つきほし

【目標】 小説を執筆する⇦読んだ人の救いになるようなもの。 【LOVE】 ・島本理生…

つきほし

【目標】 小説を執筆する⇦読んだ人の救いになるようなもの。 【LOVE】 ・島本理生・朝井リョウ・田辺聖子・山本文緒・今村夏子・穂村弘 ・アジカン・チャットモンチー・vaundy・adieu・saucy dog

最近の記事

イライラがおさまらない

何もかもが気に入らない。 まず、朝起きて不本意ながらまあまあ混む電車に乗る。パーソナルスペースが人一倍広い私はイライラする。詰めてくるな、降りろと思ってしまう。 次に気温。暑い、ジメジメする。イライラする。 もちろん職場はイライラの宝庫だ。人間関係、要領の得ない電話。報告することがないことを記す報告書。なぜか定時であがれない。 イライラのピークには美味しい食べ物も好きな音楽も本も効かない。ただじっと、できるだけ心を無にしてこのイライラが過ぎ去るのを待つだけ。もし要らぬこ

    • 【死にたいと思った私へ】

      今まで何度思ってきただろう。 電車で、映画館で、職場で何度パニック発作を起こしただろう。その度に「いやだ、こわい」と思った。あんなに死んでもいいと思っていたのに。 人間なんて、私なんてそんなものだ。きっと、今の私は誰のことも大切にできていない。自分を大切にできていないから。他人を思いやる行動などできるわけがない。 私が死んでも、世界は1ミリも変わらない。 私が生きても、世界は悪くならない。 だったら図々しく生きてやろう。毎朝懲りずに起きて、ご飯を食べて好きな音楽を聴こう

      • パニック障害の話3

        パニック障害になってから半年ほどで就活。その頃には頓服だけでほぼ乗り切っていた。夜も眠れるようになり、食べることもできていた。(ように記憶している) 就職先も決まり、発作もほぼ起こらず、病気のことは忘れかけていた。 しかし就職してから悩みは尽きなかった。 上司のあたりがきつくて毎日トイレで泣いていた。最終、上司の前で泣いた。 そんな上司との外回りがあり、緊張でご飯も食べられなかった。 なんとか(途中ピンチはかなりあった)外回りを乗り切り、会社に戻り、報告書を書いていたとき

        • パニック障害の話2

          パニック障害になって半年。当時アルバイトをしていた私は翌日が朝からシフトが入っていたため早めに眠ることにした。睡眠薬と抗うつ剤を飲んで布団に入って数時間。眠れなかった。睡眠薬の作用でまぶたは重い。ただ眠りにつく寸前呼吸がふと止まり、心臓がどくんとはねる。これを朝まで繰り返した。不安と焦りで苦しくて、横を向いてずっとうずくまっていた。 結局一睡もできず朝になった。もはや布団から出ることはもちろん体勢を変えることすらできなかった。少しでも動くと動悸がどんどん早くなる気がして怖か

        イライラがおさまらない

          パニック障害のはなし

          大学時代、パニック障害になった。 当時の私は映画にハマっていてよく映画館に行っていた。レイトショーとツタヤの常連だった。 中でも虜になった俳優は、ポールベタニー、ウィノナライダー、イーサンホーク、満島ひかり、宮崎あおい、松田龍平、、 彼らの作品を片っ端から観ていた。スクリーンに映される彼らの美しさは、私の小さな世界にある嫌なことを洗い流してくれた。 いつもの夜、いつもの映画館、いつもの席。映画がクライマックスを迎える時、それはやってきた。血の気がひいた。急だった。急にドキ

          パニック障害のはなし

          ブロークン

          付き合って数ヶ月で別れた。 その人のことは全然好きじゃなかった。 というか、少しずつ無理になっていた。 別れようって言ったのは彼の方。 その時も今もまあまあ気持ちが沈んでいるのはなんでだろうか。 色々考えてわかったこと。 彼から別れのLINEが来たとき、友人の顔が浮かんだ。彼氏ができたとき喜んでくれた友人の顔。彼女たちをがっかりさせてしまう。 もうひとつ、この人とは二度と会えないんだということ。 恋人という枠は基本一つだ。 その枠から外れたら、会うのに理由が必要になる。

          ブロークン

          この広い宇宙で

          人生には小さなゴールがいくつかある。 例えば、入学や卒業。学生時代はどこかに入学するために勉強し、かけがえのない日々を過ごした場所を卒業していく。 例えば、結婚や離婚。愛する人と一生を添い遂げると誓い、でもやっぱり違う道を選ぶこともある。 私は先日、小さなゴールにたどりついた。 出会いは駅前のコンビニ。正確にはスマホか。土曜日にかまいたちのYouTubeを見ていたらグミの特集をやっていた。そこで2人がおいしいおいしいと連呼していたのが「しゃりもにグミ」である。 大の大人が

          この広い宇宙で

          だいたい夜はちょっと

          秋が始まった。夜が長くなり、日は短くなった。が、まだまだ暑い。 駅前の雑貨屋では「金木犀」シリーズがずらりと並ぶ。私は金木犀の香りが小さいころから大好きだった。 以前は金木犀がこんなにも注目されることはなかったように思う。なぜ、今こんなに人気なのだろう。だから学生時代金木犀の香水が欲しくて探すのに苦労したし、いざ手にとってみても「この香りではない」の繰り返し。 しかし今店頭に並ぶ金木犀は本当に金木犀の香りがするものが多い。香水だけではなく、お香やハンドクリームなどもそうだ。

