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海外の百合漫画まとめ!

こんにちは。書肆喫茶moriの店主です!

台湾の百合漫画、サウザンコミックス第4弾『綺譚花物語』のクラウドファンディングが無事に成立しました~!やった~!

これで海外の百合漫画がまた一作品、翻訳されることになります!
嬉しい限りですね!

ということで、だいぶ前にYoutubeライブでも海外の百合漫画についてお話したことがありますが、改めてnoteの記事にまとめてみたいと思います。

ちなみにYoutubeライブはこちら!ぜひご覧ください。

ちなみに海外の百合漫画事情についてはVtuberげそにんちゃんのブログがとても面白いです。

なお、このページにおいて「百合漫画」とは女性同士の恋愛が登場する漫画と広めに定義してご紹介してます。あしからず。


若手女性マンガ家のホープ!ティリー・ウォルデン!

海外の百合漫画といって筆頭に挙げられるのが、ティリー・ウォルデン!

ご自身レズビアンであることをカミングアウトされておられ、自伝的作品『スピン』は日本語でも読むことができます。

『スピン』では、両親との関係、引っ越し、自分のセクシャリティ、スケートでの挫折……淡々と、けれどもどかしいまでに切実な10代のころの思い出が語られています。

ティリー・ウォルデンの描くマンガは、デビュー作『End of Summer』以外は女の子同士の恋愛関係がなにがしかの形で登場します。

『I Love This Part』『City Inside』のポエム的なショート・ストーリーもいいし、SFファンタジー大作『ON A SUNBEAM』は美しくも壮大だし、『Are You Listening?』は自伝的要素も感じられる感動作です!

ティリー・ウォルデン作品についてはYoutubeライブや、海外マンガ情報誌『モリマチ。』第3号でも紹介しているので、こちらもぜひご覧ください。

さて、そんなティリー・ウォルデンが2022年6月に刊行予定の次回作は、ご存じゾンビアポカリプスの傑作『ウォーキング・デッド』のコミカライズ。しかも、これまでコミカライズされたことのない、Telltale版ゲームの主人公クレメンタインの物語です!

クレメンタインは、ゲームの第4シーズンで、選択肢によって男女両方の登場人物と恋愛関係が結べるキャラクターとして描かれます。

果たしてティリー・ウォルデン版のクレメンタインがどのように描かれるのか、今からとても楽しみです!


LGBTQ+作品キュレーションも!マリコ・タマキ!

ご自身で百合漫画を描かれているほか、LGBTQ+作品の振興や英語圏への紹介にも力を入れている作家がマリコ・タマキです。

『GIRL(原題:SKIM)』は、カナダの日系人女子高生の日常を描いた作品で、女性教師に片思いをするシーンが描かれます。クラスの中では目立たない主人公が、ボーイフレンドに振られて大騒ぎしている同級生を冷めた目で見たり、親友と思っていた少女との関係がギクシャクしだしたり、うまくいかない日々がつづられます。
残念ながら絶版していますが、日本語で読める作品です。

日本語訳はされていませんが、2019年に発表された『Laura Dean Keeps Breaking Up With Me』はハーベイ賞、アイズナー賞をともに受賞した評価の高い作品です!

モテモテでかっこいい彼女ローラ・ディーン(名前までかっこいい!)に振り回される女子高生。浮気をされては別れてを繰り返して、でも甘い言葉で迫られればつい許してしまう……。そんな泥沼の恋愛が描かれます。

私はこの作品を読んだとき「なんて”ふつう”の恋愛マンガなのだろう」と思いました。「日本にもこんな少女マンガたくさんあるな」と。レズビアンを描いた作品であるのに、普遍的なごくありふれた恋愛物語として読むことができたのです。まだまだ現実は同性愛がマイノリティな世界で、これって実はすごいことなのでは……?

マリコ・タマキは百合漫画ではありませんが、子どもから思春期へと移り変わる少女の一瞬をとらえた『This One Summer』も素晴らしい作品です。2021年に日本語訳が刊行されたので、ぜひこちらもどうぞ!


BDSM純愛百合漫画『サンストーン』

個人的に大好きな海外の百合漫画が、ステファン・セジク作『サンストーン』です。全5巻邦訳で完結しています!

BDSMのレズビアン・カップルを描いた作品なのですが、ほんとに純愛!

SMプレイの相手を探してネットで知り合ったアリーとリサ。
相手への深い信頼がなければうまくいかないSMプレイ。プレイを重ねていくごとにふたりはお互いに惹かれあう。でも、肉体関係から始まったことで、互いの胸の内をつかみあぐねてしまいます。

ふたりが相思相愛になるまでの過程がとても丁寧に描かれているし、SMへの見方も変わること間違いなし!
SMプレイ中はノリノリなふたりが、日常生活ではちょっぴりオタクで不器用なところも親近感がわきます。


めちゃくちゃ可愛い!中国の百合漫画『SQ』

中国でめちゃくちゃ人気の百合漫画が『SQ 君の名前から始まる』です!

とりあえず壇九さんの絵がかわいい!カップルふたりがめちゃかわいい!
ふたりの周りを取り囲む友人たちもかわいい!

まるで日本の作品かなと思うほど違和感なく読むことができます。

けれどこの作品をより深く味わいたいなら、ぜひ原正人さんがやっているPodcastサンデーマンガ倶楽部をお聞きください!

