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存在は分裂しうるか

生命の山なす粒子、
そのための賭金、
それは毎日、毎日、
他の誰かの感受性を
奪いとろうとすること。
雨に濡れた土が放つ匂い。
葉の擦れる硬質な音、
その向こうに見え隠れする
きらめきをいつも胸元に置いておく。
それはけっして抜けない背骨。
だが、瞳の色は一様でなく、
血の密度は気分に基づく。
懐胎するのはふたりの人間が
肉の共鳴にとりさらわれたときだ。

吸い込む空虚、黄金色。
歪んでゆく今ここに異論。
降りてくる幽霊みたいなものを
受け入れられない、贋物のいきもの。
「暗いね」って言うきみの身なりはもう、
ーー何も言いたくはない、風呂に行こう。

「夢から醒めたと思ったら、
蜜柑を握りつぶしていた」
おれの嫌いな音楽。
嗚咽まじりの情緒、
バランスを取ろうと必死だ。
躁鬱病患者がおれをみている。
なかま?目の色が同じだ。
いずれにしても空は遠く
海はえげつない。

生命の山を崩す幽霊。
超越の墓、恐ろしく遠い。
表面的なプログレ。
内省の草木になれ、
ぼくの不安。なまみで受ける
意味のない切断。嵐がくる。
あるいは白とのぼせた手。
いい加減やめてくれ、
呪いのような、気味の悪い歌。
なにものでもないものと共に、
作り、壊すこと。

あなたはどうしていますか。
暗闇をゆすぐように、
奪われて、奪って。
みずからをピンでとめることを強いる、
小さな数多くの制約が、
静かに、刻々と迫りくる。
わたしは逃げる。あなたの方からきこえる
錚々とした響きのうちがわに。

ぼくはこう思う。
波がすべてを超えてゆくんだ。
きっと夢中になって、みんなが分かちあうだろう。
ーーああ、向こう岸には防波堤ができてしまった!
ーーーー隣の入江もか!
ーーーーーーだめだ!まだ見ぬぼくの子どもたちだけは!


存在に溶岩を注ぐ。
液体を霧散させ、出口を塞ぐ。
生命の山の火口。
ぼくの火蓋。

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