          だいたい夜はちょっと

          【今年も落ち着かない夏】

          夏が終わる。学生までは8月31日はXデーだった。24時間テレビはサライを聞くと切なくて憂鬱になった。 大人になった今でも、8月31日は少し特別。他の月末よりわけもなく焦ってしまう。 花火みてないな、海行かなかったな、この辺りひまわり咲いてたっけ。いやでもまだセミは鳴いてるし…。と1歩も歩かないまま考えてそのまま夜が来る。さようなら夏。いつもまともにお別れできていない。 それでも、夏の終わりに聴こうときめている曲がある。フジファブリックの「若者のすべて」だ。 この曲を聴かなけ

          【今年も落ち着かない夏】

          【備忘録】

          今日、私は傘を棄てに電車に乗る。 どこかのコンビニの傘立てに置いて帰ろうと思った。晴雨兼用の傘。あいにく曇りが続いていたが今日は日傘が必須の天気だった。 私の傘は、骨が折れていてうまく閉じないし、開くと1本だけだらりと骨が垂れている。みっともない。 久しぶりに開いてみても当たりまえだが骨は折れていて、一目惚れしたデザインが歪んでいる。 ゴミ処理場に捨てようと思っていたが、華奢なこの傘を見ているとできなかった。 犬や猫をゴミ捨て場に捨てるようなものではないかとさえ思ってしまっ

          【備忘録】

          【エッセイ】世界の悪口

          こんな日は誰かを突き飛ばしたくなる。 例えばあの人が見つめてた黒いきれいな髪のポニーテールの女に似た人を。何も言わずに押してきた年寄りを。自分の心に毒がたまっていると思っていたけれど、感情を入れる心そのものがべつに綺麗ではなくて。 頑張って可愛いあの子の真似をしてみてもうまくいくはずはなかった。何キロ痩せようが、メイクがうまくなろうが、毎日は変わらない。 どれだけ頑張っていても生まれつきの容姿や家庭環境でだいたいの人生は決まる。年を重ねるとわかる「理不尽で分かり易すぎる

          【エッセイ】世界の悪口

          エッセイ:金木犀

          昔から金木犀の香りが好きだった。 甘ったるいけど、どこか切ない独特の香り。 大学生になって人並みに色気づいた私は金木犀の香水を買って毎日つけていた。 好きな人に会う時に初めて金木犀の香りをまとってみた。気づいてくれるだろうか。 金木犀の香りを嗅ぐたびに、私を思い出してくれたらいいのに。なんて思いながら。 「なんかいい香りがする」その人は言ってくれて、気づいて欲しかったのにいざ言われると恥ずかしくて聞こえないふりをした。 少し寒くなった道をゆっくり2人で歩いた。 金木犀の香

          エッセイ:金木犀

          【きみはだれかのどうでもいい人】 伊藤朱里

          地方の県税事務所で働く4人の女性。同じ職場、同じ空間。しかしそれぞれ4人ともがみている景色、思いは全く異なっていた。 「だからなに?そんなこと、わたしとなんの関係があるの?」 思えば物心ついたときから、私たちはものごとや人をカテゴライズしてきた。かわいい子、運動ができる子、おとなしい子…。 思春期に入ると、自分たちがどこに区別されているか敏感になり、時には入れてほしいカテゴリーに入れるように自分をコントロールすることだってあった。 「明るくて、イケてる女子」のカテゴリ

          【きみはだれかのどうでもいい人】 伊藤朱里

          【ザリガニの鳴くところ】ディーリア・オーエンズ

          アメリカ南東の湿地に、家族と離れ離れ(捨てられたり、別れたり)になって1人で生きている少女の物語。少女はカイア。 カイアは物語の中で何度も別れを経験する。物理的に離れてしまったり、永遠に会えなくなってしまったりする。大好きな母親、兄弟、初恋の相手、自分を好きだといってくれていた人…。カイアはだんだんと、「どうせみんな自分のもとからいなくなる」と考えるようになる。手放すほうが楽なのだ。期待しなければ悲しまなくてすむ。 「忘れよう。こんな庭に来てくれる神様なんているはずがない

          【ザリガニの鳴くところ】ディーリア・オーエンズ

          【おちくぼ姫】 田辺聖子

          1000年前のシンデレラストーリー。継母に、みすぼらしい着物で1日中縫い物をさせられている通称「おちくぼ姫」。彼女は誰もが目を奪われるくらいきれいな容姿であるが、暮らしは召使い同然。ある日、おちくぼ姫の幸せを願うあこきによってあこきの夫、帯刀の乳兄弟である少将から手紙が届く。自分の境遇に負い目を感じていたおちくぼ姫だが、少将の一途で熱心な思いに惹かれ、2人は心を通わせるようになるが、継母にそのことが知られて2人は引き裂かれてしまう… 田辺聖子により、わかりやすく読みやすい「お

          【おちくぼ姫】 田辺聖子