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VS 山手学院戦【試合レポート】

試合会場へ着くと雨が降っていた。予想よりも強く降っていた。こういう時は何が起こるかわからない。

会場となった日大藤沢高校のグラウンドはとても立派な人工芝のグラウンドで、素晴らしい会場でラグビーができることに心を躍らせていた。

クラーク横浜COPAINSとして2回目の花園予選への挑戦になる。

神奈川総合産業高校、中央農業高校、住吉高校との「合同E」チームだ。

私たちのチームを受け入れて下さった3校に心からの感謝をしたい。

打倒「山手学院」

打倒「山手学院」としてチームが始動したのも束の間、コロナ禍で部活動が制限される。一緒に集まって練習した回数は10回にも満たない。しかし「ラグビー」を通して深まった絆は決して弱いものではない。そう思う。

色んな準備をしてきた。できること。全部。数少ない中で伝えられることは全部。

色んな高校が混ざるからこそ、様々なチームの「文化」に触れることができる。「想い」もまた同じように触れることができる。「勝つ」「トライを取る」「先輩たちを超える」色んな想いがある。だからこそ、だからこそ、打倒「山手学院」なのだ。

ちなみに「山手学院」さんとは創部間もない時に一緒に何回か合同練習させていただいた事があり、そのチームの雰囲気、文化、先生方やOBの方々、全てにリスペクトしていてトーナメント表が上がった時に単純に試合をするのかと「嬉しい」という感情が沸き立つほど試合をするのが個人的にも楽しみだった。

前半戦「ハードワーク」

「花園予選の初戦」こんな難しい試合は無いと思う。ましてコロナ禍でどの高校も圧倒的に練習不足になっている。そしてある種怖いもの知らずの「合同チーム」との試合。山手学院さんも硬さは出るはずと思っていた。

前半は9割方自陣でのDFだった。とにかく長い長い時間だった。

ただ彼らは前にプレッシャーをかけ続ける。タックルが外れれば、隣の選手がカバーする。とにかく前に出る。試合開始直前に天候も回復したが、グラウンドはややスリッピー、山手学院さんもプレッシャーの中でパスが上手く繋がらない。さらにラック際でのプレッシャー(SH、FL)が冴えわたり、相手のリズムを遅らせる。

ペナルティのからトライを奪われるも、粘り続け前半終わって0-10

耐えた。前半からハードワークできた。

ハーフタイム共通認識はできていた。生徒たちは呟く。

「敵陣でプレーしよう」いけるぞ。いけるぞ。

後半戦「意地のみせあい」

勢いでこのまま敵陣でプレーしたい合同はエリアをマネジメントしなければならない。そのためには相手からペナルティを誘う、ミスを誘うしかない。

しかし、山手学院さんも前半の修正をしっかりとしていた。テンポが上がる。食らいつく合同のプレイヤー。前半からコンタクト強度も高くなってきて、体力も奪われる。相手のテンポについていけない時間帯も続き連続で失点。0-29となる。

ラスト5分トライを取られ、リスタートキックオフ。

ここからは「意地しかないぞ」とそれだけ彼らに伝え続けた。いや叫んだ。

意地とは自分が思ったことをどこまでもやり通そうとする気持ち

3年生の意地、そして試合に出ている下級生の意地。

ここまで支えてくれた女子スタッフの意地。

キックオフ直後、3年のタカヤはビックタックルを連発した。

普段はあまり感情がプレーにでないタイプで、私からも痛い所を言われてる感覚も絶対あっただろう。ただ、今日のタカヤは違う。成長した。

我々のベンチの目の前でターンオーバーを誘う「ビックタックル」チームに勢いがつく。この日NO.8で獅子奮迅していた2年リョウガも続く。ベンチから一際大きな声で盛り上げたタクミも後半ラスト5分のタイミングで出場する。

COPAINSにとってはこれ以上ない布陣だ。

身体を張り続け、ミスを誘発、そして敵陣22mに入った。

チーム全員が今日のファインプレーをしていた。

1年生から一緒に練習して、合同チームを組んでいた住吉高校にも1人3年生がいる。そして怪我の為、今回出場できず応援に来てくれたもう1人の3年生、そして支えてくれた女子スタッフの為に、止血しながら闘志あふれるプレーを連発する。最高のプレーに心が熱くなる。

そして勢いの出た合同チームはフェイズを重ねBKのプレーで前進し、ゴール前までゲインする。

ここまで来たら答えは1つ

チーム全体がFWで取りきることで意思統一されていた。

FWの意地の張り合い。取るぞ。取られてたまるか。

女子スタッフの声も自然と大きくなる。意地をみせるしかない。

そしてFWの度重なるアタックでついに山手学院さんがペナルティ。

アドバンテージのシグナルを確認、隙をみつけたSHから一瞬のうちにBKに展開しトライ。

強豪にも引けを取らない見事な展開だった。

5-29となる。

試合終了直前の1トライ。そしてノーサイド。

試合には負けた。

難しいゲームを山手学院さんは勝った。素晴らしい勝利だ。

ノーサイド

ただトライを取った瞬間、喜びすぎてカメラがブレブレになったり、ベンチで感涙している選手、スタッフ。ピッチでドヤ顔している選手もいる。抱き合う選手。終わったと悟る選手。いや良いんだ。それで良い。

これが私たちの歴史を変える「意地のトライ」だ。

色んな歴史が変わった。

「2年前から花園予選ではトライを取れずに先輩方は引退した」

「50失点以上してたけどこの点差に抑えたのは初めて」

「このチームで戦えて良かった」

そんな声をチームミーティングで聞かせてくれた。

キャプテンは男泣きしていた。

全ての高校生にドラマがあって、色んな想いが溢れる。

涙が止まらない生徒

達成感や満足感に満ちあふれてる生徒

どこか寂しげな生徒

みんなみんな正解で、最後に良いチームとなって過ごせたなと思う。


高校ラグビーはまだまだ続く。

またすぐに新人戦が待っている。

もちろん山手学院さんには、これからも勝ち続けて1日でも長くあのチームでラグビーをしてもらいたい。

勝ち進んだ高校生にはみな同じように頑張ってほしい。

そして

これから戦い続けるもの、新しいステージに向かうもの。

そのすべてに幸あれ。

素晴らしい1か月だった。

自己満足でも良い。素晴らしい1か月を過ごした。


最後に改めて伝えたい。

「君たちが魅せてくれたラグビーに心から感謝を」


ラグビー部 HC 飯塚淳平

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普段笑わない男 背中で魅せるタカヤ

3年間本当にお疲れ様でした。

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