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おそらく聞いたことがない話/ 鰯崎友

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鰯崎友「おそらく聞いたことがない話」をまとめました。
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記事一覧

『ボヘミアン・ラプソディ』レビュー【緊急転載】

『ボヘミアン・ラプソディ』レビュー【緊急転載】

※鰯崎 友 個人noteの記事と同内容です。

エンドロールがおわって、劇場に明かりが灯った瞬間に、拍手がおこった。誰もがこの映画の余韻に、1秒でもながく浸っていたかったのだと思う。いい年したおじさんやおばさんが、涙でくしゃくしゃになった顔を、少し恥ずかしそうにうつむけながら、ゆっくりと席をたつ。

いや、泣いていたのは彼らだけじゃない。私も泣いていた。妻も泣いていた。クイーンの歌を素敵だとは思っ

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『ざっくり紙のことがわかるコラム』

『ざっくり紙のことがわかるコラム』

noteで作品を発表している方なら、自分の名刺やチラシ、フライヤーなどを作ろうと考えたこともあるのではないでしょうか。私も最近、自分のブログを人に紹介するときに、こういうものがあればいいなあ、と思ってます。口頭で「ブログやっています」って伝えるのもそれはそれでいいんですが、名刺がさっと出てくると、やっぱりかっこいいですよね。

また、自分の名刺のデザインを考える、というのは、とても楽しいものです。

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ゾウ汁【おそらく聞いたことがない話】

ゾウ汁【おそらく聞いたことがない話】

かつてゾウ汁はこの辺りの名物料理だったが、最近では、一般家庭でゾウ汁をつくることは稀になったという。今はキリン汁がポピュラーなのだと、当地の原坂さん(63)は言う。いや、言うというのは正しい表現ではない。情報が脳に直接流れ込んでくるのだ。

「・・・ゾウインフルエンザが流行ってから、やっぱし、ねえ・・・抵抗あるけぇのお・・・。そりゃ、キリンとゾウってたらゾウのほうがうめえにきまっとる・・・」

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【アニメの日々】居眠り運転の日々【おそらく聞いたことがない話】

【アニメの日々】居眠り運転の日々【おそらく聞いたことがない話】

アニメーションの制作進行に課せられたミッションは、車を運転してアニメーターの家に赴き、原稿を回収すること。基本的に休日は無く、まる3日ぶっ通しで働きました、ということも多々あるなかでの車の運転は、とうぜんながら非常に危ない。居眠り運転は日常茶飯事、という状態だった。会社からの通達で、本当に眠いときにはコンビニなどに車を止めて、仮眠をとるように言われていたものの、そんなことをしていればスケジュールが

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樹妖記あるいはサクセスの秘密【おそらく聞いたことがない話】

樹妖記あるいはサクセスの秘密【おそらく聞いたことがない話】

法相宗の僧、円儀が遣唐使として倭国から唐へと向かったのは、斎明五年のことである。しかし、その当時の航行とはまさに風任せのものであり、運に見放された円儀はついに唐へと渡ること叶わなかった。船は当初の航路から大幅に南へと流され、現在でいう、ヴェトナムへと漂着したのであった。

円儀は自身の不幸を呪ったものの、仕方がないので、この地に自分がたどり着いたのは、御仏の導きである、と考えることにした。自分に

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世界競馬 白熱の一週間【おそらく聞いたことがない話】

世界競馬 白熱の一週間【おそらく聞いたことがない話】

1ヶ月ほど前の記事にて、日、英、仏の各国ダービーに産駒を同時出しすることとなったディープインパクトの快進撃について触れた。

競馬ファン、競馬関係者大注目の各レースが終わったので、今回はその結果を振り返ろうと思う。

【日本ダービー】(5月27日)本命に推されていたダノンプレミアムは6着に惨敗。しかし、3頭出走していたディープインパクト産駒の1頭、ワグネリアンがゴール前の接戦からしぶとく抜け出して

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世界の競馬ファンがざわざわしている 【おそらく聞いたことがない話】

