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【オンラインショップ更新】特集 ロシアのむかしばなし

こんにちは!

古本とがらくた paquet.オンラインショップ更新のお知らせです。


今週はロシアの昔話を題材にした絵本を紹介します。

わたしは絵本のなかでもメルヘンとよばれる、民話やおとぎ話といったジャンルがことさら好きなのですが、世界各国に存在するメルヘンのなかでもロシアは少し特別です。
どうしてかというと、ヨーロッパやアメリカ、日本などのアジアに見られる教訓的な物語とは一線を画した、風変わりな作品が多いから。
民話、つまり口語伝承された物語というのは、遠く離れた国々に住んでいる人々が似たようなことを考え、語り継いできたという面もふしぎでおもしろいのですが、ロシアの民話にはそれらとは全く異なったルーツを感じる物語が散見されるように思います。
(わたしはロシア民話の研究者ではないので、一読者として感じる印象でしかないのですが……)
詳しくは後述しますが、ロシアの民話にはくりかえし登場する名まえのついた(とっても個性的な!)人物が多いのも特徴で、わたしが親しみを持っている理由のひとつでもあります。

前置きはこれくらいにして、さっそく紹介していきます。
まずはだれもがしっている昔話から。

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「おおきなかぶ」
A・トルストイ 再話
内田莉紗子 訳
佐藤忠良 画
1966年6月20日 福音館書店 発行

幼稚園や小学校では劇の演目としてえらばれることも多く、多くの人が幼いころから親しんでいるロシアのお話です。

おじいさんが植えたかぶがとてつもなくおおきく育ってしまい、とてもひとりでは抜けっこないので、おばあさんを呼んで、まごを呼んで、どうぶつたちを呼んで──みんなで力をあわせてひき抜くだけの、とくにオチのないシンプルなお話なのですが、なぜかみんな大好きなんですよね。

こどものとも傑作集としてハードカバーになり、昔も今も多くの人に愛され続けている、佐藤忠良さんの絵が印象的な一冊です。


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「カエルの王女」
タチヤーナ・マーヴリナ 作・絵
まつや さやか 訳
1984年7月20日 株式会社ほるぷ出版 発行

わたしがロシアの昔話に興味を持つきっかけになった絵本を紹介します。
作者のタチヤーナ・マーヴリナはロシアを代表する画家のひとりで、数多くの著作で全ソ連邦コンクール優良図書賞を受賞、1976年には国際アンデルセン画家賞にえらばれるなど、国際的な賞も多数受賞しています。

最初にこの絵本を読んだとき、これまで読んできたおとぎ話とは全然ちがう、と思いました。
この絵本には民話や昔話、メルヘンときいて連想するような、教訓めいたものとはまったく異なる印象の、けれど最上級におかしくかなしくたのしい物語が六つ収められています。

うっとりするようなすばらしいもの──たとえば、かえるが焼くかざりつきのパン、さっとひとふりすると湖があらわれるハンカチ、宴会のおわりに王女がつぐ蜜のお酒など──がたくさん出てくるし、ロシアの昔話の常連「イワン王子」や「ワシリーナ王女」も登場します、としか、わたしにはいえません。

内容を説明しようと思ってもできない、これがロシアの昔話です!


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「パンぼうや」
マーシャ・ブラウン 作
おがわ きよし 訳
2014年12月20日 童話館出版 発行

アメリカの絵本作家マーシャ・ブラウンによる、かわいくてたのしい(そしてナンセンスな)ロシアの昔話。

おばあさんが焼いたパン「パンぼうや」がころころ転がって窓から飛び出し外の世界へ、というのがお話の筋ですが、外の世界で出会った動物たちにたべられそうになるたび、パンぼうやはへんてこな歌をうたいます。

♩うすのそこ がりがり ひっかいて……

ちなみに、表紙の右下に転がっている小さくて丸いのが「パンぼうや」です。


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「おだんごぱん」
せた ていじ 訳
わきた かず 絵
1966年5月1日 福音館書店 発行

前に紹介した昔話「パンぼうや」をもとに、瀬田貞二さんと脇田和さんのタッグで製作された日本のロングセラー絵本。

やさしい文体とパステルカラーのかわいらしい絵柄は小さな子にも受け入れやすく、読み聞かせにぴったりだと思います。


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「まほうつかい バーバ・ヤガー」
ナタリー・パラン 絵
松谷さやか 訳
1987年11月20日 福音館書店 発行

バーバ・ヤガーはロシア民話によく出てくるこわい魔女で、たいていのお話では子どもをさらってたべてしまいます。

この絵本では主人公であるむすめの継母の姉役として登場し、継母の言いつけで家にやってきたむすめをたべようとしますが、むすめはあらかじめ持ってきていた品物を使って無事家に逃げ帰ります。
日本昔話の「三枚のお札」のような構図のお話ですね。

作者のナタリー・パランは1897年にウクライナ・キエフで生まれてパリで活躍した画家で、当時フランスで創刊されたばかりの教育絵本のシリーズ「ペール・カストール・アルバム」でも本作とおなじく切り紙の技法を使ったおしゃれなデザインの絵本を多数発表し賞賛を浴びました。
邦訳されている作品がこの一冊しかなく、しかも絶版のため今後手に入れるのがむずかしくなってきそうです。


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「くまの王子」
アンドラニク・エルバンヴィチ・キリチャン 絵
きたはた しずこ 訳
1989年12月10日 株式会社ほるぷ出版 発行

最後は、かつてソビエト連邦を構成した15の共和国のうちのひとつ、現在のアルメニア共和国に伝わる民話絵本を紹介します。

登場人物は力持ちのお坊さんとくまの息子。
二人は森で出会い、取っ組み合いをして、くまが勝ったのでいっしょに暮らしてたべものを好きなだけやることを約束しますが、くまの息子があまりにもよくたべるので、お坊さんは困り果てます。このままでは教会にひとかけらのパンもなくなってしまう──お坊さんはくまを皇帝に差し上げることにしたのですが……

くまが登場する民話は世界中に多数存在し、そのなかでもあまり有名とはいえない作品ですが、とてもふしぎでおもしろく、ぜひ紹介したいと思えるうつくしい絵本です。

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新商品は今夜21時に販売が開始されます。

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