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「売れた」よりも「紹介したい」

いよいよです。

以前↓で紹介させてもらった「透明書店」が本日21日、東京都・蔵前にオープンします。

「営業時間帯は店員1人とAIで接客する」サラッと書かれていますが、なかなかの衝撃です。先日スタートした山下書店・世田谷店の「夜間無人営業」にも驚きましたが、あちらは完全セルフ&キャッシュレス。AIの対応となるとまた話が変わってきます。

「透明書店」では、いま話題のChatGPTが副店長という位置付けらしいです。名前は「くらげ」で、質問を画面のマイクに向かって話すと(キーボードで打ち込むことも可)蓄積したデータをもとに回答してくれるとか。

ということは、私たちが来店して多種多様な本を買えば買うほど「くらげ」の知識の幅が広がり、話す内容の説得力や有効性も増していくはず。育成ゲームみたいで興味深いです。

AIによる接客が軌道に乗れば、慢性的な人手不足に苦しむ本屋は助かります。「職を失うのでは」という不安もゼロではないですが、前から書いているように書店員の仕事は多岐に渡っています。主な接客に加えて売れ筋や人気作家の新刊発注までAIに任せても、直ちに人間は要らないとはならない。

たとえば朝の開梱、棚への品出し&返品する本の抜き取り、配送の荷物作り、ラッピング、客注処理、電話対応、備品発注など。まだまだAIには難しいでしょう。棚差しの選書も同様です。

「売れた」というデータではなく、己の読書体験から生じた「お客さんに紹介したい」という熱が根拠で選ばれた本たち。それらがあちこちの棚で定期的に売れ、補充されるレギュラーになっている。この既成事実でリアル書店員の意義を訴えているつもりです。

と言いつつ、やっぱり危機感もなくはない。仕事があるのですぐには行けませんが、休みの日に様子を見てきます。「ビジネス書を中心に3千冊」という品揃えも気になるところ。皆さまもぜひ。

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