S.W 2.5リプレイ『ヴァイス×シュヴァルツ』②

前回(初回)

導入

 自らの目的のためにいかにも怪しい依頼を受けた6人の冒険者たちは、指定された宿屋で顔を合わせる。お互いが信頼できる人物なのか、何を目的としてこの依頼を受けたのか。共に冒険をするうちに、いずれ分かることだろう。

GM:さて、みなさんは各自依頼を受けてコルガナ地方の辺境の街〈クラシアン〉の宿屋の一室に集められます。
アデル:なんか聞いたことある名前だな……
ツェペリ:これ、わたしが言ったヤツか。この前一緒にゲームしてるときに、急に「なんかこう……地名っぽい単語をくれ」って言われたから適当に答えたやつ。
GM:バレましたか。……すでに部屋にいる人も、これから部屋に入ってくる人もいるでしょう。
シルフィ:そういえば。聞いてなかったけど成功報酬っていくらなの?
GM:(やべ。決めてなかったな……)はい、ええとですね……30万G、ですね。
ノーナ:……30万!?流石に破格すぎるの!?
アデル:いくら何でも怪しすぎる。裏が無いわけないな。
ツェペリ:これは、日本円でいくらくらいなんじゃ?
ずんだもん:うーん、だいたい1G=100円くらい、と考えていいのだ。
シルフィ:てことは……3000万!?山分けしても500万ずつね……
GM:えっ そうなんだ……(小声)
ナインチェ:……(こいつガバったな、という顔)
GM:ゴ、ゴホン。まあそれはそれとして。もうすぐ集合時間ですね。
アデル:そうだな……俺は既に部屋で待機している。
シルフィ:私もすでに部屋にいるわ。まったく、どうして私がこんなボロい宿にいなきゃならないの……(ブツブツ)
ナインチェ:Zzz……(ベッドの上で寝ている)
ツェペリ:のんきなウサギじゃのう。わたしもすでにおるぞい。
ノーナ:それじゃあ私は今部屋に入ってくるの。ここが指定の宿屋かしら。(ガチャリ)
アデル:……ここに居るってことはあんたらもあの依頼を受けたクチか。同じく依頼を受けた俺が言えることじゃないが……怪しいとは思わなかったのか?
ツェペリ:ほっほ。色々あって、大金が必要になったんじゃよ。
ずんだもん:僕も遅刻ギリギリで入ってくるのだ。すみません!遅刻しましたのだ!!(ドンガラガッシャーン!!)
ノーナ:……また元気のいいのが入って来たの。大丈夫なの、まだ依頼主は来ていないみたいなの。
ずんだもん:ゼェゼェ……それは良かったのだ。急いだら疲れたのだ……
アデル:妙な風貌の奴らが多いな……全員冒険者か?
ノーナ:そうみたいなの。
シルフィ:冒険者なんて野蛮な人たちと一緒にされたくはないわ!
ノーナ:そうじゃなかったの。
ツェペリ:冒険者でもないお嬢さんが大丈夫かね?
ノーナ:まあ、その辺りも含めて自己紹介でもするの。これから同じ任務を受けるんだし、お互いのことは知っとくべきなの。
シルフィ:一理あるわね。私はシルフィード・アルク……シルフィかシルフって呼んで頂戴。まだ冒険とかはしたことないのだけれど、これでも優秀な家庭教師に魔法は習ってるわ!
ずんだもん:家庭教師が雇えるくらいには裕福なのだ。羨ましいのだ。
ノーナ:所謂お嬢様というやつなの。私と同じなの(ドヤ)
シルフィ:ええそうよ!なんといってもわたしはかの有名なアルク家のご令嬢だもの!!
ずんだもん:(アルクケ……聞いたことないのだ)
アデル:魔術師か……それは分かったが、どの魔法が使えるんだ?
シルフィ:得意分野は妖精魔法ね。生まれたときから妖精さんとはお友達だもの。……さぁ、私は素性を明かしたわ。あなた達のことも教えなさいよ。
アデル:頼もしい限りだ、じゃあ次は俺がやろう。俺の名はアデル。放浪者ヴァグランツだ。
ノーナ:放浪者ヴァグランツ……無法者というやつなの。自由を尊ぶ冒険者の中でもさらに自由を求めた変わり者なの。(偏見)
アデル:……崇高な彼らと俺じゃ天と地の差があるだろうがな。得物はこれだ、ただの剣士だと思ってくれて構わない。それ以外は特にない。