作者・壇九さんのことはもちろん、まるで日本の作品かなと違和感がなかった理由も知ることができます!


映画化もされた『ブルーは熱い色』

『ブルーは熱い色』は日本語に翻訳されたフランスの百合漫画です。(現在は絶版)

作者ご自身もレズビアンであることをカミングアウトされておられますが、この作品はあくまでフィクション。

男性とも付き合ってみたけど自分のセクシャリティがしっくりこなかった主人公の前に現れたブルーの髪のエマ。そのときから、”ブルー”は欲望の色に変わった……。

とにかく”ブルー”がとても印象的な作品!
これはフルカラーのバンド・デシネならではの面白さですね。

「アデル、ブルーは熱い色」というタイトルで映画化もされています。過激な性描写でも話題になりました。

映画と原作マンガ、設定が少し変わっていたりします。その違いを味わうのも楽しい作品です。


百合文学が盛りだくさん『ファン・ホーム』

文学好きにぜひともお勧めしたいのがアリソン・ベクダルの『ファン・ホーム ある家族の悲喜劇』です。日本語訳もあります。(現在、絶版)

これは作者の自伝的作品になり、特に父親との関係性に焦点が当てられています。

英文学の教授で古い家のリフォームが好きで風変わりな父親が亡くなるところから物語は始まります。実は父親はゲイ。レズビアンであることを自覚していた作者とは、微妙な距離感を取り続けます。

父親譲りに文学に傾倒する作者ですが、自身のセクシャリティを自覚していくなかで、レズビアン文学にのめりこむシーンがあります。もちろん、その書名も詳しく描かれています。

それ以外にも父親と文学を通じて間接的に会話するシーンなどもあり、文学好きにはたまらない1冊です。


『綺譚花物語』星期一回収日さんの現代百合『粉紅緞帶(ピンクのリボン)』

最初にご紹介した台湾の百合漫画『綺譚花物語』の作者、星期一回収日さんは他にも未邦訳ですが百合漫画を描いています。

それがこちら『粉紅緞帶(ピンクのリボン)』

2019年の台湾の漫画賞「金漫賞」も受賞した作品です!
(ちなみに『綺譚花物語』は2021年の「金漫賞」を受賞し、星期一回収日さんは3年連続の受賞です!)

ロリータ服が大好きな露喵が出会ったのはバレーボール部でボーイッシュな女の子、郁萱。
抜群のスタイルな郁萱にロリータ服を着せたくて露喵は彼女に近づく。

郁萱は同じバレーボール部の男子、阿哲に片思いしてるが、彼からは女と思われていない。可愛い格好なんて似合わないと思ってる郁萱は、露喵に無理矢理ロリータ服を着せられて少しずつ変わっていく……。

ロリータ服のせいでちょっと浮いてるけど気にしない露喵とか。
身長低いけどバレーに打ち込んでてカッコよかったり、ロリータ服着て可愛かったりな郁萱とか。
自分の好きを貫いたらいいんだよというエールに満ちた作品です……!

『綺譚花物語』の第4話にはこのふたりがゲスト出演してるそうで、とても気になります!


韓国のおとぎ話をベースにした百合ウェブトゥーン『彼女の沈清(シンセイ)』

なにかと最近話題の韓国のウェブトゥーン。その中にも百合作品があります。

『彼女の沈清』は、2019年に韓国の「私たちの漫画賞」を受賞した感動作。

物乞いの少女が目の見えない父親の快癒と引き換えに水に住む悪魔に身を捧げるという「沈清伝」という韓国の民話をベースにしたストーリーです。

貧しいセイと、親子ほどに年の離れた大臣に嫁ぐ若き大奥様。
はじめは大奥様を利用しようと考えるセイでしたが、屋敷で孤立している彼女の孤独に触れていくことで、お互いがかけがえのない存在になっていきます。

大奥様の名前が最後まで語られない(女性には名前が与えられない)。暴力に暴力で返したら女性だけが非難される。女はしとやかにして怒りを表してはいけないと教えられた大奥様がセイと出会って初めてつかの間の自由を手にする……!

百合としてももちろん楽しいのですが、女性の立場が弱い時代に女性同士が手を取り合うシスターフッドものとしても素晴らしいです(これは『綺譚花物語』にも通じるものを感じます)。


番外:韓国のなんでもアリSMエロティック・ウェブトゥーン

百合漫画というと厳密には違う、というか女男カプがメインなのですが、こちらもご紹介させてください!

韓国のウェブトゥーン『サディスティック・ビューティー』は、SMの女王様の主人公があまたの男女をとりこにしていく(?)という刺激的な作品!

その中で主人公のプレイ相手に花凛ちゃんという小悪魔的女の子がでてきます!
その花凛ちゃんがめちゃくちゃかわいい!
主人公の気を惹こうと押したり引いたりあの手この手を尽くしたり、ライバルが弱っているのをみて結局世話を焼いちゃったり、とにかくかわいい!

どうやら韓国では花凛ちゃんが主人公の百合外伝が掲載されているようです。こちらも日本語に翻訳されてほしい……!


未読だけど気になる未邦訳百合漫画

さて、以下は未読・未邦訳で気になる百合漫画の備忘録です。


ということで、邦訳されているものを中心にご紹介しました!
まだ私も知らない海外の百合漫画がたくさんあると思うので、情報をゲット次第、追記していきます!

ではここまでご覧いただき、ほんとうにありがとうございました!


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