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今週の全米No.1アルバム事情 #51 - 2020/10/31付

ここ一週間ほぼ毎日楽しみに観戦していたワールドシリーズ、ドジャーズが4勝2敗で見事優勝を決めましたねドジャーズの32年ぶりのWSチャンピオンも大変めでたいのですが、やはりどちらかというとレイズ頑張れ!だった自分としては早々とWSロスになってしまいそうです。あとはダルヴィッシュのサイ・ヤング受賞なるか!が唯一の今シーズンの楽しみです。来年こそはぜひフルシーズンでのMLB、楽しみにしたいものです。

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さて今シーズンMLB最高勝率のドジャーズがWS優勝を決めたがごとく、何と今週末のBilboard 200の1位は、3週間ぶりに先週10位からぐーんと返り咲いて3回目のトップ到達を果たした、テイラー・スウィフトの『folklore』(77,000ポイント、実売は先週の8倍の57,000枚)でした。
今回の急な返り咲きについての理由ははっきりしてて、今回テイラーのサイトで、テイラー直筆サイン入りのCDを1枚25ドルで期間限定販売した、というのがたいそう効いたようです。何だかBTSとかと同じような商法だなあ、これ。今回テイラーは自分のウェブサイトでこの手の商法を積極的に展開していて、アルバムリリースの初週にデジタルダウンロードのみだったところを短期限定で8種類の異なるジャケットでのフィジカルCDとLPをリリースしたり、リリース後もアルバムから6曲ずつ選ばれた4つの「チャプター」と名付けられたダイジェスト版コンピ・セットをストリーミングにリリースしたりと、とにかく様々な形でのアルバムの露出にかなり励んできてます。その最新版がこのサイン入りCDの販売か、と思ったら、彼女のサイトを見ると、今度は8月に全米大手のリテール業者であるターゲットとタイアップしてリリースした、ボーナストラックの「The Lakes」を収録したデラックス・バージョンの「Meet Me Behind The Mall(ショッピングモールの裏で会って)」CDのヴァイナルLP盤を何と11/20から発売するとか。明らかにサンクスギヴィング商戦を狙った企画だけに、また1ヶ月後にこのアルバムの売り上げがグッと伸びる可能性大。しかしこうなってくると、ヒップホップ・アーティスト達のデラックス・バージョン商法の更に上を行く「一粒でx度おいしい」商法、正直あまりやり過ぎも感心しないんですがね。

まあ、こういうマーケティング戦略も実って、このアルバム10/26付で売上100万枚を突破、今のところ2020年リリースのアルバムでは唯一のミリオン超えとなってます。前から言ってたRIAAのマークも今週やっと▲(100万枚のプラチナマーク)が付きました。

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さてテイラーのアルバムとはちょっと位置づけが違いますが、最近流行の、従来の名盤を未発表曲やアウトテイクを追加して豪華パッケージにして再リリースする、という手法で見事今週5位に再登場してきたのが、オリジナルは1994年リリース、当時最高位8位だったトム・ペティの後期の名作『Wildflowers』(44,000ポイント、実売38,000枚)。トム最後のトップ40ヒットだった「You Don’t Know How It Feels」(1995年最高位13位)を含む、リック・ルービンプロデュースによるこのアルバム、自分もリリース当時大好きなアルバムでしたので、今回のデラックス・バージョン『Wildflowers & All The Rest』には大いに食指が伸びるとこでして、ちょうど今月3日が三回目の命日だったトム・ペティのファンが同様にこのリリースに群がったのも無理のないところ。

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バージョンも一番高くて2万円以上するヴァイナル7枚セットから、5,000円くらいのCD4枚組とヴァイナル3枚セット、2,000円くらいのCD2枚組といろんなバージョンが揃っていて、まあファンにはたまらんですね。僕はヴァイナル3枚セットでもゲットして、トムのこの名盤を久しぶりにしみじみ楽しもうかと思ってます。