シルフィ:我が家の衛兵よりは強そうね!ちょ、ちょっと怖いけど……
ナインチェ:Zzz……
ずんだもん:あ、ベッドの上にも居たのだ?気が付かなかったのだ…
アデル:そういえば俺が来た時には寝ていたな。今のうちに起こしておくか?
ナインチェ:……(目が覚める)……(周りを見渡してお辞儀をする)ペコリ
ツェペリ:ふむ、タビットのお嬢さん。君も依頼を受けてここに居るのかな?今は同じ依頼を受けた者同士自己紹介をしているところなのだよ。
ナインチェ:……(寝ぼけまなこ)
ツェペリ:寝起きに自己紹介も辛かろうし、次はわたしが行こう。わたしはツェペリ男爵だ。波紋の呼吸という呼吸法により強化した己の肉体が武器だよ。
ノーナ:ハモンの呼吸……聞いたことは無いけど、確かに戦いにおいて呼吸法は大事なの。私も使えるから理解しているの。……私が使うには魔晶石のマナが必要だけど……(小声)
シルフィ:ふふん、男爵なんて、お父様に比べたら大したことないわね!
ツェペリ:ハハ!そうだね、その上わたしは借金持ちでもある。お嬢さんの言う通り大した身分でもない、気軽に接してくれ。
シルフィ:借金なんて、いったい何したのよ?
アデル:何、それぞれに事情はあるだろう。詮索するのも野暮、というものだ。
ずんだもん:じゃあ僕の番なのだ!僕はズ・ダモン。神官なのだ!傷ついたときは僕に任せてほしいのだ。
ノーナ:小さい神官様なの。信仰はどこなの?
ずんだもん:あんまり背は変わらないと思うけど……おとーさんとおかーさんから賢くなるようにって言われて、キルヒアさまを信じているのだ!
シルフィ:頭の豆で回復させてくれるのかしら。
ツェペリ:その頭についているのは仙豆なのかのぉ?
ずんだもん:違うのだ!毟ろうとしないでほしいのだ!
ノーナ:キルヒア……成程、賢いのは好きなの。賢い私にお似合いなの。
シルフィ:(知力11が何か言ってるわ)
ノーナ:次は私の番なの。私はノーナ……ノーナ・ポミヤ・モルタなの。
アデル:なんか途中で声がデカくなったな。
ノーナ:私はある人を探して冒険者をやっているの。太陽のような色の髪のグラスランナーを見かけたら教えて欲しいの。
シルフィ:それは……見つかるといいわね。
ずんだもん:太陽のような髪……赤色ってことなのだ?
ノーナ:そうなの。あと歌がとても上手なの。
アデル:ほう。その探し人は吟遊詩人なのか。
ノーナ:そうなの。この世で最も素晴らしい歌声なの。本人の絵ファンアート、私が彼女のためにしたためた曲なら今も手元に残っているの。後で見せるの。
ナインチェ:……(眠そうにしている)
GM:一通り自己紹介は終わったみたいですね(ナインチェが自己紹介していないのを忘れている)。……それではあなた達が親交を深めていると、突然部屋にローブをまとった人物が現れます。
ずんだもん:どんな人物なのだ?
GM:そうですね……人であることは分かるのですが、なぜか顔や体格が認識できません。魔法使いの方々なら、なんらかの魔法で認識を阻害しているのかな?というのが分かってもいいでしょう。
ノーナ:明らかに怪しいの。一応剣を握っておくの。
シルフィ:見たことない魔法ね……私も警戒しておくわ。
GM(ローブの人物):「お待たせしてすみません。この度は依頼を受けていただきありがとうございます。私が依頼主です」
アデル:……確かに怪しいが、敵意があるならもう危害を加えているだろう。
ずんだもん:それは確かにそうなのだ。警戒を少し解くのだ。
GM(ローブの人物):「お集まりいただいたので、今回の依頼内容をお話ししたいところではあるのですが……今はまだ詳しい説明はできかねます」
ノーナ:素性も明かさない、依頼内容も教えないじゃ受ける気も無くすの。これじゃ報酬が貰えるかどうかも怪しいの。
GM(ローブの人物):「そう思われるのもごもっともです。ですので、信頼していただくために魔法の契約書を用意してあります。依頼を達成していただいた暁には必ず報酬はお支払いする、というものになっております」
