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雑文エッセイ日記コラムプロレス諸々

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その名の通りです。
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#プロレス

「トライ&エラー」と「人間だよ!」

「トライ&エラー」と「人間だよ!」

新しいことをどんどん試し、思うような成果が上がらなければ手を引き、べつのアプローチを目論む。挑戦と失敗、微調整を繰り返し、少しずつ目標の達成へ近づく。

「トライ&エラー」と呼ばれる方法論です。

悩ましいのは切り替えのタイミング。株の損切りと本の返品を同一線上では考えられません。同じ書店でも、常に賑わうコミックの棚とさほど混まない人文書のそれでは基準が変わってきます。

「ストロングスタイル」を

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「末端からの一撃」と「あきらめの悪い男」

「末端からの一撃」と「あきらめの悪い男」

3月1日に、村上春樹さんと川上未映子さんが書き下ろし短編を朗読するイベントが開催されました。

会そのものが画期的だけど、最も衝撃を受けたのは春樹さんの何気ない一言。ゲストの小澤征悦さんが「風の歌を聴け」の一節を読み上げ、それに対して「僕が生まれて初めて書いた小説なんですよね」とコメントしているのです。

初めて書いた小説でデビュー。

知っていました。しかし改めて活字で読むと愕然とします。

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私が「プロレス」を大好きな理由

私が「プロレス」を大好きな理由

3年前に袂を分かった元・タッグパートナー。しかも長く苦しい下積みを共に耐え抜いた唯一の同期。

そんなSHO選手とYOH選手に、大舞台でIWGPジュニア王座を懸けて闘うチャンスが訪れました。

2017年10月、彼らは「ROPPONGI 3K」というチームを結成して海外遠征から凱旋しました。そしていきなりIWGPジュニアタッグ王座を獲得。舞台は同じ両国のリングでした。

2021年4月、膝の怪我で

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4.6は「他人とは違う個性」への第一歩

4.6は「他人とは違う個性」への第一歩

「言葉では伝わらないものが、たしかにある。だけど、それは言葉を使いつくした人だけが言えることだ」
「言葉をだいじに使いなさい、ユリアン。そうすれば、ただ沈黙しているより、多くのことをより正確に伝えられる」

↑は創元SF文庫「銀河英雄伝説9 回天篇」の一節です。

プロレスは非日常のエンターテインメントゆえ、常識的なコメントばかりでは面白くない。時には大袈裟というか、過剰な言い回しも必要でしょう。

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次に出してほしいのは「猪木版・○○○ー○○○」

次に出してほしいのは「猪木版・○○○ー○○○」

少し前にこんな本が出ました。

故・アントニオ猪木さんから最も信頼され、アリ戦やペールワン戦といった特殊なシチュエーションでセコンドに付いた仕事人・藤原喜明。決して饒舌ではない彼が何を語るか? 

猪木さんが一昨年に亡くなってから様々な本が出版されています。映画にもなりました。プロレスファンの書店員としては、ここで原点回帰というか、試合をもっと世間に紹介したい。

かつて講談社から「燃えろ! 新日

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「新人賞に落選し続けたイチ書店員」がNJC決勝前に思うこと

「新人賞に落選し続けたイチ書店員」がNJC決勝前に思うこと

「夢ありませんか?」

SANADA選手が昨年末に言い続けたコメントです。

2005年におこなわれた新日本プロレスの入門テスト。合格した内藤哲也選手が挑戦者で、落ちた自分は王者として東京ドームのメインに立つ。その感慨をアピールしていました。

夢があると感じるファンもいたでしょう。私は乗れなかった。「そういうのを自分で言っちゃうのは」と思ったからです。

一方、そのSANADA選手を破り「NEW

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「4年前の支え」と「誇りたい同志」

「4年前の支え」と「誇りたい同志」

2020年春。

某感染症の流行に伴い、各プロレス団体は興行を自粛。無観客で収録した試合をネットで配信する形へ切り替えました。

当時の楽しみは、毎週土曜に最新回がアップされた全日本プロレス。現在進行形の闘いから元気をもらえて助かりました。

緊急事態宣言が出てお店は休業。それでも荷物は入るので週に2度だけ出社しました。膨大な量の雑誌を棚に出し、まったく減らぬまま返品。そんな仕事を続ければ気分が滅

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オカダ・カズチカの「未完の仕事」と「新しい海外移籍」

オカダ・カズチカの「未完の仕事」と「新しい海外移籍」

そっちでしたか。

WWEへ行くと確信していました。来年のレッスルマニアで中邑真輔選手と一騎打ちだと。

両者のシングル戦は、オカダ選手が2012年に「レインメーカー」へ変身して以降、3度実現しています(中邑選手の2勝1敗)。ただいずれも同じユニットに属する間柄での一戦で、本格的な抗争ではなかった。