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一方今週唯一ののトップ10初登場は、ここ最近のKポップの勢いそのままに、SMエンターテインメントの(現在)23人組の看板グループ、NCTがセカンド・アルバム『Resonance, Pt. 1』でBillboard 200に初チャートイン、6位に初登場(43,000ポイント、実売40,000枚)。彼らのサブユニットというかスピンオフ・グループのNCT127NCTのうち10人のメンバーで組成)は既に今年3月に5位初登場した『NCT #127 : Neo Zone, The 2nd Album』をはじめ3枚のアルバムをチャートインさせてるので、いよいよ本家本元登場といったところか。このNCTユータショータローという2人の日本人メンバーもいて、NCT127以外にもNCT U、NCTドリーム、ウェイVといったそれぞれメンバーの一部によるサブユニットを続々デビューさせてるというから、日本のAKB48欅坂46をはじめとする秋元康ポッセの向こうをはるアイドル戦略ですねえ。

で、楽曲の方はというと、このアルバムを聴く限りかなりハードコアのヒップホップ(トラップではない)ナンバーが大半を占めていて、なかなか硬派な音作りのようですね。しかし23人でボーカルはどうやって取りあうんだろうなあ。どうでもいいけどオジサンは気になってしまいました。
しかしKポップ勢、コンスタントにトップ10に順繰りにいろんなアーティストを送り込んでくるこのプロモーション力には感心してしまいます。言いたかないけどガラパゴスな日本のアイドル事務所との彼我の差はもう既に埋められないところまで来てしまってるかもしれませんね。ちなみに今週圏外12位には、全米No.1「Dynamite」の勢いを駆って、BTSの2014年リリースのEPリパッケージ盤、『Skool Luv Affair』が何と11月リリース予定の新作の前に初登場してるんで、今週は危うくトップ10にKポップ勢が2枚初登場、というK祭り週間になってたところでした

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というところで今週のおさらい。先週彗星のように再登場したマックの『』は今週圏外14位にダウン。圏外その他のめぼしい初登場は、16位に「お前ら稼ぐのもういー加減にせー」と言いたくなる、2018年にグレンの息子のディーコンヴィンス・ギルを加えた再生イーグルスのライブ盤『Live From The Forum MMXVIII』、18位にT.I.の新譜『The L.I.B.R.A.』、そして24位には個人的に推しているオルタナ・カントリーロックSSWのスタージル・シンプソンの新譜『Cuttin’ Grass, Vol. 1: The Shoppe Sessions』が登場してます(順位、先週順位、週数、タイトル、アーティスト)。

*1 (10) (13) folklore ▲ - Taylor Swift
2 (1) (16) Shoot For The Stars, Aim For The Moon - Pop Smoke
3 (2) (3) Savage Mode II - 21 Savage & Metro Boomin
4 (3) (15) Legends Never Die - Juice WRLD
*5 (RE) (58) Wildflowers ▲3 - Tom Petty
*6 (-) (1) Resonance, Pt. 1 - NCT
7 (4) (34) My Turn ▲2 - Lil Baby
8 (8) (265) Hamilton: An American Musical ▲7 - Original Broadway Cast
9 (5) (4) Tickets To My Downfall - Machine Gun Kelly
10 (6) (3) The Album - BLACKPINK

さて来週の1位の予想ですが、テイラーは来週はダウン確実だし、対象リリース期間の10/23-29で何と言っても来そうなのはボス(ブルース・スプリングスティーン)の名作の評判既に高い新譜。前回これも良かった『Western Stars』がマドンナの『Madame X』に1位を阻まれて惜しくも2位に終わってるだけに今回はガツンと1位を決めて欲しいところ。しかしそれに対抗してきそうな不気味な存在が、タイ・ダラ・サインの超豪華客演ラインアップの新譜。来週の1位は最後まで予断を許しそうにありません。ではまた来週。

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