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余命と預金の痛切な関係

ライフシフトをちょっとずつのんびりオーディオブックで聴いていますが、やはり命とお金の話が続いています。命というのは死ぬまであと何年生きるかという余命と、そのうち健康である状態が何年あるかという要素もあります。お金についてはどれだけ貯められるか、いつまで働けるかの2つがポイントになるので、そこで働き続けるための条件として「健康である」というステータスが重要になってきます。まわりくどいですが、当たり前っちゃ当たり前です。体は資本といいますし。これは肉体労働だけの話にあらず、ですね。

私のようなアラフィフ世代と、その子供世代は余生の選択肢が全く違ってくることを、ペルソナを使って解説しています。年金制度も違うし、子供世代はそもそも持っている平均余命が断然長い。最新のエビデンスもどんどん盛り込まれており、技術革新もあわせて寿命や仕事がどうなるのかの考察もあり、読みながら(聞きながら)長生きもなかなか大変そうだぞと思いを新たにしています。そしてさらに余命が長く人生の選択肢が恐ろしく多い子供世代にどう考えていってもらうか、何を与えられるかも重ねて突きつけられます。ちょっと、息苦しくなってきますね。

と、充実の内容なのですが、知識のアップデートは必要で有意義だと感じつつ、お金とライフスタイル、生きがいなどの大きな枠組みや考え方がそれほど変わるわけではないものだとも感じています。若いころに自己啓発やお金関係の本も随分と読みましたが、それなりの知識は増えてもなんだか落ち着かない、満腹感がないような気がしてまた次の本を手に取るような感じでした。「よしわかった、もう大丈夫」とならないんですよね。ダイエット法などと似ているのかもしれませんね。あれもこれも試すけれどイマイチ続かない、みたいな。ダイエットなら例えば「基礎代謝」とか「エネルギー」などの大きな枠組みがあって、そこに自分の身の丈にあったような技術とか知識を盛りつけたり、状況や目的に応じて方法を変えていったりということが必要だと思うのですよ。大きな枠組みをまず作っておかないと知識も脇からこぼれ落ちて身につかないのです。逆に大きな枠組みがしっかり作られていれば不測の事態でも自分で考え判断ができる。また新しい情報をアップデートすることで間違った方向に行かなくなる。

私に「命とお金」というテーマで大きな枠組みをくれたのはこの本です。

十分名著で言葉を足すことも特にないのですが、この本を読んだ時の脱力感ったらなかったですね。これまで読んできたお金啓発本の元ネタというか、この本が断片的に焼き直されているだけではないかと思いました。今までのジプシー生活はなんだったんだと。著者は独自の蓄財&投資法で莫大な財産を築きましたが、仕事をリタイアする時に全部寄付してしまいます。そしてその後は著述業や講演で十分に満ち足りた生活をしている。生前贈与ならぬ生前寄付。

余命とお金の比率を、仕事引退時にガラガラリセットするというおこないにしびれます。引退後の生活もなんら気負わずしっかりお金も稼いでまさに悠々自適。再現性よりも、そのテーマにおける大きな枠組みを与えられることがいかに学びにとって大きいかを知らされた本でした。

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