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「神様の暇つぶし」千早茜

恋愛小説、恋愛マンガがブームである。
40歳代になってから恋愛映画、小説、マンガ
それらのジャンルから全く離れてきた。見るのも聞くもの恥ずかしくて
面白い小説なのに少しでも恋愛要素を絡めてきたら「駄作め!!」と毒づいた。連続殺人鬼(シリアルキラー)の心の闇ばかりみて何年も過ごしてきた。

時々火が付いたように恋愛映画を観て「いいわあ・・・」となったけれど
それも4年に1回ぐらいの出来事で、あっという間に熱が冷めて
またシリアルキラーに戻っていた。

ところが、何がきっかけかわからないけれどすっかり恋愛小説と漫画を読む
生活になってしまった。
大人の恋愛、高校生の純愛、BL。なんでも来い(恋)だ。
本を買うことも、やめたいやめたいと言いつつもどうしても本屋さんに行けば数冊まとめて買ってしまうし「この人好き!」と思った作家さん買いも
継続中。本は増えるばかり。で、最近は恋愛小説ばっかり買って読んでいる。
ちょっと前に「もはやライトな小説は読めん」となり、大河小説的な本ばっかり読んで、しまいに三島由紀夫とか夏目漱石とかを読み出し
もうそうなるとかる~~~く読むこともできなくなってしまい
少しの間本から離れてしまった。そこに恋愛ブームが到来したので
また「ライトなやつ」から「濃いやつ」までなんでも来い(恋)になってしまった。

ただ、恋愛ものの嫌なところ。それはゴールがほぼ「結婚」ということだ。主にマンガは顕著である。
どんな困難な恋愛から始まっても、年の差が何才だろうと出会いが3歳の頃だろうと男と女(BLはまだ極めていなのでゴールはわからない)が目指すのは「結婚」だ。
これって「シンデレラ」の時代から全く変わっていないじゃないか。
「二人は結婚して幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」。
いや、じゃあ結婚がゴールじゃない場合はなにか。
たいていどっちかが死ぬ。

まあそうはいってもこの2パターン以外に満足いく結果ってあるかな。
結婚という形はとらないにしても「いつまでも一緒に暮らしました」とさ。
か、死なないにしても、心はつながっているにしても
遠くで暮らしましたとさ、じゃ「ハッピーエンド」にはならない。
恋愛ものに求める物は困難を乗り越えて得られるハッピーエンドだろう。
裏切り、嫉妬、周りの反対、年の差。色んな困難を乗り越えて
ハッピーエンドじゃないものを読まされたらそれは苦痛でしかない。
何を見させられた???という気持ちになる。
だからハッピーエンドしか期待してないんだけど
それにしたってどいつもこいつも「結婚で落ち着きやがって!」と思っちゃう。そして私は残念ながら「結婚」がゴールじゃないことも知ってしまっている・・・。

じゃあどーしたらいいのか、何が私を満足させるのか、それはわからないし
もしかしたらその答えを探すために恋愛ブームになってるかもしれん(いや、たぶんそんな難しい話じゃないんだけど)。

というわけで「神様の暇つぶし」。結婚しません。

小学生の頃、周りの友達がアイドルを見てキャーキャー言っていた時に
私はクリント・イーストウッド様が大好きになり
英語でファンレターを書いた(そういうツールがあった)ぐらいの
年上のおじさま好きだった。若い男なんてけっ!眉間の皺、白髪多めの髪、
ガラガラの声、ごつごつした手の中にある煙草・・・。
もーーーかっこよすぎる・・・・と思った。
大学生になりやっと同年代の男子とお付き合いをするようになり
興味が「年上のおじさん」ではなくなった。
そもそも私の「正論ばかり振りかざす生意気」さが年上の男性には
受け入れられることがあまりなくて「年上からかわいがられる」ということを経験したことがない。周りには男女問わず年下の後輩ばかりがいた。

なので今回「神様の暇つぶし」を読んで、久しぶりに「年上のおじさま」に
きゃーーーとなった。
体が大きくて、性格も体を持て余し気味の20歳の女子大生。
事故で父親を亡くしたことをきっかけに、父親の友人であり、父親と同年代のカメラマンと共に時間を過ごすようになる。
父親と二人きりの生活をしていた主人公は、なんとも覇気がないように見えて家の中も汚い・・・そういうのが苦手で、私。読むのが辛かったけれど
この年上のやさぐれたおじさんとの時間は、きれいな家では成り立たないだろうなと思った。昭和香る家。おじさんはカメラマンで300癖もありそうな類いの人間だ。20歳の女の子が到底たちうちできなさそう。やっぱりたちうちできない。
二人は食べてばっかりいる。しかも汚いお店ばっかり・・・でも美味しそうな物ばかりだった。

印象的なシーンは、亡くなった父親が(母親とは離婚しており、主人公は父親との二人暮らしだった)付き合っている女性の影もなかったのに
ED治療薬を飲んでいた痕跡を見つけ吐くほど気持ち悪くなるシーンだ。
いい人に見えて「そんなもの」を飲んでいた父親が気持ち悪いと
カメラマンのおじさんに言うと「おまえはガキか。いい人はセックスしないのかよ」と一蹴されるシーン。
20歳の女の子に同年代の男では言えない台詞。
300癖もあるおじさんが言う台詞だから「くうーーーーーーっ」となってしまう。

最近読んだ本が、タイトルをすぐ忘れてしまい、かつ、内容も
どんなんだっけ?となってしまう物ばっかりだった中で
久々のあたりであった。作者は北海道江別市出身とのこと。
私は江別の大学に行っていたので、江別は故郷の一つである。
すっかり身近に感じてしまった作者買いをしてしまいそうなのをどうにか押しとどめている。




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