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きっと「心の距離」が近いから

おはようございます!!! 書評行きます!!!

梨の子ペリーナ (世界のむかしばなし絵本シリーズ)
ビーエル出版 2020年出版 
イタロ・カルヴィーノ著 関口英子 (翻訳) 酒井駒子 (イラスト) 40P

(以下は読書メーターのアカウント https://bookmeter.com/users/49241 に書いたレビューです)

今月の絵本。元々はイタリアの民話だったのをカルヴィーノが再話した(=子ども向けにわかりやすく書き直した)とのこと。梨の子っていうぐらいだから桃太郎みたいなものかと思ったら、こちらの主人公は女の子。イタリア語では果物はすべて女性名詞らしい(フランスやドイツ、スペインではどうなのか)。だからかストーリーも柔かい。酒井駒子さんの絵は「ビロードのうさぎ」で知ったけど、手作りのおむすびみたいで心地良い。形がキレイ過ぎないから逆に細やかな配慮や温もりが伝わる。ふーっと大きく息を吐いてリラックスできました。いい本です。

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絵本ってすぐ読めるのがいいですよね。
しかものんびり、ゆったりとページを捲れる。リラックス読書に最適です。

私の好きな絵にはふたつのタイプがあります。ひとつは情念に溢れて枠からはみ出す荒々しいもの。岡本太郎やゴッホ。もうひとつは手作り感。好きな人とのハグみたいな温もりを感じ、安心できる作品。写実的過ぎず壮大過ぎずキレイ過ぎない。酒井駒子さんの絵はまさにこれだと思うのです。

昔、原田知世が主演の「デッサン」というドラマがありました。
内容は忘れましたが、画家の役だった大沢たかおが絵具を付けた指を筆代わりにして描くシーンだけがやけに印象に残っています。こういうの、いいなあって。

新卒で某出版社へエントリーした際に「手書き原稿限定の新人文学賞を創りたい」と書いたこともあります。「受賞作は手書きのまま書籍化しよう」と。いま思うと「こち亀」57巻に収録された「文豪・両津勘吉」の二番煎じ。実際落とされました。でも短い小説なら十分可能ですし面白そうじゃないですか? 

基本的に文章だけの本で手書きの字がそのまま載ることはまずないですよね。でもマンガや絵本の絵の多くは、手で紙に描いたものがダイレクトに印刷されるわけです。原画ではなくても、著者と読者の心の距離が活字よりも近いように感じます。本作がくれた「温もり」の答えもこの辺りにあるのかもしれません。

酒井駒子さんの絵本、どれもオススメです。まずは図書館で!! 

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