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雑文エッセイ日記コラムプロレス諸々

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その名の通りです。
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ハードボイルド書店員が考える「ギムレット」の真意

ハードボイルド書店員が考える「ギムレット」の真意

全日本プロレスの若き王者・安齊勇馬選手が、新必殺技を披露しました。

その名もギムレット。肩車で抱えた相手を、捻りながらパワーボムのように落とす強烈な一撃です。

意味はふたつ。直訳の「錐」は技の外観を物語っています。

もうひとつ。ハードボイルドファンには言うまでもありませんね。

いくつかの訳で楽しめるレイモンド・チャンドラーの名作です。

試合を終わらせ、対戦相手とお別れをする切り札にこの名

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ドラマも映画も「○○」が素晴らしい

ドラマも映画も「○○」が素晴らしい

来ました!!

「ジョジョの奇妙な冒険」のスピンオフに留まらず、それ自体が荒木飛呂彦さんの代表作として認知される「岸辺露伴は動かない」の新作ドラマが放送決定です。

タイトルは「密漁海岸」。原作は↓に入っています。

登場するイタリアンのシェフ・トニオさんは↓が初登場です。「ジョジョ」を知らなくても楽しめるはず。読むとサイゼリヤが恋しくなります。

2020~22年は、ドラマ「岸辺露伴は~」が年末

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「トライ&エラー」と「人間だよ!」

「トライ&エラー」と「人間だよ!」

新しいことをどんどん試し、思うような成果が上がらなければ手を引き、べつのアプローチを目論む。挑戦と失敗、微調整を繰り返し、少しずつ目標の達成へ近づく。

「トライ&エラー」と呼ばれる方法論です。

悩ましいのは切り替えのタイミング。株の損切りと本の返品を同一線上では考えられません。同じ書店でも、常に賑わうコミックの棚とさほど混まない人文書のそれでは基準が変わってきます。

「ストロングスタイル」を

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「末端からの一撃」と「あきらめの悪い男」

「末端からの一撃」と「あきらめの悪い男」

3月1日に、村上春樹さんと川上未映子さんが書き下ろし短編を朗読するイベントが開催されました。

会そのものが画期的だけど、最も衝撃を受けたのは春樹さんの何気ない一言。ゲストの小澤征悦さんが「風の歌を聴け」の一節を読み上げ、それに対して「僕が生まれて初めて書いた小説なんですよね」とコメントしているのです。

初めて書いた小説でデビュー。

知っていました。しかし改めて活字で読むと愕然とします。

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私が「プロレス」を大好きな理由

私が「プロレス」を大好きな理由

3年前に袂を分かった元・タッグパートナー。しかも長く苦しい下積みを共に耐え抜いた唯一の同期。

そんなSHO選手とYOH選手に、大舞台でIWGPジュニア王座を懸けて闘うチャンスが訪れました。

2017年10月、彼らは「ROPPONGI 3K」というチームを結成して海外遠征から凱旋しました。そしていきなりIWGPジュニアタッグ王座を獲得。舞台は同じ両国のリングでした。

2021年4月、膝の怪我で

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「1の戦闘力」を隠し持つ「4列目」

「1の戦闘力」を隠し持つ「4列目」

小学生の頃、進学塾へ通っていました。

当てられて答えられないと罵倒され、ペンを投げつけられ、頭を叩かれる。そして帰宅させられるか廊下で自習です。教室の机は4列。テストの成績で座る場所が決まりました。

入った当初はいちばん後ろの4列目。中学受験をする意志などなく、嫌々通っていたからやる気ゼロ。最初の数か月はクラスの底辺でした。

3か月後に1列目へ昇格。初めて座る際「4列目から1列目」という誰か

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4.6は「他人とは違う個性」への第一歩

4.6は「他人とは違う個性」への第一歩

「言葉では伝わらないものが、たしかにある。だけど、それは言葉を使いつくした人だけが言えることだ」
「言葉をだいじに使いなさい、ユリアン。そうすれば、ただ沈黙しているより、多くのことをより正確に伝えられる」

