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好きな映画を2つ②(洋画編)

見ていたことを忘れていた映画を最近よく思い出します。
あと見よう見ようと思っていてすっかり忘れていた作品も。久しぶりにDVDでも買おうかな。

1、ドアーズ まぼろしの世界

いちばん好きなバンドがドアーズなので、オリヴァー・ストーン監督&ヴァル・キルマー主演の「ドアーズ」も見ています。あれはあれで悪くないのですが、納得できない点がふたつ。ひとつはヴォーカルのジム・モリソン以外のメンバーが「その他大勢」扱いであること。特に「ライト・マイ・ファイア」「タッチ・ミー」などの代表曲を作ったギターのロビー・クリーガーにはもう少し見せ場があってもよかったはず。ファンの人ならわかると思いますが、ドアーズは決してジムのワンマンバンドではありません。もうひとつはエド・サリヴァンショーの描き方。実際の映像のジムがさらりと当たり前のように、なおかつ甘い声で当時放送禁止だった「Higher」というフレーズを歌ったのに対し、映画の方ではこれみよがしに「Higher! Yeah!」と叫んで挑発的なカメラ目線。ぶち壊しです。。。

その点こちらはドキュメントですから、本物のドアーズを堪能できます。「エド~」の模様はもちろん、酔っ払ってライブ中にステージで寝転がっているジムの姿も見られます(笑) あと冒頭の映像。予備知識ゼロで映画館で見た時は「え? え?」と焦りました。ジョニー・デップのナレーションも素晴らしい。変人&狂人扱いされがちなジムのIQに触れている点がさすがです。

ところでこれも有名な話ですが、ジムは大学で映画の勉強をしていて、映像に関する詩も残しています。「ジム・モリスン詩集」という本で読みました。このレビューもいずれ紹介します。文学と映画の関係性は前回の洋画レビューで紹介したゴダール「気狂いピエロ」でも取り上げられていて、個人的に突き詰めていきたいテーマのひとつです。以前は「映画にできないことをやるのが文学」と考えていましたが、最近少し考えが変わってきました。優れた文学とは読者が各々の頭の中に独自の映画(映像&音声付きの物語)をゼロから立ち上げるように導くシャーマンではないか、と。まだ発想の段階ですが。

2、レスリング・ウィズ・シャドウズ

世界一のプロレス団体WWE(当時WWF)の舞台裏をガチで描いたこちらもドキュメントです。こんな映画は日本ではあり得ません。選手と会社の人間がある試合の結末をどうするかという話をしていたり(これが映画の最重要テーマになっています)、耳にインカムをつけているレフェリーに舞台裏の本部から指示が飛んだり。あと相手の身体を激しく蹴るシーンで「この説得力を見てくれ。全て寸止めだ」という選手のナレーションが入って唖然としたことも覚えています。

ちなみに主演のブレット・ハートは長年WWEを支えたトップスターです。なのに撮影期間中に自らの意志に反してライバル団体WCWに移籍することが決まってしまいました(ギャラが払えないから向こうに行ってくれ、ということでした)。普通ならそこでお蔵入りです。でもそのまま撮影は継続され、移籍後に自分のいなくなった番組をTVで見るブレットの姿までカメラに収めています。ビジネスになるなら何でも利用するこのWWEの執念には言葉が出ません。いい悪いではなくすごいです。

当時のWWEはけっこうな経営危機だったらしく、真面目な正統派ヒーローであるブレットを見切り、悪ふざけを繰り返して話題を集めていた(カナダの国旗を鼻の穴に詰める、仲間のレスラーにキスをする、マイクで下ネタを話すなど)ショーン・マイケルズを前に出そうとしていました。そこでのファン同士の争いや選手間のガチの憎悪も赤裸々に描かれています。かなり衝撃的な内容ですが、中堅以上のファンの人にぜひ見て欲しい。「そんなの見たらプロレス嫌いになっちゃうよ」という人は恋と愛の違いを想像してみてください。ある人が言っていました。「プロレスとは底が丸見えの底なし沼だ」と。




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