団体の頂点を極めたふたり。そんな彼らが新日本プロレスでやり残した唯一のUnfinished Bu

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「寄り道」+「本気」=「生きる道」

「寄り道」+「本気」=「生きる道」

「とにかくそれは、見事な男であった。あっぱれな奴であった。好いところが一つもみじんも無かった」

太宰治「親友交歓」の一節です。↑を見て思い出しました。

札幌大会ではセコンドの介入による場外リングアウトでエル・デスペラード選手を倒し、IWGPジュニア王座を獲得したSHO選手。賛否両論や好き嫌いは当然あるでしょう。昔からプロレスを見ている人ほど、あるいは拒否反応が強いかもしれない。お気持ちは理解で

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「一番自分を評価してくれた人」の思い出

「一番自分を評価してくれた人」の思い出

4年前。

いまの職場に来てしばらくは棚を任されず、雑誌の手伝いをしていました。正直「またか」です。最初に入った書店で長く雑誌担当を務めたせいか、以後の職場でも「じゃあやって」となるケースが多かったのです。

しかしある日、店長に「雑誌をやらせるつもりはないから」と告げられました。そしてビジネス書や専門書の棚を作るコツをイチから教えてくれたのです。時間をかけてじっくりと。

同僚の非正規に「ここは

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「レッスルユニバースの価格改定」と「子どもの頃のプロレス観戦事情」

「レッスルユニバースの価格改定」と「子どもの頃のプロレス観戦事情」

レッスルユニバース、値上げですか。

900円から1298円。「うっ」となりました。最低時給で働く非正規の書店員なので。

でもREAL ZERO1やみちのくプロレスの試合を見られるようになるのは嬉しい。なので私はこのまま利用を継続します。プロレスリング・ノアは元々好きな団体だし、DDTももっと堪能したい。男色ディーノ選手とか。フェロモンズがめっちゃ好きでした。

去年読んだ↓も素晴らしかったです

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「2000年4月の思い出」&「すべての答えは○○」

「2000年4月の思い出」&「すべての答えは○○」

「もし負けたら○○○」

プロレスを長く見ているとしばしば目にする光景です。

リスクの程度や当事者の契約事情によって、実際に敗れるかどうかの確率が変わってくる印象を受けます。しかし侮るなかれ。人生と同様、リング上も一寸先は闇です。

思い出すのは2000年4月。新日本プロレス・東京ドーム大会のメインでおこなわれた「橋本真也 vs 小川直也」です。「橋本真也34歳小川直也に負けたら即引退スペシャル

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「敗者髪切りマッチの大前提」と「31年前の記憶」

「敗者髪切りマッチの大前提」と「31年前の記憶」

敗者髪切りマッチ。

同期のライバルである辻陽太選手と上村優也選手。彼らの闘いは今後も続くと思われますが、ひとまず次の札幌で完全決着を迎えそうです。

髪切り戦をやるのであれば、両者に「髪を失いたくない!」という思いを発信してほしい。大前提です。なぜなら一時的に丸坊主を余儀なくされても、彼らの年齢であればいずれ元に戻るから。マスクマン同士が闘い、敗れた方が素顔になる「マスカラ・コントラ・マスカラ」

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「26歳の海野翔太」と「24歳のオカダ・カズチカ」

「26歳の海野翔太」と「24歳のオカダ・カズチカ」

先月末にオカダ・カズチカ選手が退団した新日本プロレス。

26歳の海野翔太選手が、次のエース候補と目されています。オカダ選手の新日本所属ラストマッチ(2月の3大会にはフリーとして参戦)が組まれた1月24日の後楽園で、彼はメインを任されました。

相手はヒールターンした元盟友の成田蓮選手。ラフな展開は予想通り。ただ海野選手が自ら机を持ち出し、その上へ成田選手をパワーボムで叩きつけたのは「?」でした。

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