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サウジカップデーの結果に困惑

2月25日の深夜にサウジカップデーが行われました。凱旋門賞や香港国際競走と違い、土曜に行われるのでついつい忘れがちになります。私もバタバタした土曜の疲れからかなり早く就寝して、ふと夜中に目が覚めた時に気付く大チョンボで、リアタイを若干逃してしまいました。気を付けなければいけませんね。

さて、当のサウジカップデーはドバイミーティングの前哨戦となる一戦であり、メインのサウジCは2022年から国際GⅠに昇格している、いわば新参者です。それでも賞金の高さから様々な馬が出走しています。レースの総評は後にして、早速レース結果を見ていきましょう。

■レース結果一覧

4R 1351ターフスプリント(芝1351・G3) 11頭立て
バスラットレオン(坂井瑠星)・・・・1着
レシステンシア (R.ムーア)・・・・ 5着
ラウダシオン  (B.ムルザバエフ)・ 9着
ソングライン  (C.ルメール)・・・10着

5R レッドシーターフハンデキャップ(芝3000・G3) 13頭立て
シルヴァーソニック(D.レーン)・・1着
エヒト      (川田将雅)・・7着

6R サウジダービー(D1600・G3) 13頭立て
デルマソトガケ (松若風馬)・・3着
コンティノアール(坂井瑠星)・・5着
フロムダスク  (川田将雅)・・9着
エコロアレス  (福永祐一)・・12着

7R リヤドダートスプリント(D1200・G3) 9頭立て
リメイク     (福永祐一)・・ 3着
ジャスティン   (坂井瑠星)・・ 4着
ダンシングプリンス( D.レーン)・・5着
リュウノユキナ  ( 柴田善臣)・・6着

8R サウジカップ(D1800・G1) 13頭立て
パンサラッサ   (吉田豊)・・・・1着
カフェファラオ  (J.モレイラ) ・・3着
ジオグリフ    (C.ルメール)・・ 4着
クラウンプライド (D.レーン) ・・・5着
ジュンライトボルト(R.ムーア) ・・・7着
ヴァンドギャルド (M.バルザローナ)11着

日本馬は5レース中、3レースで勝利を収める活躍を見せました。昨年は6レース中、4レースで勝利を収めましたが、それに続く日本旋風でしたね。特に嬉しいのが海外重賞2勝目となったバスラットレオン坂井瑠星と、縁が結んだコンビであるパンサラッサ吉田豊です。

推しの坂井瑠星は師匠の矢作流によって何度も海外遠征に赴き、トライアンドエラーを繰り返した経験が結びついたものだと思いますし、その経験ができる日本人騎手は彼以外には武さんぐらいしか居ません。こうした経験は、将来の日本騎手界を背負う人材になる事に繋がるでしょう。

また、吉田豊に関しては昨年のドバイ参戦時に、ネット競馬でこんな記事がありました。

現在の日本競馬では、こうした縁が結ぶ騎乗依頼というのは本当に少なくなったと思います。もちろん、私が知らないだけだったり、表に出てこないだけかもしれませんが、大昔の恩やリーディングではなく騎乗馬との相性で騎手を決めるのは大変でしょう。調教師と騎手だけでなく、馬主や厩務員など、様々な人の意見、理解、決断が必要ですからね。そうした事ができる矢作先生、馬主の広尾レース、矢作厩舎スタッフは最大限の賛辞を贈りたいと思います。

また、パンサラッサはこの勝利で獲得賞金が約18億8600万円となり、歴代2位躍り出るそうです。レートの問題もありますが、わずかGⅠ2勝でキタサンブラックを抜くのは異例ですが、これで賞金王があまり意味の無い指標だと理解できたでしょうか。レース賞金は年々増加していますし、アーモンドアイがGⅠ9勝を挙げて歴代賞金王ともてはやされましたけど、テイエムオペラオーの時代とだいぶ賞金が違いますからねぇ。仮に歴代賞金ランキングを現在の総賞金で計算し直してみると以下の通りになります。

1位テイエムオペラオー 約27億6100万円
2位ジェンティルドンナ  約26億0820万円
3位キタサンブラック  約24億5000万円
4位アーモンドアイ   約23億4000万円
5位オルフェーヴル   約23億4000万円
6位ブエナビスタ    約22億3770万円
7位ディープインパクト 約21億6200万円
8位パンサラッサ    約20億5900万円
9位ゴールドシップ   約19億9300万円
10位ウオッカ      約19億3500万円

