こんな読み方もあるのか。ノーベル文学賞の作品を猛烈に読みたくなる1冊
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こんな読み方もあるのか。ノーベル文学賞の作品を猛烈に読みたくなる1冊

「ノーベル文学賞」と聞くと、高尚すぎて震え上がってしまう人もいるかもしれない。

僕もどちらかというとノーベル文学賞を畏れている人間なのだが、『ノーベル文学賞を読む ガルシア=マルケスからカズオ・イシグロまで』を読了して、ノーベル文学賞に対するイメージがガラッと変わった。

読後は「こういう読み方をすればいいのか」とか「もっと自由に読んでいいんだ」という気持ちになり、読書欲がますます湧いてきた。

本書は、タイトルにあるとおり、ガルシア=マルケスからカズオ・イシグロまでのノーベル文学賞作家および作品にスポットを当てた1冊で、年代でいうと1980年代〜2010年代の受賞者を扱っている。

個人的な話になるが、僕がこの本を手にとった最大の要因は、タイトルにガルシア=マルケスという名前があったからだ。

というのも、じつは5年ほどまえ、僕はガルシア=マルケスの代表作『百年の孤独』を読んで、開始わずか5行で挫折した経験がある。掛け値なし、本当に5行で断念したのだ。

断念した理由を有り体にいうならば「内容がまったく理解できなかった」。このひとことに尽きる。

そんな経緯もあって軽度のノーベル文学賞恐怖症になっていたのだが、この本を目にしたとき「これを読めば、『百年の孤独』を攻略できるのでは?」と思わずにいられなかった。

では、実際に本書を読んで『百年の孤独』ひいてはガルシア=マルケスを攻略できるようになったのか?答えはイエスだ。

厳密にいえば、完全読解とまではいかないが「ガルシア=マルケスの作品はこうやって読めばいいんだ」ということが非常によくわかった。

そして、本書を読んだことで、僕が5行だけ読んで感じた「内容がまったく理解できなかった」理由も理解できた。

知らない人も多いかもしれないが、ガルシア=マルケスの『百年の孤独』はノーベル文学賞作品のなかでは”飛ぶように売れた本”と言われている。

そんな彼の文学的な特徴として知られているのが「魔術的リアリズム」である。なんとも仰々しい用語だが、その意味は意外と簡単だ。

「魔術的リアリズム」とは現代文明からするとありえそうもない出来事(魔術的)を、ごく当然の事実として(リアリズム)書くことである。【44ページより引用】

つまり、ガルシア=マルケスの作品はそもそも「現実的にありえないことを、当たり前のようにして書く」というのだ。

これを知っているかどうかで、ガルシア=マルケスの読み方は劇的に変わる。

開始わずか5行で挫折した当時の僕は、当然この「魔術的リアリズム」を知らなかった。それでは挫折して当たり前だ。

魔術的リアリズムを知らずに『百年の孤独』を読めば、多くの人が「全然意味がわからない…」という気持ちになるだろう。

しかし、「現実的に起こり得ないことを当然の事実として書いている」という前提に立って『百年の孤独』を読むことができれば、作品のなかで起こる、いわば”超常現象”を素直に楽しめるはずだ。あるいは、文章の美しさに耽溺するようになるかもしれない。

ここではガルシア=マルケスと『百年の孤独』を中心に取り上げたが、『ノーベル文学賞を読む ガルシア=マルケスからカズオ・イシグロまで』は、ノーベル文学賞作品および海外文学の副読本として素晴らしい1冊だと思う。

この手の本にありがちな「説明が難解すぎて理解できねぇ…」ということもないし、著者の文体が非常にやわらかく、ユーモラスなので読んでて楽しい。

文句なしでおすすめの1冊なので、ぜひ手にとってみて欲しい。

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書店員と出版社の仕事を経験後、現在はフリーランス。noteでは和書のレビューや出版業界について投稿中。読書ブログはこちらで書いてます https://bookbaum.com