世界の競馬ファンがざわざわしている 【おそらく聞いたことがない話】

今年、世界の競馬ファンがざわざわしているのをご存じだろうか。ある1頭の馬と、その子どもたちについて、である。

ディープインパクト。名前を聞いたことのある方もいらっしゃるだろう。生涯成績14戦12勝。獲得賞金約14億5000万円。サラブレッドの世界ランキングで年間1位を獲得したこともある。コンビを組んだ武豊騎手は、その乗り心地を、「走っているというよりも、飛んでいるような感覚」と語った。日本産の馬

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大谷翔平と愉快な仲間たち 【先発投手編】

大谷翔平と愉快な仲間たち 【先発投手編】

最近、私の個人ページにて、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手のチームメイトを紹介した。今回は、さらにそのつづき。エンゼルスの先発投手陣について見ていきたい。例によって、括弧内の成績は’17年度のもの。動画はエンゼルス公式サイトより。

日本プロ野球でいうとどの選手に似ているかについても併記するが、MLBとNPBでは投手が操る球種の違いが顕著なため、投球の内容が似ている投手を探すのは難しい。あく

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線でマンガを読む・新学期直前スペシャル『唐沢なをき』

線でマンガを読む・新学期直前スペシャル『唐沢なをき』

唐沢なをきのデビューは1980年代半ば。失礼ながら大ヒット作というのはないけれども、知る人ぞ知るギャグマンガ家として、今日に至るまで非常に長期間活躍している。短命に終わったり、途中からストーリーマンガにシフトすることの多いギャグマンガ家のなかで、この息の長さはおどろくべきものだ。タフさでいえば、中日ドラゴンズの岩瀬投手にだって匹敵するだろう。

唐沢の近作『まんが家総進撃』には、一般社会の常識から

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超短編小説【おそらく聞いたことがない話  NINE PIECES】

超短編小説【おそらく聞いたことがない話  NINE PIECES】

9つの、おそらく聞いたことがない話

朝起きたら、ぜんぜん寒くなくってさあ、なんだかあたりの様子がやたらインドっぽいな…と思ったんだ。

っぽいというか、本当にインドだったんだよ。俺は練馬に住んでいたはずなのに。

しかたがないから、いまちょうどガンジス川を下って会社にむかっているんだけど、インドに俺の会社があるのかどうか、正直不安だ。

ラトゥラナ=ラナジュナはラトラ教の聖典である。開祖ラトラの

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大林宜彦『花筐/HANAGATAMI』【おそらく聞いたことがない話】

大林宜彦『花筐/HANAGATAMI』【おそらく聞いたことがない話】



以前、大林宜彦監督と食事をご一緒させて頂いたことがある。『転校生』や『時をかける少女』『SADA〜戯作・阿部定の生涯』『この空の花 長岡花火物語』などの日本映画史に残る名作や前衛作品を拵えたマエストロに、学生だった私は、「映画を作るとき、いちばん大事にするのはどのようなことですか?」という稚拙な質問を投げかけた。監督はにっこりと微笑んで、言った。

「心臓の音を聞くんだよ」

ゆっくりと両手を

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線でマンガを読む【おそらく聞いたことがない話】

線でマンガを読む【おそらく聞いたことがない話】

2018年冬アニメが続々スタートし、好きだったマンガがTVアニメ化された!という方もいるだろう。「でもなんか原作と雰囲気が違うなあ…」とがっかりすることも。
その理由のひとつとして、マンガとアニメの描線の違い、というのが考えられる。Gペンや丸ペン、サインペンにボールペンなどの画材のチョイスや筆圧、さらにデジタル処理など、マンガ家は試行錯誤を繰り返し、自分だけの線を生み出すものだ。その線の雰囲気をア

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スター・ウォーズ・神話のゆくえ【おそらく聞いたことがない話】@ボーンフェス2018

スター・ウォーズ・神話のゆくえ【おそらく聞いたことがない話】@ボーンフェス2018

『スター・ウォーズ』シリーズの生みの親であるジョージ・ルーカスが、この壮大な物語を構想するさいに、古代の神話を下敷きにしていることは有名である。その脚本作成にあたって、ルーカスは神話学者、ジョーゼフ・キャンベルによる神話の研究に強い影響を受けたと語っている。
キャンベルは、神話における英雄譚について「セパレーション」(英雄が元いたところから旅立つ)→「イニシエーション」(通過儀礼を受ける)→「リタ

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