↑は創元SF文庫「銀河英雄伝説9 回天篇」の一節です。

プロレスは非日常のエンターテインメントゆえ、常識的なコメントばかりでは面白くない。時には大袈裟というか、過剰な言い回しも必要でしょう。

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「恐怖の8番打者・2号」と「負けない○○」

「恐怖の8番打者・2号」と「負けない○○」

ホッとしました。

OP戦の絶不調をシーズンへ持ち込み、なんと連日の完封負け。開幕カードで3連敗を喫すると、今後も東京ドームに嫌なイメージが残ります。

一方で「この流れなら森下がやってくれる」という予感もありました。後出しジャンケンではないです。詳しくは↓を。

信じられないポカもするけど、みんなが苦しいときにひとりで気を吐き、ここぞの場面でチームを救う。漫画やアニメで人気が出るタイプです。

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モットーは「好きなことを好きなように」

モットーは「好きなことを好きなように」

「最近はマニュアルで免許を取る人はほとんどいないらしくオートマ限定が主流らしい」

フォロワーさんのnoteでこの文章を読み「時代は変わったなあ」と感じました。少し前まで「男はマニュアルじゃないと」みたいな風潮がありましたから。

私の免許はオートマ限定です。

マニュアルにしなかった理由はみっつ。ひとつめは風潮への反発。ふたつめは最初に試して「危ない」と思ったこと。アクセルとブレーキとハンドルに

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次に出してほしいのは「猪木版・○○○ー○○○」

次に出してほしいのは「猪木版・○○○ー○○○」

少し前にこんな本が出ました。

故・アントニオ猪木さんから最も信頼され、アリ戦やペールワン戦といった特殊なシチュエーションでセコンドに付いた仕事人・藤原喜明。決して饒舌ではない彼が何を語るか? 

猪木さんが一昨年に亡くなってから様々な本が出版されています。映画にもなりました。プロレスファンの書店員としては、ここで原点回帰というか、試合をもっと世間に紹介したい。

かつて講談社から「燃えろ! 新日

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「納得」はしてないけど、この曲に救われた

「納得」はしてないけど、この曲に救われた

Myテーマ曲をひとつ紹介させてください。

アニメ「マクロス7」の主人公・熱気バサラがヴォーカル&ギターを務めるFire Bomberの「HELLO」です。

この曲名だと、福山雅治さんを連想する人が多いかもしれません。私も好きです。学生の頃、アコースティックギターで弾き語りを練習しました。

ASKAさんの「HELLO」も名曲です。「とりあえずここは裸足で 一塁だけ狙ってみよう 息を止めて走って

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「新人賞に落選し続けたイチ書店員」がNJC決勝前に思うこと

「新人賞に落選し続けたイチ書店員」がNJC決勝前に思うこと

「夢ありませんか?」

SANADA選手が昨年末に言い続けたコメントです。

2005年におこなわれた新日本プロレスの入門テスト。合格した内藤哲也選手が挑戦者で、落ちた自分は王者として東京ドームのメインに立つ。その感慨をアピールしていました。

夢があると感じるファンもいたでしょう。私は乗れなかった。「そういうのを自分で言っちゃうのは」と思ったからです。

一方、そのSANADA選手を破り「NEW

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「4年前の支え」と「誇りたい同志」

「4年前の支え」と「誇りたい同志」

2020年春。

某感染症の流行に伴い、各プロレス団体は興行を自粛。無観客で収録した試合をネットで配信する形へ切り替えました。

当時の楽しみは、毎週土曜に最新回がアップされた全日本プロレス。現在進行形の闘いから元気をもらえて助かりました。

緊急事態宣言が出てお店は休業。それでも荷物は入るので週に2度だけ出社しました。膨大な量の雑誌を棚に出し、まったく減らぬまま返品。そんな仕事を続ければ気分が滅

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イチ阪神ファンの書店員が「控え捕手の配球」に思うこと

イチ阪神ファンの書店員が「控え捕手の配球」に思うこと

阪神ファンです。

しかし子どもの頃はヤクルトを応援していました。

1998年、前年に日本一を達成した同チームは開幕カードでまさかの3連敗。以後も波に乗れず4位に終わりました。

原因のひとつは、開幕戦で絶対的な中心である古田捕手が負傷したこと。彼は94年にも指を骨折してチームを離れましたが、そのシーズンも4位でした。

キャッチャーはチームの要だから固定すべき、といわれます。しかしこういう事態

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