見出し画像

ジェイコブ・ブレイクさんの事件について。

いろいろ迷ったけど、この件についてやっぱり自分の考えを述べておこう。

1.ジェイコブ・ブレイクさん銃撃事件

ウィスコンシン州ケノーシャでのジェイコブ・ブレイクさんへのラステン・シェスキー警官による銃撃は犯罪行為だと思う。事実関係とそれについての自分の感じ方として
(1)DVの通報を受けて現場に到着したシェスキー警官ブレイクさんに発砲するまで3分にも満たなかったという。そんな短時間でなぜシェスキー警官が発砲(しかも7発)しなければいけないほどの行動に出られたのか、想像を絶する。
(2)しかもその前にブレイクさんはスタンガンを使われてショックを受けている状況だったようで、丸腰のブレイクさんが銃を持っている警官に危害を加えられる状況にあったとは思えない。
(3)しかもブレイクさんは、自分のSUVのドアを開けて社内にかがみこんだところをシェスキー警官が後ろから背中を「掴んで」7発発砲している。これは明らかに悪意を持った過剰攻撃か、必要を遙かに超えたレベルでパニックに陥った状況での攻撃しか考えられない(どうしたら丸腰の相手に3分以内にそんなレベルでのパニックに陥ることができるか、私は想像できない)。
(4)そしてこれは、ブレイクさんがかがみこもうとしたSUVの後部座席に3歳、5歳、8歳の3人の息子達がいる目の前で行われた。危険を感じたのであれば、後ろ向きだったブレイクさんの腕を締め上げて手錠をかければいいだけではないか。なぜこんな残虐なことを小さな子供の目の前でやるのか。

画像2

ブレイクさんの犯罪歴を挙げてシェスキー警官の行動を正当化しようというポイントのずれた論評も散見されますが、上記のポイントから、シェスキー警官の行為は明らかに妥当な警官としての行動を遙かに超えていたとしかいいようがないと思います。

2.カイル・リッテンハウス少年の常軌を逸した行動

画像3

翌日に起きた、17歳の白人少年、カイル・リッテンハウスによる抗議行動を行っていた市民2名の自動小銃AR−15による銃殺も常軌を逸した犯罪行為だと思う。
(1)そもそもなぜ17歳の少年がAR-15を普通にぶら下げて、しかもブレイクさん銃撃で混沌としている市内で何もないかのように闊歩しているケノーシャの状況が異常。
(2)しかも抗議行動鎮圧に取り組んでいた警官達はカイルや同様の装備をした他の一般人(どうしてそういう人達がいるの?)に対して感謝の意を表明していたという目撃者の証言もある。ありえない。取り締まるべきだろう。
(3)射殺された市民のうち1名は少なくとも非黒人の一般市民で、カイルから銃をもぎ取ろうと組み付いたところを射殺されている。

3.大坂なおみ選手の抗議行動について

大坂なおみ

大坂なおみ選手ウェスタン&サザン・オープン・テニス大会準決勝棄権はこの問題にインフルエンサーとして、そして差別を受ける可能性がある当事者として取った行為としては高く評価されるべき。翌日棄権を撤回したが、これについては、大会側が彼女の行動にちゃんと反応して、

(1)準決勝の試合を一日延期したこと
(2)大会側が彼女の棄権の理由を理解し、こうした状況に対して大会としても強く抗議する、という意志を表明したこと

から、彼女として棄権を続ける理由がなくなったし、そもそも大会でプレイすることで、自分の目的は達せられると考えたものと理解するので、全く問題ないと思う。
差別を受ける可能性のある当事者でない、日本に住む日本人の一部の方々が、彼女の行為に対してとやかく批判するのは、全くのお門違いだと本当に思う。MLBNBAも同様の抗議行動を実行している。こうした行為はむしろ賞賛されて然るべきだと思う。

4.なぜ無名報道なのか?

そしてこれが個人的には一番引っかかっていることだが、
なぜ日本の主要メディアの多くは、ジェイコブ・ブレイクさんの名前を一切報道せず、ただ『黒人男性』という非人格的な描写に終始しているのか
ブレイクさんは3人の子供を持つ、一人の人間だ。DVで家の中はゴタゴタしていたかもしれないが、名前も顔もある一人の人間だ。今回日本メディアの報道を多分ほとんどチェックしたけど、なぜなのか5月のジョージ・フロイドさんの名前は出ていても、ブレイクさんの名前をちゃんと報道した日本の主要メディアは朝日新聞東京新聞くらいだったと思う(もし他にあったら教えて下さい)。
これが怖いのは、名前が報道されないことによって、銃撃を受けたブレイクさんが非人格化され、日本の中で重大な問題とは受け止められないような状況を作りあげてしまっている恐れがあること。そしてこれはシェスキー警官カイル少年の名前が一切報道されていないことについても同じ。結局「どっかの黒人がどっかの警官に撃たれたらしい」で終わってしまっていて、この重大さがちゃんと受け止められない状況を作ってしまっている。これはメディアの罪であり、戦後すぐに朝鮮国籍の方々に対するデマが起きた状況に何となく類似性を感じてしまうのは考えすぎか。

もうもはやBLMとかいうレベルを超え始めているのかもしれない。BLMのBはいつでもA(アジア人)やJ(日本人)、そしてH(Human)にもなり得るのじゃないか。

今回のブレイクさん銃撃とその後の惨状を時系列にまとめて事実関係もかなりカバーしているUSA Todayの記事があったのでリンクを貼っておく。英語だけど、読める人は読んで欲しいし、Google翻訳DeepLの無料版とかで翻訳して読んでもらってもいい。皆さんとにかく日本のメディアが伝えない情報を確保して、考えてみて下さい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?