1位のはずのアーモンドアイが4位に転落し、代わってオペラオーが1位、ジェンティルが2位に浮上、パンサラッサは8位という結果になりました。

なお、出走奨励金などの総賞金以外の賞金は加味してませんし、大阪杯などGⅡからGⅠに昇格したものはGⅡ当時の賞金で計算するなど調整はしており、レート換算も現在のものを使用しています。どうですか、だいぶ印象が変わるのではないでしょうか。

やはりジャパンCや有馬記念などの賞金が急激に増加したレースで賞金を稼いでいる馬は、大きく金額を上げていますよね。アーモンドアイはその恩恵を受けて賞金トップに君臨しているに過ぎず、金額を公平にしてみたらこんなもんなんですよ。

さらにパンサラッサがドバイWCを勝ったら、このランキングでも歴代1位となりますが、じゃあパンサラッサが歴代最強、最高の競走馬かと言われれば多くの人が否定するのではないでしょうか。そんなもんです。

つまり、賞金ランキングは意味ありません笑

あと余談ですが、パンサラッサは昨年ドバイターフを制しており、日本馬としては史上6頭目の芝ダートGⅠ制覇を達成しました。では残りの5頭の名前をパッと挙げられますか?ちな、ホクトベガは入りません。私はいつもこれに悩むのですよ。1頭増えたら脳がヤバイのに。


■レースレベルに疑問符?

そんな賞金ランキングとは別に、レースレベルにはやはり疑問符が残りましたので、5着までに入った外国馬の戦績をざっと調べてみました。

4R 1351ターフスプリント(芝1351・G3)
2着カサクリード
  米国GⅠ3勝(いずれも近年GⅠに昇格した)
4着ハッピーロマンス
  英国GⅢ2勝、昨年のGⅠアルクオーツスプリント2着

5R レッドシーターフハンデキャップ(芝3000・G3)
4着ビッグコール
  仏国GⅢ1勝

6R サウジダービー(D1600・G3)
1着コミッショナーキング
  ナショナルガードC(サウジGⅢ)1勝
2着ハヴンアメルトダウン
  米国重賞3勝、デルマーフューチュリティ2着

7R リヤドダートスプリント(D1200・G3)
1着エリートパワー
  昨年のBCスプリント勝ち馬、重賞2勝
2着ガナイト
  米国GⅠホープフルS勝ち馬、重賞2勝

8R サウジカップ(D1800・G1)
2着カントリーグラマー
  昨年のドバイWC勝ち馬、GⅠ2勝を含む重賞4勝

とまぁこんな感じです。これ以外で5着まで入った外国馬は全て重賞未勝利でしたね。特に戦績を残している馬と言えば、昨年のドバイWC勝ち馬で、8戦連続連対中のカントリーグラマー、昨年のBCスプリント勝ち馬で、5連勝中のエリートパワー、1400以下では全連対のガナイト、昇格して間もない米国GⅠを3勝しているカサクリードくらいでしょうか。

これを見るとまだまだサウジカップデーに高い評価は付けられず、単に賞金の高い招待レースという印象が強いですね。芝レースには時期的に欧州勢の参戦は難しそうですし、ダートは米国勢がもう少し本腰を入れないと出走馬の質は向上しないのではないでしょうか。まぁドバイミーティングも時間を掛けて格を備えてきたので、サウジカップデーもこれからでしょう。早めにサウジC以外のレースのGⅠ昇格を期待したいです。


■日本馬の条件に合う舞台だが・・・

結局のところ、現状のサウジカップデーは、ただ賞金が高いだけのレースであり、競馬で最も重要なレースの格という点ではまだまだでしょう。特に今年のサウジCを見てしまうと、カフェファラオやジオグリフ程度の馬でも掲示板に乗れるレベルなんだと愕然としてしまいますね。

昨年のサウジカップデーの際に、こんな記事を書きました。今もこの気持ちは変わっていませんし、国内の選択肢を軽視して欲しくないという気持ちは強いです。ただ、この程度のレースレベルで、高額の賞金を出してくれるレースはそうそうありませんし、掲示板に乗れば日本のGⅠ並みの賞金を得られるのであれば関係者の触手が動いても仕方ないとも思います。

できればサウジカップデーの質が向上し、今年レベルの馬が行ったら簡単に跳ね返されるくらいのレースレベルになって欲しいですね。



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