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移動の記録(22年6月)日本民家園

生田緑地の中にある日本民家園(神奈川県川崎市)に、究極の「自給自足」を発見…!とはいえ、当時の人の生活の基本は「自給自足」だったわけですが、日本民家園は「当時の生活」を知ることができる“生きた野外博物館”です。

真っ直ぐな木材は手に入らなかったようです

多摩丘陵の一角に民家を集めた日本民家園には、江戸・明治・大正期の古民家があり、その1軒1軒に足を運ぶと、当時の人々が、ヤギ、羊、猫、鶏、馬、牛など動物と一緒に生活をしていることがよくわかります。


クワの実もなってます

例えば、「菅原家」は山形県鶴岡市から移設された古民家です。稲作を生業とする菅原家では、馬や牛が田畑の力仕事を担っていました。馬や牛は、重い荷物の運搬をしてくれたり、肥料になるウンチをしてくれたりと大活躍です。

馬とも一つ屋根の下で

岩手県紫波郡から移設された「工藤家」は、2匹の馬と暮らしていました。餌は1日3回、ワラや燕麦、葛葉が主食で、小麦粉を粉にしたときの残りかす(フスマ)や、コメのとぎ汁を混ぜて与えていたといいます。

馬を可愛がって育ててた模様

ちなみに、そんな「原始的な餌」で牛を育てている生産農家さんが、神奈川県南足柄市にあります。「長崎牧場」さんが育てる相州牛は、今年5月に横浜食肉市場ミートフェアで最優秀賞を受賞しましたが、栄えある受賞も「原始的な餌」と無縁ではないのかもしれません。

原点に立ち返る餌づくり(4月訪問時に撮影)

(こうした事例からも、「原点」に立ち戻ることが、今の社会に何らかのソリューションをもたらすのではないかと考える日々・・・)

工藤家に話を戻すと、工藤家は人間と同じように動物にも愛情を与えていて、家族がごちそうを食べる大晦日は馬にも小麦を食べさせていたそう。冬場は水が冷たいという理由で飲み水も温めてから与えるという、かわいがりぶりです。

厩に敷いたワラを踏ませて肥料にしたり、馬の尿も肥やしに使ったりしたともいい、馬を中心に“壮大な循環”が実現していることが伺えます。

馬が力尽きて死んでしまってからも、ちゃんと埋葬してお墓には煮豆を供えて弔ったそうです。日本昔話に出てくるような、人と動物のかかわりを彷彿とさせますね。

<番外編①>
これはすごい!と思ったのが、「移動する小屋」。今でいうキャンピングカーみたいな発想ですね。当時は4人の人で担いで移動させました。室内は畳一畳と自在鉤(じざいかぎ)があり、自在鉤に鍋やヤカンを吊って煮炊きをしていたことがうかがえます。多摩川で客待ちをする船頭がこれを使って寝起きしていたそう。

移動する家
これは画期的!

<番外編②>
『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』(1982年8月7日公開 シリーズ29作目)に登場する、いしだあゆみさん演じる「かがりさん」。「かがりさん」の実家は京都の丹後半島という設定ですが、山田洋二監督がロケハンで選んだのが、丹後半島の「舟屋」でした。「かがりさん」が住んでいた、波の音が聞こえるあの舟屋はいまでもあるのかな…。この模型は日本民家園入口に併設された資料館で見ることができます。

家と舟が一体化

<番外編③>
日本民家園で食べる蕎麦がおすすめ。岐阜県白川村から移設した「山下家」は、そば処「白川郷」として、来園客のための休憩所になっています。もりそば(650円)。ナイス。

遠くに旅した気分に
100円プラスで大盛りがいいよ


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