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重視すべきは「数字の中身」

大会数が167もあって20万人割れ。個々の会場が埋まらないから興行を増やし、なおかつ集客の見込める後楽園大会のチケット代を上げることで対処したのでしょう。

我々の業界も似ています。個々の本が売れないから出版点数を増やし、なおかつ数字の見込める人気コミックに特典を付けて値段を上げることで対処する。最近だと↓とか。

私は通常版を買いました。三浦先生の遺された原稿はそれだけで特別です。

CDなんていまや特典がない方が珍しいですよね。しかもA~Dの4タイプとか。「購入する人が減った分、固定客にたくさん買ってもらってカバーする」手法は新日本プロレスと重なります。

本も近い将来にこのビジネスモデルが中心になるのでしょうか? 東野圭吾の新刊に特典を4種類付けるとか。一部の女性誌はすでに通常版と特別版で付録を変えるというやり方をしていますし。

生き残るための企業努力なのはたしかです。ニーズもあるし全否定はしません。でも方向性がしっくり来ない。「こっちから本の価値を落としてどうするの?」と。

少し前に入荷して「マジかよ」と唸ったのが↓です。

外見はプラモデルの箱。「おもちゃ屋の商品が紛れ込んだ?」と疑ったほど。でもあくまでも「プラモデルの特典が付いたコミック」なのです。見た目ではどちらがメインかわかりません。

もちろん本ありきの特典ならOK。でも「本だけじゃもう売れない」「本誌は読まれないだろうけど特典目当てで買ってくれれば」という作り手の諦めが聞こえるケースは書店員として寂しいです。売れなきゃ文化を守れないのは百も承知。でも目先の数字を生めばいいってものでもない。本そのものの魅力で売る努力をしないと待つのは緩やかな滅びへの道では?

売れれば何でもいいのなら、いっそコンビニと同じ品揃えにすればいい。分厚い専門書や難解な純文学など置かず、付録つきの雑誌や人気コミック、ベストセラーだけを並べればいい。

経営の苦労を知らない下っ端のキレイごとです、スイマセン。でもできたら出版業界も新日本プロレスも「数字の中身」を重視して欲しいです。

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