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末端が考える「書店に必要なもの」

寂しい気もしますが建物の老朽化は避けられないこと。新ビルの竣工はかなり先になりますが、工事中の仮店舗に期待しましょう。

とはいえ、あれだけの在庫をそのまま移すのは難しいかもしれない。もし規模を縮小するとしたら従業員の雇用はどうなるのか? 私もそうですが、書店員の大多数は不安定な非正規社員です。

これまでに職場の閉店を二度経験しました(それぞれ別の会社)。いずれの場合も契約はそのまま終了しました。二度目のケースでは会社が受け皿を斡旋してくれたのですが、私の方で辞退しました。一度目は何もなくサヨナラ。7年間勤めたのに。「非正規で5年間勤めたら無期雇用に転換できる」というルールが始動したてで、まだ適用されなかったのです。

ただし契約が無期になっても正社員並みの待遇になるわけではありません。そもそも書店の正社員がそんなにいいかと訊かれたら。。。

言葉は悪いけど「爆弾処理班」みたいに見えるときがあります。特に大型店になればなるほど他の雑務が増え、いちばん大切な選書したり棚を見たりする時間が消えていく。きっと休日も疲れ果てて本など読めない。

前の職場で「私は雑用係じゃない!」と閉店後に事務所で叫んでいる正社員がいました。別の役職者には「俺の給料を労働時間で割ったら、君らの方が時給はいいよ」と言われました。

大学の先生も偉くなればなるほど好きな研究に割く時間が削られると聞きます。そして知人の父親は私立大の教授になった途端に外車を買いましたが、書店員の給料はそこまでは上がりません。

根本的に何かがおかしい。本の利益率や返品率も含めて。自分の職業だから言うのではなく、書店員はもっと報われていいはずです。ただこういう疑問を明確に打ち出し、改善に向けて動いている店は、大手だと青山ブックセンターぐらい。山下店長が年齢的に若く、元・アルバイトということも大きいでしょう。

この業界にいま必要なのは「末端の苦悩をわかった上で業界の課題にも立ち向かえる人」だと思います。経営側はどう考えているのでしょうか。たまに役員が店に来ても、私みたいな下っ端とは話しません。見解を聞きたいです。

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