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言葉の力の発動条件

まずは大好きな曲を取っ掛かりに。

「TOUGH BOY」 1987年発売 
作詞・作曲 TOM 編曲 うじきつよし・TOM 歌TOM★CAT 

当時誰もが熱くなったアニメ「北斗の拳2」のOPです。

「北斗の拳」は子どものころ、親から読むのを止められた作品です。確かにストーリーも絵柄も少年誌向けではなかった気がします。ただ、いまの「鬼滅の刃」もそうですが、物語を通じて作者が訴えたいパワーやメッセージは完全に子どもに向けたものなんですね。だからちゃんと彼らの心にも響いている。

GACKTが著書の中でアニメ「北斗の拳」のOP「愛をとりもどせ」の「YOUはSHOCK」という歌詞に衝撃を受けた、みたいなことを書いていました。「YOU ARE SHOCK」ではなかったことで言葉を大事に扱う姿勢を学んだと(私はむしろ彼の感受性に衝撃を受け、己の鈍を恥じました)。確かに「愛を~」は名曲です。でも後期OPの「SILENT SURVIVOR」や「TOUGH BOY」も引けを取ってはいません。

「TOUGH BOY」の歌詞はOPで使われたものとオリジナルで少し違います。「イカレた」が「ふざけた」になっていたり、一番と二番が入れ替わっていたり。私が泣くほど燃えるのはOPバージョンの次の一節。

Keep you burning 駆け抜けて この腐敗と自由と暴力のまっただなか 
No boy no cry 進まなきゃ 勢いを増した向かい風のなかを

「泣かない男はいない」まあそうですよね。でも信じるものを守るためには前を向いて進まなきゃ。負けてたまるかって反骨心が沸いてきませんか? 一度聴いたら一生忘れない。忘れさせないフレーズの力が胸を滾らせる。

フレーズの力で真っ先に浮かぶのはガンダムの冨野由悠季です。彼の繰り出す言葉の砂嵐は目に入ったときの痛みが別次元でした。「鬼滅の刃」の作者もすごい。「よもや、よもやだ」とか。あれはどうしたって頭に残りますよね。

こう考えると、絵や音楽など他のツールと競い合う状況下に置かれることで言葉の真の力が発動するという仮説が成り立ちます。でも待ってください。小説は言葉だけで勝負するジャンルです。掌編小説家を志すひとりの書き手として、この到達点は容認しかねる。もっと煮詰めます。

言葉だけで闘う際の肝は「足し算」よりも「引き算」にある。ここが現段階における解決の糸口です。


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