盤は飛んでいた」(「週刊読売」昭和39年)

 先の通し講談、快甫鼠責めに触れ、意外や貞水先生の口から「UFO」なる略称が幾度か発せられたのが印象に残りました。一世を風靡した空飛ぶ円盤も今は昔、暫らくは陰謀論と古代史に収斂され細々と命脈を保つかに見えましたが、片や真相隠蔽説は殆ど廃れ、肝腎の目撃談さへ稀になる有様。すっかり飽きられてしまったのでせう。今回は、未だ流行真最中に掲げられた記事を。

「いよいよ、この座談会も大詰めにきました。そこで、真打ち『空飛ぶ円盤』に登場願ったわけです。…」と始まる、「江戸時代から円盤は飛んでいた 新科学座談会(9)」(平野威馬雄 高梨純一 小松左京 斎藤守弘 挿絵・松沢慧 「週刊読売」昭和39年6月14日 讀賣新聞社 38~43頁)は、連載最終回。国会図書館の書誌事項に拠ると23巻24号、因みに内容不明ながら20号には「〝空飛ぶ円盤〟離陸せり!」なる記事名も並び、往時は関心が高かったと窺えます。
 家蔵の切抜は九回のみ。泥縄式に一覧を纏めてみれば、

7号「新科学座談会(1) 第六感のナゾ」 宮城音弥 橋本健 星新一 斎藤守弘 76頁
12号「新科学座談会(2) 食事と健康 現代人はカスを食べている」 馬淵通夫 岡部和彦 星新一 斎藤守弘 松沢彗 38頁
14号「新科学座談会(3) 死後の世界をノゾく 生き返った人たちの体験報告から」 田中千代松 仁宮武夫 星新一 斎藤守弘 38頁
16号「科学座談会 そのとき人類は滅亡する〝天災戦争〟 地震から毒ガスすい星まで」  松沢慧 38頁
19号「新科学座談会 私の夢は事件を予知する」 懸田克躬 鈴木志郎 星新一 斎藤守弘 38頁
21号「交通事故の正体は磁力だ?! 魔の踏み切りを解明」 鶴田正一 内田秀男 星新一 斎藤守弘 38頁
22号「新科学座談会 『知能テスト』をテストする あなたの子供は頭が良いか悪いか」 森重敏 杉田裕 星新一 斎藤守弘 松沢慧 49頁
23号「新科学座談会 手相・人相・体相の立体分析 除名された日共の『好人物』 人間志賀義雄をウラからみれば」 114頁

 連載題名に異同があり、回数その他が胡乱なのも、目次の表記通りに引き写したゆゑかと。
令和2年4月 1日 (水)

江戸時代


「宇宙人が地球を看視する」(「サンデー毎日」昭和34年)

 空飛ぶ円盤の搭乗員、宇宙人てふ言葉も、今や一部で使はれる卑語として僅かに耳にするばかり。本来の意味で用ゐられる機会は、まづ無いのでは。例へ空想科学の分野でも、荒唐無稽に堕ちるをかそけみ、他の表現を模索せざるを得ないかと。ましてや彼等との邂逅を主張するなぞ、よもや正気の沙汰とは思はれないでせう。
 「宇宙人が地球を看視する? “空飛ぶ円盤”しろうと論争」(「サンデー毎日」 昭和34年11月1日 毎日新聞社)には、後に数々の騒ぎを起こす宇宙友好協会が登場。「『重大な情報があるんですが…』と、本誌編集部に電話がかかってきた。……『ソ連のロケットは、月の裏側を撮影しますが、かならず人工の構築物がうつりますよ」と、声をひそめるようにしていう。……『…。宇宙人たちは、…特に撮影を許可したんです。ソ連の首脳陣は…、宇宙人と交渉を持っていますよ。フルシチョフが、キャンプ・デービッドでアイクと長い密談をかわしたのは、宇宙人問題を協議したんです……』この人は翌日になって、『宇宙ステーションの月の裏面撮影に関する声明』という"予定原稿"まで編集部に持ちこんできた。」
 一方、「優良宇宙人との交流会」訪問記も。「こじんまりとした住宅のガラス戸を開くと、水玉模様のブラウス姿のおばさんが出て来て、…。床の間には直径三十㌢くらいの丸い鏡が一つぶら下げられ、その前にサカキが一対。床の横の壁いっぱいに『高級な地球人の心得』と墨書した張り紙が、はってある。……。『地球は、オリオン星座のほうに傾き、けがれて来ている。……。心を洗い清めなければ、地球上に不幸がやって来る。台風が来ますよ……」
 更に、「昨年、大阪に"宇宙人と交信している"という男があらわれた。心霊学の系統の人で……。…、円盤の乗組員が、本人に乗りうつってきて話し出すというのだ。…研究家が会って実験してみたところ、…、十三年前に死亡したアメリカ人で、…、英語で問いかけたところ、『英語知りません。日本語で話して下さい』これで、たちまちインチキだとわかってしまった。」
いづれも尻窄(すぼ)み、ずっこけ三題でした。
令和2年5月 1日 (金)

宇宙人が地球を看視する


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?