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USERS: 顧客主義の終焉と企業の命運を左右する7つの戦略

〇タイトル

USERS: 顧客主義の終焉と企業の命運を左右する7つの戦略 | 読書(91/1000)
著者 アーロン シャピロ (著), 梶原 健司 (翻訳), 伊藤 富雄 (翻訳)

〇学んだこと

・ユーザーは楽をしたい

そもそも、人々は楽をするためにテクノロジーを使う。
ウェブサイトの特性や企業の姿勢に関係なく、使いやすさが価値になる。
そのため企業は顧客に直接触れるソフトウェアの部分に良いUXを提供できるように投資をする必要がある。

【1】ユーザー中心の経営

・ユーザ中心の経営を行う上で必要な価値観
1本当に大事なもの以外は切り捨てる勇気を持つ:機能を絞る。絞った上で機能を磨く。
2地道なプロセスを軽視しない:要件定義・テストなどのフローを一足飛びにしない。
3専門分野以外の勉強を欠かさない:技術的な課題もマーケチームが率先してキャッチアップする。
4実現可能なビジョンを持ち、ちゃんと伝える:社長など多くの人に積極的に伝えていく。

【2】同心円型の組織体制

・デジタルコア:価値となるUI,UXを作成する部隊(Facebookを作る人たち、meta)
・コミュニケーター:デジタルコアをオーディエンスに発信する(Facebookで情報を共有・発信する人)
・オーディエンス:コミュニケーターからの情報を取得する(Facebookの情報をRSSアプリなどで入手する人)
情報の広がりパターン。デジタルコアの初期設計によって後発の広がりが左右される。

【3】使い捨てテクノロジー

・疎結合、互換性、改修コスト、更新の容易さ、スケーラブル、スピーディーに開発できるようにシステムも組織も組むべし。

【4】社会的使命に基づいた製品

前提、ネットやamazonの台頭に伴い、価値と価格が透明化された。
これに伴い、不当な価格設定はできず、またコモディティ化が加速している。
この状況下で、社会的な使命がその製品の存在価値になっている。
社会的な使命を実現するには以下の4つの手法がある。
1意思決定サービスを作る:豊富な情報提供、意思決定のサポート、他ユーザーからのプレッシャー
2主に提供しているものを補完するサービスを開発している:競合よりもプラスアルファの使いやすい機能がある
3全く新しい提案をするためにアナログ製品とデジタルを組み合わせている:デジタルを介入させ新鮮さを提供する
4差別化のためにデータを使っている:MLやデータ分析を活用してサービスに役立てている

【5】ユーティリティ・マーケティング

ユーザーは情報を自分で取捨選択できるようになった。
押し売りのバナー広告は機能しない。
また、サービスもコモディティ化した場合、そのサービスが購入されることによる社会貢献度によって購入されるケースがある(社会活動の一部に当てられるなど。)
ユーザを動かすには現在ユーザが活用しているツール(メール・SNS)に潜入して広告を投じる必要がある。

【6】TCPF セールス

Trust:自分の目で良し悪しを判断できる。その上で、価格設定が単純でわかりやすい。この良さが口コミによって拡散される。
Convenient:操作が容易。トータルのユーザ体験が便利と感じる。
Price:最安値である必要はない。ここの戦いはなるべく避ける。
Fun:利用していて好き。心地よいと感じることができる。

【7】ハイブリッド・カスタマーサービス

セルフサービス:FAQ / サポートフォーラムと掲示板 / ナレッジセンター
フルサービス:マルチチャネル / 連絡先を目立たせる / ソーシャルメディア
ユーザの不満が高まった時に企業は、即座に・社内で・詳しい人が対応するべき。

ユーザ視点の経営に移行する

GoogleやYouTubeなどの企業は後発企業でありながらユーザの使いやすさを科学して、その領域のトップ企業にのし上がっている。
タイミングは遅すぎることはなく、本当に良いものを作って市場に投下すれば必ず評価される。
行動は遅すぎることはない。

○感想

世の中でよくいう、「UI・UXを改善しよう」を綿密に言語化した一冊。
出版が2013年でありながら、10年経ってもこの書籍の主張が十分に通用する。
成長曲線を上振れている企業はもれなくこの書籍に記載されている内容を実践できていると感じる。

また、洋書にも関わらずトヨタのリコール対応が言及されていた。
プリウスがリコール必要になった際に、社長が雲隠れしたことを非難している。

ユーザ体験は伸ばす方だけでなくマイナスのことが起きた時にも改善することが重要。
凹みが起きた時の迅速な対応を含めてユーザ体験と言える。

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