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新書を読んで歴史旅行  「物語 イスタンブールの歴史 「世界帝都の1600年」」(宮下遼)

本好きな2人が「世界の見方が変わってしまうような本」をPodcast「Book Club」で紹介。

(第11回である今回から、更新した配信をnoteでもお知らせします。)

今回紹介するのは「歴史旅行」ができる一冊

イスタンブールに交換留学もした私が紹介するのがこちら。

イスタンブールは東のローマとも呼ばれ、コンスタンティノープル、ビュザンティオンなど様々に呼ばれてきた。330年の「新ローマ」建設から、1922年のオスマン帝国滅亡までの1600年余り「世界帝都」として君臨してきた歴史を街並みを探りながら見ていく1冊。

歴史を紐解いていくと、イスタンブールがコスモポリタンとして多様な人々の存在を受け入れていたこと、イスラーム教とギリシア正教やカトリックのキリスト教、ユダヤ教など様々な宗教が棲み分けながら共存していたことが街並みに残っている。その一方で、世界帝都としての役目を終え、トルコ共和国がその中心としてアンカラを選んだ時、その多様性に変化が訪れていく。

そして現代、改めてメガシティとして発展しようとしているイスタンブール。モスクの建設や、アヤソフィアのモスク化など改めてイスラーム世界を意識した動きが見られるエルドアン政権の施策たち。それを俯瞰してみて行った時、イスラーム世界とヨーロッパ世界の狭間で揺れ動いていたイスタンブールの歴史の延長線上に今の動きを見ることができるだろう。

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6年前のアヤ・ソフィア大聖堂。現在はモスクとなっている。(撮影:私)

歴史と隣り合わせに歩くこと

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私がイスタンブールにいたのは6年以上前。ボスファラス海峡に橋はまだ2つしかかかっていなかった。アジア側へと向かいながら、「これで帰れる」と実感していた。(帰りはサビハ・ギョクチェン空港というアジア側の空港から、ギリシャへと向かったからだ。)

アジアとヨーロッパを繋ぎ、世界のハブとして発展を遂げるイスタンブール。

この町に住んでいたとき、考えていたのは、まさにこの本のような感覚。いつも隣に1000年以上前の住人がいるような歴史を感じさせる。あの角を曲がれば、オスマン帝国時代の軍人とすれ違うような感覚。

そんな歴史を感じながら、雑踏の中を必死に道を探して歩いている日々を思い出した。

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私が留学時代に寮を飛び出て、街中に住んだ時、選んだ駅はレヴェントという駅だった。歩いて20分かかったが、同じ道をバスで行っても朝の渋滞の時間には20分以上かかることもあった。それだけ交通事情が悪く、渋滞は日常茶飯事だった。そんな大都会の中で停電はよく起きていた。今、イスタンブールの日常はどうなっているのだろう。

このレヴェント駅のあたりは、観光地とは言えないが、この本は、そのような新しい開発エリアにまで言及している。新しい視点でイスタンブールを見たい人にもぴったりの一冊だ。

そして、今日10月13日は、イスタンブールが帝都としての役目を終えた日でもある。

ということでBook Club 第11回をお聞きください。



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