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「永遠の問い」を生み出すもの

なるほど。

初めて体験したRPGが「ドラゴンクエスト」の1作目です。何もかも忘れるぐらい夢中になりました。

いまでもスーパーファミコンで「ドラゴンクエスト1・2」を年に1度はプレイします。ボリュームと難易度が気軽に遊ぶうえでちょうどいいのです。

この感覚は、夏目漱石「坊っちゃん」やカミュ「異邦人」を繰り返し読む理由に近いかもしれません。あまり長くないのに味わい深く、暗記するほど知り尽くしても毎度新鮮な気持ちで楽しめる。

改めて考えると、ボリュームではなくアイデアで勝負し、シンプルな構成でクセの強さを際立たせ、どうにか押し込めた既存の枠から確信犯的に少しはみ出た作品に惹かれています(ゆえにドラクエ1はファミコン版の方が好きです)。

映画だったら、ジャン=リュック・ゴダールの「勝手にしやがれ」。白黒で登場人物は少なく、上映時間も90分です。生き急ぐようにいまを駆け抜けるベルモンドやセバーグが発するセリフのひとつひとつに無駄がなく、永遠に解けぬ問いを投げ掛けてきます。

プロレスでも何度も見てしまう試合は、ほとんど大技を使わず、ダラダラと引き伸ばさず、なのに目新しい発想が随所に散りばめられた20分ぐらいのシングルマッチ。具体例として頭に浮かんだのは、2013年のG1クライマックス・大阪大会でおこなわれた「中邑真輔 vs 飯伏幸太」です。

ずいぶん昔に「4つぐらいのコードで弾ける曲こそ、実は演奏が難しい」みたいな記事を読みました。長年小説を書いていますが、長編よりも短編の方がラクという感覚は実際ありません。むしろ一文字たりとも雑に扱えぬ点に、難しさとやりがいを見出しています。

どのジャンルも、突き詰めていくと目指す境地は近いものになるのかもしれませんね。

誰でも気軽に長く楽しめて、なおかつ奥が深い。そんな「永遠の問い」となり得る何かをいつか自分の手で生み出したいです。

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