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#17 ベルンシュタインから考える11『動作構築のレベル』その5

しげぞう

前回まで各レベルについて見てきました。
今回は、そのまとめになります。


巧みさの種類について


巧みな運動とは、先導レベル背景レベルの2つの特徴を持ちます。

先導レベルでは、切り換えが可能で、資源を利用し、機動性がある点を指します。また背景レベルでは、調和がとれている、従順で正確に仕事をこなす、という特徴を持ちます。

この関係を『騎手』と『馬』に例えると、巧みさは、想像力を働かせ起点のきく騎手命令通りに仕事を的確にこなす馬と言い表すことができます!




さらに、人間の巧みさを空間レベルで考えてみると、①身体の巧みさ②手もしくは対象操作の巧みさに分けることが出来ます。


①身体の巧みさは、レベルBを背景に空間レベル(レベルC)で制御・遂行されます。例としては、体操選手が腕で身体を支えて巧みに台を乗り越える動作が挙げられます。


一方、②手もしくは対象操作の巧みさは、行為のレベルで遂行される行為中に出現します。ここでは、空間レベルをより細分化したレベルC1レベルC2に分けられます。

レベルC1は、錐体外路運動系に関連した低次の空間レベルであり、空間に対して連続的でなめらかで連続的な調整を行うという特徴を持ちます。例としては、スキーヤーが急激なカーブやスラロームをくぐり抜ける場面が挙げられます。

一方、レベルC2は、皮質錐体路が関与する高次の空間レベルであり、目標位置に対して正確に、精密に動作終点が決まるという特徴を持ちます。例としては、闘牛士が不意の素早い動きで対峙した牛を仕留める場面が挙げられます。

このように、巧みさもレベルに応じ分類されるのです!

行為のタイプ

続いて、行為のタイプを見ていきたいと思います。複雑な動作の連鎖の中で様々なレベルのリンクが組み立てられます。先ほども述べたように、行為の中で主導的なリンク系列補助的すなわち背景にあるリンク系列に分けられます。



グループ1
このグループは、高次の自動性を欠いた行為です。3-4歳の子どもでも出来る単純な対象操作の行為がこのグループに属します。例として、箱に何かを入れたり、絵を描いたりする行為が挙げられます。

グループ2
次のグループは、高次の空間レベル(レベルC2)で組み立てられる動作リンクによって構成される行為です。このグループの動作は、ほとんどが指の繊細な動作であり、例として、糸に針を通す、鉛筆を削るなどが挙げられます。

グループ3
主導的な要素のほとんどが低次の空間レベル(レベルC1)に依っている行為の集まりになります。このグループでは、例外なくレベルBにおける背景活動を必要とします。例として、靴紐を結ぶ、アイロンをかける、など日常動作が挙げられます。

グループ4
このグループに含まれるのは、レベルBによる背景活動がレベルCによる空間的な背景調節よりも優位である行為になります。例として、石鹸で体を洗う、服を着る、ハンドルを回す、などが挙げられます。

グループ5
続いてグループ5では、レベルCとレベルBの両方の関与が必要になる行為です。このグループは、細分化された下位グループ3つに分けられます。①レベルBとレベルC1、②レベルBとレベルC2、③レベルBとレベルC1とレベルC2の組み合わせ、の3グループです。それぞれ例としては、野菜や果物の皮を剥く動作、フェンシングやボクシングの攻撃動作、発語や書字など人間的な行為動作、などが挙げられます。


子どもの運動形成

それでは、どのように運動発達がなされていくのでしょうか。時期を追って見ていきたいと思います!

■2歳の終わりから3歳ごろ
この時期は、高次の運動系における最後の成熟が進行していきます。この時期はレベルDに属する行為をこなすようになります。具体的な例としては、身の回りの世話(服を脱ぐ、身体を洗う、スプーンで食事する)やおもちゃ遊び、積み木や砂場遊びなどが可能となります。この時期であれば、利き手もはっきりしてきますね。


■3〜7歳
この時期の出来事として、利用できるあらゆるレベルの量的な強化と調整になります。解剖学的には生後3年も経てば全てのレベルの準備体勢が整います。しかし、容量は増えるものの背景調整を必要とするため、この時期でできる動作は低次の空間レベルにとどまります。例としては、すばしっこく走る、ジャンプしたりよじ登ったりする、またリズム感覚も身につき、表情も豊かになります。

■7〜10歳
続いて、高次の空間レベル(C2)が背景調整を蓄積してゆきます。この時期では、力と正確さが加わります。まだ我慢強さや集中力も十分ではありませんが、細かい精密な動作を発達させていくのです。例としては、正確に投げたり、遠くまで打ったりする動作が可能となります。

■10歳以降
10歳を過ぎると、成長過程において大規模で複雑な再構造化の時期となります。この時期は、組織的にスキルや背景調整を蓄積し続ける一方で、一旦現れた調和や協応関係は多くの側面で崩れます。これは身体構造や内分泌機能などの状態が変化するためであり、このような現象が思春期が終わる14〜15歳頃まで続きます。これはクラムジー(不器用な、ぎこちないの意味 思春期頃の身体と感覚のバランスが崩れ、習得した技術を思い通りに発揮できなくなる時期を指す)と大いに関わると思われます!


ここまで、動作レベルについて見てきました。
特に、子どもの発達を考える上で、どのような発達過程を経るのかという視点はとても大事です。
子どもたちが各々行っている動作の意味を推察すると面白そうですね!今は背景調整を強化してるんだ、力強さが増してきたな、再構築の時期が来たか、など。こんな考え方で見てみると、親のイライラも減るかもしれませんね。笑


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しげぞう
理学療法士×JAPO-AT。2児の父親。10年以上ジュニアアスリート発掘事業に携わり、子どもの成長や育成に興味を持っています!好きなスポーツブランドは「adidas」。