ツェペリ:ずいぶんと都合がいいのお。その契約とやらはわたし達に影響はないのかね?
GM(ローブの人物):「今から説明しようと思っておりましたので安心してください。この契約をすると、あなた方は自らの依頼を放棄するという意思に基づいた一部の行動に制限がかかります」
ノーナ:何をさせられるか分かったもんじゃないの!帰る準備をするの。
ナインチェ:・・・(怪しい目を向ける)
GM(ローブの人物):「この契約を結んでいただけたら、前金として一人当たり4930G受け取っていただきます」
ノーナ:やるの。さっさと契約書を出すの。
シルフィ:前言撤回が早すぎるわね。……けど、とにかくお金も欲しいし、私ものったわ。
アデル:きな臭いが、俺は最初から依頼を受けるつもりでここにいる。その契約は結ぶ……が、依頼内容は契約を結べば教えてくれるのか?
GM(ローブの人物):「詳しいことは別の場所でお伝えいたします。まずはそこへ向かっていただくことになるでしょう」
アデル:信頼する……しかなさそうだな。なに、これで死んだら俺はここまでだったというだけだ。”自由"な立場らしくやらせてもらおう。契約を結ぶぞ。
ツェペリ:私は冒険に出たときからとうに覚悟は決めている。アデル君に続こう。
ナインチェ:……(契約書を手に取る)
ずんだもん:こんな危険そうなクエストで4930G……うーん、分かったのだ!w契約書を貰うのだ。
シルフィ:私が言えることじゃないけど、躊躇しなさいよ。私もサインするけど。
ノーナ:本報酬はこれの10倍……!絶対達成してやるの。契約書に記入するの。
GM:みんな素直で助かります。それでは「詳しいことはこの場所で説明します。まずはこの場所に向かってください」とある街の宿屋にチェックが付いた地図を皆さんに手渡します。地図には日付と日時まで指定がありますね。それを渡すとローブの人物は瞬時にこの場からいなくなります。
ツェペリ:ここが当面の目的地ということじゃな。
シルフィ:ワープしたわね……GM。私たちはこの場所のことを知っているの?
GM:そうですね。アデルさんとナインチェさんはよくご存じでしょう。悪名高き街であり、あなた達2人の故郷ともいえる場所、〈ヴァイスシティ〉です。
アデル:ハッ。帰郷は思ったより早いらしい……と自嘲気味に笑う。
ナインチェ:……(嫌そうな表情)
ノーナ:これはどこなの?なんだか知ってそうな反応なの。
アデル:良く知っているよ……俺はここの生まれだからな。コルガナ地方北端の最低な街だ。悪徳の街……ヴァイスシティ。
ノーナ:悪徳の街……
ずんだもん:初耳なのだ。
ツェペリ:中々に不穏な気配がするのぉ。
ノーナ:まぁ、悪徳だろうが何だろうが私の前では無力なの!(ドヤ)
アデル:ま、いい街だよ……力さえあればな。皮肉を込めて言う。
GM:そうですね。出身者のアデルさんは道もある程度分かるでしょう。ここに行くためには〈魔の森〉と呼ばれる蛮族のうろつく森と、炭鉱としても利用されている洞窟を抜ける必要がありますね。森と洞窟の間には小さい街があります。
ずんだもん:オツキミ山の前にポケモンセンターがある感じなのだ。
アデル:なるほど。じゃあ出発する前に、貰った前金を使って装備を整えた方が良さそうだな。俺の目的としても自然だろう。
一同:賛成(じゃ)(なのだ)(よ)(……)(なの)。
GM:それでは、一度相談しながら買い物をしてもらいましょう。準備ができたら教えてくださいね。

装備を整え、悪徳の街に向かうことにした一行。次回、魔の森にてから始めます。

本作は、「グループSNE」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『ソード・ワールド2.0/2.5』の、二次創作です。
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(C)KADOKAWA

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